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緊急宣言継続も、順調に回復

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)

2月の外国メーカー乗用車の新規登録台数は1万9744台で、前年同月比で96.0%と前月に比べ1.1ポイント低下してしまった。

【画像】ワゴンも選べる アルピナB3とD3 S【ツーリング】 全38枚

全体的には前年越えのメーカーが多いのだが、量販大手のフォルクスワーゲン(前年同月比57.8%)の不調が影響した。しかし、この春から新型ゴルフが導入されるので前年超えとなる日も近いと思われる。


コロナ禍のなか、高価格帯のクルマで順調に実績を伸ばすブランドがある。BMWアルピナもその1つ。

国産の乗用車の登録台数は、もともと弱い2月ということもあり22万6954台で前年同月比97.3%に低下。軽乗用車は13万4937台で1月に比べ各メーカーともプラスに転じ、前年同月比も104.7%と好調。クルマに対する需要が衰えていないことが伺える。

外国メーカー乗用車の新規登録台数をブランド別で見てゆくと、今月もイタリアとフランスのメーカーが伸びていた。ステランティス・グループのFCA/PSAは今月も好調。一方で、ルノーは新型ルーテシアの投入効果によりプラスに転じた。

受注から納車まで時間が掛かるエクスクルーシブ・クラスでは、2月はアストン マーティンが47台(前年同月比261.1%)。ロールス・ロイスが20台(前年同月比153.8%)と実績を伸ばす。

このカテゴリーで注目したい存在が、昨年秋から好調なセールスを続けるBMWアルピナだ。その理由を探ってみた。

BMWアルピナ なぜ伸びた?

真のエンスージァストを魅了するBMWアルピナは、高いパフォーマンスを備え、オーナーの趣味性を物語るさり気ない姿の中に爪を隠したエクスクルーシブなモデルを送り出してきた。

日本では総代理店のニコル・オートモビルズが1983年に取扱いを開始して以来、じっくりと育ててきたこともあり、独自のステイタスを築く。


絶対的な登録台数はもちろん少ない。しかし、こうした趣味性の高い高額モデルの売れ行きは、ときとして量産ブランドの実績の増減よりも示唆に富むものがある。

「いつかはアルピナ」という憧れを抱かせる存在となっている。

BMWアルピナの登録台数を見てゆくと2020年中盤はコロナ禍で落ち込んだものの、10月に前年同月比で130.0%に回復。以来前年超えで推移し、2月は31台の登録を数え前年同月比206.7%と躍進を遂げている。

ニコル・オートモビルズに好調の理由を問うと、「10月から新型B3(G30系)が導入されたことと、国内発売を開始したばかりのディーゼルのD3 Sが人気を集めています。2月の登録台数を牽引したのがD3 Sで、約半分を占めます」と状況を説明してくれた。

さらに、「カーオブザイヤーを受賞して注目を集めたB3を数多く受注しましたが、登録に反映されるのは6月以降になります。おかげさまでB3の年内納車分は完売になりました」

「コロナ禍の影響でアルピナ社の生産調整が続いていて、この先の配車スケジュールは不透明です。気になるモデルがある方は、早めのお申込みがおすすめです」と教えてくれた。

2月 輸入車トップ10は?

緊急事態宣言下となった2月は、全ブランドの合計登録台数は前年同月比で微減したが、それでも今年1月に比べると121%と増加した形になる。

こうしたなかで、メルセデス・ベンツは72か月連続首位記録を樹立。新型Sクラスを含め3930台を登録し、前年同月比で91.6%と前月より3.9ポイント回復した。


新型ゴルフの予約受付けをはじめたフォルクスワーゲン日本法人。3月には改良新型パサート・ヴァリアント(写真)の日本披露も行い、巻き返しが期待される。

2位には1、2、3シリーズが好調なBMWが3094台(同113.6%)と、前月に比べ1094台を上積みするとともに、1月からの前年比増を維持。

3位はフォルクスワーゲンで、2244台(同57.8%)と苦戦。Tクロスが輸入車SUVトップの販売台数で頑張るが、ゴルフの落ち込みを補うまでには至っていない。

新型ゴルフはすでに1か月で1000台の受注を集め、Tクロスも3月からカタログモデルが販売されたので、もうしばらくの辛抱か。

4位は改良新型A4/A3/Q2が好調なアウディで、1833台(同101.4%)と好調を維持。

5位には定位置となった感のあるBMWミニが1691台(同114.6%)と今月も前年超えを記録し、6位にはボルボが1261台(同90.5%)で前月より約1割台数を伸ばした。

7位はジープが1092台(同110.6%)で奪取し、8位は同じステランティス・グループのプジョーが1040台(同145.9%)と今月も好調だ。

9位は新型ルーテシアが人気のルノーが723台(同139.0%)と大きく伸びて浮上。10位には勢いを取り戻したポルシェが691台(同126.1%)で続いた。

10位以下でもフィアットが449台(同107.4%)、シトロエンが363台(同118.6%)、アルファ・ロメオが172台(同147.0%)、DSが60台(同139.5%)とステランティス軍団が今月も元気だ。

このほか、マセラティが70台(同127.3%)、ロータスは25台(同178.6%)を記録し、趣味性の高いクルマ達が今月も前年超えを記録した。