撮影という行為にこれだけ思索を巡らせ、かつ言語化するカメラマンを他に知らない。辻智彦と11人の才能が織りなす対話は、ドキュメンタリーについての正解のない教科書だ…

大島新(ドキュメンタリー監督「なぜ君は総理大臣になれないのか」)

ビデオサロンでの2年間の連載「ドキュメンタリー撮影問答」が一冊の本になります。

⇩現在発売中の2021年4月号における大森立嗣監督と問答が最終回になりました。

テレビドキュメンタリーを中心に近年は劇映画撮影を手がけることが多い映像カメラマン、辻智彦さんが今気になる映像ジャンルのキーパーソンに「ドキュメンタリー」をキーワードに問うて回った記録。

単なる対談ではなく、改めて直球で問いを投げかけ、返ってきた答えをきっかけに問答は深まっていきます。まとめて読むことで現在の映像制作の現場が見えてくる一冊になっています。

ビデオサロンの連載を基にWEB掲載の分も加え、さらに序章、問答を受けた辻さんのコメント、あとがきなどを足して、再構成しています。

書店での発売日は4月5日。現在Amazonなどで予約受付中です。こちらから。

【目次】

●序章 ドキュメンタリービデオを撮るということ 

●撮影問答  

 山崎裕… 現場の第一線で60年撮り続けてきたベテランカメラマンが伝えたいこと  中村高寛 …『ヨコハマメリー』『禅と骨』…人生を賭けて人を撮り続けてきたドキュメンタリー監督  満島ひかり…劇映画でもドキュメンタリーでもリアリティを表現したい     井賀孝…ブラジリアン柔術黒帯の肉体派写真家が動画を始めて思うこと 百崎満晴…NHKで人気シリーズとなった「秩父山中 花のあとさき ムツばあさん」のカメラマン  岡崎莉望…辻カメラマンの目を惹きつけてやまないアール・ブリュットの芸術家 味谷和哉…フジテレビ「ザ・ノンフィクション」元チーフプロデューサーで「サンサーラ」生みの親 満若勇咲…作り手によるドキメンタリー批評誌を立ち上げたフリーカメラマン    藤本信介…韓国の映画業界で働く日本人助監督   土肥悦子…子どもだけでなく映画制作スタッフにも刺激を与え続ける「こども映画教室」代表    大森立嗣…人は人とどう向き合うかを問い続ける映画監督    

●あとがき 無邪気な問いにあるものとは  上田未生(日本電波ニュース社)

 

刊行を記念して、下北沢の本屋B&Bでトークイベントを開催します。イベントは、帯に推薦文を寄せていただいた大島新さん(「なぜ君は総理大臣になれないのか」監督)とのトークショーで、配信または来店のいずれかでご参加いただけるイベントです。詳細につきましてはB&Bのサイトをご確認ください。多数のご参加をお待ちしております。お申し込みはこちらから。

辻智彦 プロフィール

1970年和歌山県生まれ。日本大学芸術学部映画学科在学中、小川プロダクションが製作したドキュメンタリー映画のカメラワークに衝撃を受け、映画監督志望から一転、ドキュメンタリーキャメラマンを志す。卒業後、テレビドキュメンタリーを多く手がける制作会社と契約、多くのキャメラマンの助手を務め、インド、北極、中東など世界中の撮影に連れ回された。1998年、フリーランスキャメラマンとして独立。以降『ザ・ノンフィクション』『世界の車窓から』『ETV特集』『情熱大陸』など、数多くのテレビドキュメンタリーを撮影する。2003年に故・若松孝二監督に誘われ『17歳の風景』『実録・連合赤軍』『キャタピラー』など、劇映画の撮影も担当するようになる。2011年に映像制作会社ハイクロスシネマトグラフィ設立。以後、撮影のみならず企画、演出、プロデュースなども手がける。最新撮影作はテレビドキュメンタリー『良心を束ねて河となす〜医師・中村哲 73年の軌跡〜』(日本電波ニュース社・NHK)、劇映画『MOTHER マザー』(監督 大森立嗣)など。

ドキュメンタリー映画『日本心中』の撮影でJSC賞審査員特別賞、劇映画『実録・連合赤軍』の撮影で三浦賞および毎日映画コンクール撮影賞、『キャタピラー』の撮影で大阪シネマフェスティバル撮影賞を受賞している。