nuroモバイルの新料金プラン「バリュープラス」が面白い! 激しい料金戦争が生んだユニークなサービスとは

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●nuroモバイルの新料金プラン「バリュープラス」スタート!
ソニーネットワークコミュニケーションズが展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)サービス「nuroモバイル」は、4月1日より料金プランを刷新。
音声通話付きSIMが 月額基本料金792円から使える新料金プラン「バリュープラス」を開始します。

音声通話付きコースの料金プラン及びデータ容量は以下の通りです。
・VSプラン(容量 3GB):月額 792円
・VMプラン(容量 5GB):月額 990円
・VLプラン(容量 8GB):月額 1,485円

このほかに「データ通信+SMS」と「データ通信のみ」、2つのコースがありますが、
データ通信+SMSコースは音声通話付きコースと同じ料金体系となっています。

データ通信コースの料金プラン及びデータ容量は以下の通りです。
・VSプラン(容量 3GB):月額 627円
・VMプラン(容量 5GB):月額825円
・VLプラン(容量 8GB):容量 1,320円


とてもシンプルでリーズナブルな料金体系になった



●3カ月ごとにデータ容量プレゼント! 「Gigaプラス」
バリュープラスにはユニークな特典があります。
VMプランおよびVLプランを契約すると、3カ月毎にデータ容量が付与される「Gigaプラス」(ギガプラス)です。
具体的には、月額料金発生月から3カ月目に最初のデータ容量が付与され、その後は3カ月ごとに付与されるというものです。

付与されるデータ容量は以下の通りです。
・VMプラン:3GB
・VLプラン:6GB

Gigaプラスで付与されたデータ容量は翌々月まで繰り越せるため、
例えばVMプランで3GBをプレゼントされた場合、基本データ容量と合わせて、その月のうちに6GBを利用する使い方や、1カ月ごとに4GBを利用するという使い方も可能です。

Gigaプラスはキャンペーンなどではなく、永続的に付与される特典となっている点もメリットです。


長期利用者への優遇特典と考えて良い



●ユーザーの利用状況を徹底的に調査して生まれたバリュープラス
nuroモバイルが料金プランを非常に安価な小容量に絞り、長期利用者を優遇するサービスとしてきたのには理由があります。

2021年2月にMMD研究所が公開した「MVNOユーザーの通信利用状況と利用金額」に関する調査データによると、
データ容量10GB未満の利用者が88%、さらに3GB未満の利用者は70%となっており、ほとんどのMVNOユーザーが小容量の利用となっていることが分かります。

さらにnuroモバイルが自社ユーザーに限定して調査した結果、
98%のユーザーが10GB未満のプランを契約し、99%のユーザーが10GB未満のデータ利用量に収まっていました。
そのため、同社は料金プランを思い切って10GB未満のみに絞り込み、コストを削減することによって月額料金の大幅な低減を図ったのです。


ほぼすべての契約者が小容量プランを利用している



●苦境に立たされたMVNOの勝負が始まる
nuroモバイルがこのような小容量の低料金プランに大きく舵を切った背景には、昨年末から始まった大手移動体通信事業者(MNO)の通信料金戦争があります。

NTTドコモが月額2970円の20GBプラン「ahamo」を発表したのを皮切りに(発表当時は税抜価格で月額2,980円だったが後に改定)、ソフトバンクやKDDIが次々と月額2,000円台の20GBプランを発表しました。
その後も各社はお互いの動向をうかがうようにして、さらなる料金の値下げやサービスの拡充を発表し、サービスが開始されるまでに数多くの変更や改定を繰り返したのです。

このような短期間での激しい値下げ合戦で悲鳴を上げたのがMVNOです。
これまでMNOの「料金は高いが高品質・高付加価値」に対して、「品質は必要最低限ながらも低料金」をセールスポイントとしてきただけに、
MNOが月額2,000円台で20GBという十分過ぎる容量のプランを打ち出してきたことで、MVNOのメリットが大きく損なわれてしまったのです。

通信品質では太刀打ちできないMVNO各社は更なる値下げを余儀なくされ、nuroモバイルもまた同様の大幅な値下げに踏み切らざるを得なくなりました。


旧プランと比較すると驚くほど容量が増えていることが分かる


料金プラン以外にも、データ容量を別のユーザーへプレゼントできる「パケットギフト」が回線種別関係なく行えるようになるなど、利用のしやすさも向上しています。


●ユニークなサービスの提案でユーザーニーズの多様化に対応
MNO各社が新料金プランをスタートさせた今春、MVNO各社もまた料金競争の渦中にあります。
3カ月の間に自由に容量の使い方を選べるGigaプラスについて、nuroモバイル MVNO事業室 室長の神山明己氏はこう語ります。

神山明己氏
「お客様として、本当に必要な時に必要な容量を使いたいというニーズがあると認識しています。
お客様のライフスタイルに合わせて柔軟に使えるという点で、Gigaプラスのメリットがあると考えます」

敢えて毎月1GBや2GBといった一定容量の付与にせず、
「今月は特に予定がないから来月に容量を持ち越そう」
「今月は大容量アプリのダウンロードをしたいから一気に使ってしまおう」
このように、ユーザーが自由に使い方を選べるようにした背景には、モバイル通信の利用方法の多様化があります。

MNO各社がユーザーの多様化からオンライン契約専用の2GBプランを用意してきたように、バリュープラスもまた多様性の中から1つのニーズをターゲットにしてきたのです。

前述のように、Gigaプラスには長期利用ユーザーへの優遇措置やストレッチゴール的な楽しみとしての一面があります。

単純な料金競争ではなく、ユニークなサービスによってユーザーニーズを掴もうとする同社の試みに、MVNOとしての意地のようなものを感じます。


執筆 秋吉 健