フルモデルチェンジで大ヒットを記録! イメチェンが大成功した車5選

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フルモデルチェンジして大化けしたクルマを振り返る

 近年、フルモデルチェンジのサイクルは、6年から8年というのが一般的です。新型車が登場すると数年後にはライバル車が台頭したり、デザインの陳腐化などによって、商品としての魅力が低下するため、心機一転を図ります。

フルモデルチェンジが大成功したクルマたち

 なかにはフルモデルチェンジすることなく一代限りで消滅してしまったモデルもありますが、ニーズがあればフルモデルチェンジをおこなって、販売が継続されます。

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 そうしたモデルのなかにはフルモデルチェンジしたことで、一気に大ヒットを記録したクルマも存在。

 そこで、イメージチェンジが大成功したクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産2代目「キューブ」

ユニークなデザインながら実用的なモデルとしても高評価だった2代目「キューブ」

 日産は1998年に、2代目「マーチ」をベースに開発したコンパクトトールワゴン、初代「キューブ」を発売。

 小さなミニバンといったイメージで、マーチよりも格段に広い室内空間を実現したことから一定の人気を獲得しました。

 そして、2002年にはキューブという車名にふさわしい「箱」をモチーフにしたデザインの2代目が登場。外観は特徴的な直線基調のフォルムで、左右非対称のリアゲートがかなり斬新でした。

 ボディサイズは全長3900mm×全幅1670mm×全高1640mmとコンパクトで、箱型ボディとしたことから四隅の見切りの良さにも定評があり使い勝手も優れ、幅広い年齢層のユーザーから高い支持を得て大ヒットを記録します。

 エンジンは発売当初は98馬力の1.4リッター直列4気筒のみでしたが、2005年のマイナーチェンジで109馬力を発揮する1.5リッターエンジンを追加。トランスミッションは1.4リッター車が4速AT、1.5リッター車がCVTで、リアタイヤをモーターで駆動する「e4WD」も設定されました。

 そして2003年に、この2代目キューブをベースに、ホイールベースを170mm延長して3列シート7人乗りとした「キューブキュービック」が登場するなどラインナップを拡充。

 その後、2008年に2代目からキープコンセプトとした3代目キューブが発売され、本格的なグローバルモデルとなりましたが、2020年3月に生産終了となりました。

●トヨタ2代目「プリウス」

燃費もメカニズムも大きく進化を果たした2代目「プリウス」

 世界初の量産ハイブリッドとして1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」は、従来の1.5リッターガソリン車の2倍の燃費性能を誇る驚異的なエコカーとしてデビュー。

 しかし、同クラスのモデルよりも50万円以上高額だったことから、大ヒットには至りませんでした。

 そこで、トヨタは2003年に2代目プリウスを発売。外観は初代の4ドアセダンから5ドアハッチバックに一新。ボディサイズを全長4445mm×全幅1725mm×全高1490mmと3ナンバーサイズに拡大し、初代以上の広い室内空間を確保したことで本格的なグローバルカーとしての販売を目指しました。

 ハイブリッドシステムも大きく変わり、燃費(10・15モード)は初代最終型の31km/Lから、35.5km/Lに向上。

 さらに2代目では低速域はモーターだけのEV走行が可能になり、世界初の自動で駐車をアシストする「インテリジェントパーキングアシスト」が設定されるなど、エコカーというだけでなく未来的なクルマへと生まれ変わりました。

 これほどまで進化したにも関わらず、価格は215万円(消費税含まず)からと初代と同じに設定されたことで割安感があり、国内の年間販売台数は約4万2000台から約13万3000台と一気に3倍以上まで拡大。

 その後もエコカー補助金やエコカー減税の効果もあって、最高で年間50万台以上を販売する空前の大ヒット車となりました。

 現在のハイブリッド車の普及状況からすると、プリウスはまさに世界を一変させたといって過言ではありません。

●ホンダ2代目「プレリュード」

スタイリッシュなデザインと優れた走りが好評だった2代目「プレリュード」

 1978年に発売されたホンダ初代「プレリュード」は、「シビック」「アコード」という主力商品に続いてさらに車種を拡充するために開発された2ドアクーペのスペシャリティカーです。

 しかし、最高出力90馬力と決してパワフルではない1.8リッター直列4気筒エンジンを搭載し、走行性能は平凡でした。さらに、シビックに似たフロントマスクはスペシャリティカーとしてのイメージが弱く、人気車にはなりませんでした。

 そこで、1982年に登場した2代目では、デザインからメカニズムまですべてを一新。

 外観では低いボンネットの先端にリトラクタブルヘッドライトを配置し、全長4295mm×全幅1690mm×全高1295mmロー&ワイドで流麗なフォルムを実現し、充実した装備によって女性からも人気の「デートカー」としても注目を集め、一躍ヒット作となりました。

 また、サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアにストラットの4輪独立懸架を採用し、日本初のABSを装備。

 1985年に160馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHCを搭載した「2.0Si」が追加されると、優れたスタイリングに加え走行性能が向上したことで、さらに人気が高まりました。

 その後、1987年に2代目からキープコンセプトとした3代目が登場し、好景気という時代背景もあり2代目以上のヒットを記録しました。

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●トヨタ2代目「シエンタ」

優れたユーティリティと燃費、デザインが評価されて大ヒットした2代目「シエンタ」

 2003年に発売されたコンパクトミニバンのトヨタ初代「シエンタ」は、子育て世代のファミリー層から高い支持を得ました。

 その後、2008年にデビューしたダイハツのOEM車の「パッソセッテ」が実質的な後継車となったため、初代シエンタは2010年に販売を終了。

 しかし、ヒンジドアだったパッソセッテの販売が低迷し、2011年に異例の事態といえる初代シエンタの再販が決定されました。ただし、マイナーチェンジというかたちでの再販で、2014年に完全に販売を終了します。

 そして、2015年に全面的に刷新された2代目シエンタが登場。アグレッシブな印象の外観デザインとカラーリングが採用され、初のハイブリッド車もラインナップして大ヒットを記録。

 発売最初の1か月で、4万9000台もの受注を獲得し、2016年の販売台数は12万5832台で、登録車ではプリウス、アクアに続くランキング3位となり、ミニバンのトップセラーとなりました。

 その後、2018年9月には2列シート車が追加ラインナップされてユーザーの拡大にも成功。現在もコンパクトミニバンではトップクラスの販売台数をキープしています。

●スズキ4代目「ジムニー」

今も納期1年待ちの状態が続くほどヒットした4代目「ジムニー」

 1970年に発売されたスズキ初代「ジムニー」は、超小型ボディながら強固なラダーフレームに、ストロークが長く耐久性が高い前後リジッドアクスル式サスペンション、外部に動力を取り出せるパワーテイクオフを装備するパートタイム4WDを採用した、軽自動車初の本格的なクロスカントリー4WD車です。

 土木や林業、郵政などのプロも使う本物のアウトドアギアとして、代を重ねてもコンセプトはブレることはありませんでした。

 そして、2018年に20年ぶりとなる現行モデルの4代目ジムニーが登場、初代をオマージュしたようなクラシカルさと最新のデザインが融合した外観と、優れた悪路走破性から人気となり、いまも納車1年待ちといわれています。

 3代目ジムニーも20年間のロングセラーとあって一定のニーズはありましたが、4代目ではそれまで興味を示さなかった女性ユーザーも獲得したといわれており、2020年には約3万8000台を販売しました。

 本来、用途が限られてしまうジムニーですが、これは歴代でも快挙です。

 メカニズムもラダーフレームに架装されたボディに、サスペンションは前後ともコイルスプリングのリジッドアクスルを継承。

 エンジンは64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボで、パートタイム4WDも初代から受け継いでいます。

 また、3代目までも海外一部の国で販売されていましたが、4代目では本格的にグローバルで展開され(日本の「ジムニーシエラ」に相当)、やはりヒットを続けている状況です。

※ ※ ※

 前述のとおりクルマの魅力が低下したことからフルモデルチェンジをおこないますが、必ずしも成功するとは限りません。

 トヨタ4代目「クラウン」や、日産「S14型 シルビア」などが失敗例として有名ですが、実際に失敗した例はかなり少ないといえます。

 当然、メーカーは綿密な市場調査をおこなったうえでフルモデルチェンジをおこないますから、そうそう失敗することはないはずです。