「監察医 朝顔」3・11それぞれの人生…丁寧に紡がれたストーリーに涙腺崩壊

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「月9」史上初めて2クールで放送された上野樹里主演ドラマ「監察医 朝顔」(フジテレビ系)が3月22日に最終回を迎え、平均視聴率は13.3%の好成績を記録した。

 今作は、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって母・里子(石田ひかり)を亡くした主人公・朝顔(上野)と、その父・平(時任三郎)が、悲しみを乗り越えていこうとする話が軸になっている。

 刑事だった平は、時間の許す限り妻の遺品を探すために被災地・仙ノ浦に通い、定年退職後は妻の実家に住みこんでいた。第17話では、遠く離れた地で里子の遺骨が見つかる。安堵の気持ちもつかの間、平は認知症を発症。その症状は、徐々に悪化していた。娘が結婚式を挙げていないと言い張る父に対し朝顔は、もう一度結婚式を挙げることを決意する。しかもその日にちは、3月11日。この日の父の思い出を、悲しみだけにしたくないという思いからだった。

 結婚式のスピーチで平は、この日を迎えられた喜びや感謝を伝え、その後、小さな声で「今日のこと忘れたくないな」とつぶやくのだった。

 このシーンに視聴者は「幸せな思い出を忘れるなんて、認知症って残酷だ」「今日のこと、忘れたくないな、と呟いたジイジに号泣」「涙腺崩壊」など、大きな感動に包まれたようだ。

「震災で大切な人を亡くした思い。時の流れの中で老いていく現実。生き残った人のその後の人生を非常に丁寧に描いてきました。そして最後は、平の記憶があるうちに録音された里子とのなれ初めを語る音声。この演出も視聴者から『最高だった』と絶賛されています」(テレビ誌ライター)

 それぞれの立場で、それぞれの思いが交錯する、感動的な作品だった。