大阪ミナミの“伝説のホスト”で、現在は実業家の井上敬一氏

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 コロナ禍で大きなダメージを受けた「夜の街」。急遽閉店になる店や、出勤日数を減らされて生活もままならないホストやホステスも少なくない。そんななか、かつて関西ナンバーワンの売り上げを記録して“伝説のホスト”と呼ばれた井上敬一氏が、昨年4月よりソフトバンクグループの会社とタッグを組み、「水商売セカンドキャリアプロジェクト」をスタートさせた。

 いま、多くの水商売関係者がコロナ不況のなかで昼職を希望するも金銭感覚の違いなどから、なかなかうまくいかない現実があるという。果たして、光明は見えるのか……!?

◆コロナ禍でセカンドキャリアに悩む水商売関係者たち

「水商売セカンドキャリアプロジェクト」は、SBヒューマンキャピタルが運営する転職サイト『キャリオク』『イーキャリア』における人材・求人広告の法人営業マンとして、水商売関係者が就労することを支援しようという取組みだ。プロジェクト誕生の経緯について、井上氏は次のように語る。

「2年ほど前、僕が出演したドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)を見たSBヒューマンキャピタルの木崎秀夫社長からお誘いを受けたのが最初のきっかけです。当時から僕は水商売関係者のセカンドキャリアについて考えたり、語ったりする機会が多かったんです。

 そして、今回のコロナ禍で水商売の子たちに相談を受けることが急増して。副業の意味でも、水商売関係者が次のキャリアに発展するような仕事をサポートしたいと、木崎社長に相談させてもらいました」

 近年、人生100年時代を見据えて、「副業・複業」は多くの人から注目を集めるキーワードになっている。球団を所有するソフトバンクのグループ会社であるSBヒューマンキャピタルは、引退後のプロ野球選手のセカンドキャリアを応援してきた背景もあり、井上氏の活動に関心が寄せられたそうだ。

◆転職に立ちはだかる「金銭感覚の違い」

「水商売の人たちは男女問わず30歳前後で引退を考えるんですよね。僕は大学を中退してホストを始めてから、水商売一本でやってきて。社会人としての常識やマナーも全くわからず、ずいぶん苦労してきた。水商売の人たちが、いろんなコンプレックスを感じる気持ちはすごくわかります。ただ、ほとんどの人がセカンドキャリアを考えても躊躇してなかなか踏み出せない。たとえ行動して昼の仕事に飛び込んでも結局うまくいかず、水商売に戻ってしまうんです」

 転職を希望する際に、大きな壁が存在する。それは案の定、“金銭感覚の違い”だ。

「夜の世界はシャンパン1本あければ20万円、30万円になる。一般世間と同じ金銭感覚に戻すのが難しく、ミスマッチが起きやすいんです。水商売の子たちは『事務職で月30万円ぐらいもらえたら』とか平気で言うんですけど、そんなの未経験ではありえないでしょう」

 今回のプロジェクトは“完全歩合制”の営業職。井上氏は「水商売の人にとって、やればやるほど稼げる可能性があるほうが頑張れるんです」と話す。

 仕事内容を大まかに説明すると、一般企業にテレアポを行い、実際に訪問、あるいはリモートなどで転職サイト「キャリオク」「イーキャリア」の求人枠を売るのだという。

◆コミュニケーション能力や人脈が営業に活かせる

 そのうえで、水商売関係者ならではの“強み”もあるという。 「コミュニケーション能力が高いので、商材やサービスの知識が入れば、営業マンとして成果を出しやすい。ほかにもアドバンテージはある。たとえば、高級クラブでホステスをしていれば、企業の社長や役員クラスのお客様を抱えていたりするなど、もともとの人脈が武器になる。すでに信頼関係が築けている知り合いが多いほど、成約も早くて売上が立つ可能性は高いです」