コロナ禍で失業し多額の借金を抱えても、若者にとって再就職は厳しい(写真・tuaindeed/iStock)

2020年、コロナ禍が青年層に残した傷跡はそれぞれ似たような性格を持つ。契約職の仕事を解雇され、いつ確約できるとも思えない再就職を待っているチョン・ヨンジョンさん(31、仮名)と、コロナ禍ですぐさまクビを切られたキム・ジュンヨンさん(25、同)、失職後、カードローンで生活費をつなげているイ・ジュヒョンさん(34、同)の生活は、コロナ禍以前と比べ一変した。非正規職、契約職、最低賃金でのアルバイトなど、経済面で脆弱な青年たちは、コロナ禍で生存の危機に直面している。

韓国で初の新型コロナウイルス感染者が発生して以降、1年あまりが過ぎた今、彼らは依然として命をかろうじてつなぐ状況にある。

月4万円で母と食事を済ませる若者

2015年から地方のある福祉施設で契約職の社会福祉士として働いてきたチョン・ヨンジョンさんは、2019年12月に契約満了の通知を受けた。チョンさんはすぐさま再就職活動を行ったが、翌年1月に新型コロナウイルス感染者が発生し、その後の経済低迷で就職先を求めることがとても難しくなった。他の福祉施設になんとか就職を決めたものの、新型コロナウイルス感染症が不安という理由で就職が取り消される憂き目にも遭った。

チョンさんは2020年4月、毎月160万ウォン(約15万3000円)の失業保険が終わり、生活苦に陥った。持病を持つ母親と同居する20坪のマンションの家賃は月50万ウォン(約4万8000円)。支払いに充てるため残高300万ウォン(約29万円)の積立貯金を取り崩した。チョンさん母子は、ひと月約40万ウォン(約3万8000円)でコメとおかず1品だけ食べて生計を維持している。チョンさんは1人世帯が対象となる青年向け家賃補助制度も申請できなかった。

チョンさんは現在、自治体が発注する仕事で生計をつないでいるが、「政府の青年向け支援を受けようと思っても申請のハードルが高く申請できない」と打ち明ける。

2021年に大学4年生となったキム・ジュンヨンさんは、2020年2月に韓国南部・大邱(テグ)市のあるスーパーで売り子として働いていたが、店主から「無給休職同意書」を手渡された。閉店は一時的なものだろうと思いサインしたが、そのひと月後にキムさんは退職勧告を受けた。コロナ禍で売り上げが急減し、本社が契約職を整理する方針を打ち出したためだ。

幸いにも、雇用保険への加入期間が180日を超えていたため失業保険が出た。2020年3月から月110万ウォン(約10万5000円)ほど出る失業保険で半年を持ちこたえた。キムさんは売り上げが回復し始めた9月から再び同じ仕事に就いた。しかし、コロナ感染の第3波が押し寄せ、3カ月後に再び退職勧告を受けた。今回は雇用保険の期間が短く、失業保険を受け取れなかった。

キムさんは足りない生活費を賄おうと、韓国奨学財団から受け取る生活金貸出金150万ウォン(約14万3000円)とクレジットカードの短期ローン100万ウォン(約9万6000円)を借りた。キムさんは「1年間に2回も退職させられて苦しい生活が続き、うつ病の治療まで受けた」とこぼす。

チョンさんやキムさんのように、一時的であっても失業保険を受け取ったケースは、まだマシなほうだ。韓国南西部・光州市の英語学校の講師として働いていたイ・ジュヒョンさんは、2020年1月に学校が廃業し失職した。学校長は週末にも1日12時間講義せよと強要していたが、雇用保険などを支払っていなかった。彼女は家庭教師などで生計をつないだが、それさえも途切れてしまった。



イさんは「雪だるま式に増えていったカードローンの利子をこれ以上返すことができず、債務の返済調整を信用評価機関に相談している。私のように生活の糧を得ようと四苦八苦している人たちには、今の状況は就職の糸口さえつかめない状態」とため息をつく。イさんには、退職した両親と精神障害を持つ姉がおり、彼らに生計の補填は期待できない。彼女はクレジットカード2社のカードローンを利用していたが、借金は1000万ウォン(約96万円)にまで増えた。結局、彼女は家賃6カ月分を滞納したまま、両親と姉が住む実家に仕方なく戻った。

20代のローン残高が急増、再就職での返済も厳しい

韓国の青年が直面している現実の冷たさは、統計からも確認できる。2020年1月20日、韓国国会政務委員会所属の与党議員を通じて入手した資料がある。これは国内18銀行における「年齢別信用貸し出し現況」(金融監督院)だ。

これによると、2020年の20代の信用貸し出し残額は9兆6000億ウォン(約9200億円)で、前年の7兆4000億ウォン(約7100億円)と比べ29.7%増加している。これは、他の年代と比べても増加率が最も高い。30代も52兆1000億ウォン(約5兆円)で、前年の41兆6000億ウォン(約4兆円)と比べ25.2%増えた。一方、40代から60代以上の年齢層の増加率は10%台にとどまっている。

ソウル大学経済学部のアン・ドンヒョン教授は「青年層の債務は、現在のような氷河期中の雇用市場では再就職後に返済することが難しい。他の年齢層と比べ金額自体は少ないが、コロナ禍が長期化すれば大きな打撃となる可能性が高い」と見る。

とくに所得が少ない20代の場合、2020年のカードローンとリボルビング支払いの残額が大きく増えている。韓国の野党議員が金融監督院から入手したクレジットカード8社の「年齢別カードローン残額・リボルビング残額現況」によれば、2020年に20代のカードローン残額は1兆1410億ウォン(約1100億円)で、前年の9630億ウォン(約921億円)と比べ18.5%増、リボルビングの残額も前年比6.8%増えている。これもまた、他の年齢層と比べ増加率が最も高い。

韓国・檀国大学経済学科のキム・テギ教授は「2020年に韓国政府が打ち出した対策は、青年向け手当など支援金的な性格が強い政策にすぎない。こづかいをあげるといった対策ではなく、青年層への雇用そのものを考えた特段の雇用創出対策を出すべきだ」と指摘する。
(「ソウル新聞」2021年2月25日)