テニスレジェンドが語る「大坂なおみはクレーや芝コートでも優勝できる」

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大坂なおみ(日本/日清食品)は今や押しも押されもせぬテニス界の大スターの一人だ。だが今のところ、彼女の圧倒的な強さはハードコート上だけに限られている。ハードコートのグランドスラム、「全米オープン」と「全豪オープン」では既に2回ずつ優勝しているが、クレーコートの「全仏オープン」と芝コートの「ウィンブルドン」での通算戦績は10勝7敗で、どちらの大会でもまだ3回戦より先に進んだことはない。またどちらの大会でも、トップ20選手を相手に勝利したことがなく、0勝4敗だ。

クレーコートと芝コートであまり実績を残せていない大坂は、それらのコート上では自信を欠いているように見えていた。けれどもそういう状況はあっという間に変わるかもしれないとあるテニスレジェンドは考えている。米テニスメディアTennis Nowが報じた。


1978年から1990年までの間に「全豪オープン」3回、「全仏オープン」2回、「ウィンブルドン」9回、そして「全米オープン」で4回、女子シングルスで優勝し、その後も長くダブルス選手として活躍した元世界女王マルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)。彼女は、大坂の素晴らしいベースラインでのプレーをもってすれば、どんなサーフェスでも優勝できるだろうと話した。


「彼女にその力があることは疑いようもない。それにそれぞれのサーフェスには、以前ほどの差はない。芝コートは以前より球足が遅くなり、クレーコートは速くなり、ボールも速くなっている。以前ほど、サーフェスによって対応を変える必要はなくなっている」


「彼女はクレーコートでのスライド(コート上で足をスライドさせるステップ)にちょっと自信がないように見える。でもアンドレ・アガシ(アメリカ)はスライドをやらないで“全仏オープン”で優勝したわ。それも可能なのよ。ただクレーコートではスライドして、スライドでのストロークのタイミングを身に着けた方が有利ではある」


「もちろん彼女はクレーでも芝コートでも優勝できるわ。クレーでは、いつ攻めるかを学ぶこと。芝ではキックサーブがとても有効、きついバウンドが強調されるから。彼女のパワフルなショットは芝では他のサーフェスよりもっと効果がある。今年の“全豪オープン”でももの凄く効果的だったけどね」


「ウィンブルドン」で9回の優勝を誇るナブラチロワは、大坂に必要なのは芝コートでの経験を積み、そこでの動き方とタイミングに慣れることだけだと言う。大坂はこれまで3回「ウィンブルドン」本戦に出場しており、通算戦績は4勝3敗で、2度3回戦に進出している。


「彼女には無限の可能性がある。ただそのサーフェスに慣れて、勘をつかめばいいだけ。特に芝コートは、年に数えるほどしか大会がないから、大会以外でも時々芝コートを使えば良いのだけど。昔はオーストラリアと、“ウィンブルドン”の時期にヨーロッパで、芝コートのシーズンが2回あった、全部で6週間ぐらいね。今は2〜3週間しかない。だからみんなあまり慣れていないのが見ていてもわかる。でも必要なのは慣れることぐらいで、あとはさほどプレーを変える必要はないのよ」とナブラチロワは語った。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2019年「WTAファイナルズ」でのナブラチロワ
(Photo by VCG/VCG via Getty Images)