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『成城石井』マニアの間で“名品”と名高い調味料「煎り酒」をご存知でしょうか? 煎り酒の歴史は、室町時代の末期にまで遡ります。醤油が一般的に広まる前に使われていた調味料で、日本酒に梅干しと鰹節を入れ、じっくり煮詰めたものだそうです。

862円

 とはいえ、タレやドレッシングなら使い方が想像できますが、「煎り酒」は味の予想がつきません。長らく迷っていましたが、先日思い切って購入してみました。

「成城石井 煎り酒」は、焼津のかつお節と北海道産利尻昆布でだしをとり、和歌山の梅干エキスを加え、だしの旨味と梅の清涼感のバランスがとれた万能調味料。今回は、我が家での活用方法をご紹介したいと思います。

 少し舐めてみると、清酒の甘い香りとともに、鰹節のふくよかな風味と梅の爽やかな酸味が……。醤油の代わりというより、白だしに近いように感じました。

 最初に試したのが「きゅうりの浅漬け」。これがドンピシャで、数時間漬けておくだけでしっかり味も馴染みました。梅の清涼感が、暑くなるこれからの季節にもぴったり。箸休めにもちょうど良いですし、酒のつまみにも最適です。出汁の風味も品が良く、塩気がおだやかで、角のない味わいになりました。

「出汁巻玉子」が料亭の味に!

 お次は「出汁巻玉子」です。味付けはもちろん「煎り酒」だけで決まります。卵3個に対して、大さじ1(濃いめが良ければ大さじ2)を入れて作ります。

 これがもう、スゴイ! 料亭の出汁巻玉子!? と思うほどの出来ばえです。清酒の香りとともに、出汁の芳醇さが卵のまろやかさとベストマッチ。梅の酸味もマイルドになり、バランスの良い出汁巻玉子になりました。毎朝作っているからこそ、味の変化に驚きました。

「ゴーヤチャンプルー」もまろやかな味わいに

 意外にもハマったのが、煎り酒を使った「ゴーヤチャンプルー」。めんつゆの代わりに煎り酒を使ってみたのですが、梅の酸っぱさがゴーヤの苦味、ランチョンミートの脂っこさを中和し、さっぱりと食べられました。

 1本862円と決して安くはない価格ですが、その価値を存分に体感できました! 日本の伝統的な調味料をぜひ、試してみてはいかがでしょうか。

(撮影・文◎亀井亜衣子)