中山さん

写真拡大

 コロナ禍で若い女性の窮困が深刻化している。特に学生の間ではアルバイトのシフトを削られたことにより、中退や休学を余儀なくされるというケースも少なくない。

 大阪の大学に通う中山沙織さん(仮名22歳)もそんな1人。現在、大学3期生という中山さんはコロナ禍でアルバイト先が休業してしまい、学費を支払うのすら困難な状態だと話す。

◆幼少期に父親からのDV…家族とは絶縁状態の女子大生

「実家は三重県で家族とは、もうずっと連絡をとっていません。幼い頃から父親にDVを受けていて、そんな父を見ても母は見ぬふりをしていました。そんな母に『なぜ、何も言ってくれないのか』という疑問をずっと感じていました。中学を卒業して高校に進学するとき、両親は学費を出さないと言ったので奨学金を借りて入学しました。親と決別したのは大学2年生のときで、実家に帰ったときに父親と喧嘩して『二度と帰ってくるな』と言われたんです。大学の学費は入学当初から自分で払っていて、三重にはそれ以来帰っていません」

 入学後はアパレルショップ店員やキャバクラのアルバイトをしながら、高校の奨学金の返済と大学の学費を払い続けたという中山さん。だが昨年4月、新型コロナの影響によって事態が急変した。

「それまでは、大学に行きながら大阪のミナミのキャバクラに週6日出勤していました。時給は4000円で午後8時から翌朝4時まで働き、収入は毎月100万円近くありました。しかし、昨年4月の緊急事態宣言のときから店が休業してしまったんです。

 かろうじて4月までのお給料はもらえたのですが、5月以降の収入は0になりました。収入はすべて学費と生活費に当てていたので、貯金もわずかな程度しかありませんでした。月の支払いは高校の奨学金の返済が10万円、大学の学費は月割して5万円、それに家賃と生活費を合わせると最低でも30万円は稼がなければいけないんです」

 給料が手渡しの店は多く、筆者がキャバクラで働いていた時もそのケースだった。特に学生キャバ嬢は確定申告をしないなんてこともあり、中山さんもこれに該当する。そのため、持続型給付金の申請はできなかったのだ。

◆貯金が底を尽き…パパ活を始める

 やがて、貯金が底を尽きそうになった中山さんが選んだのはパパ活という方法だった。

「まずは梅田のキャバクラで働くことにしたんです。でも、ミナミに比べると時給がすごく低かったんです。さらにコロナ禍で店も暇なので、客予定がないと出勤させられないと言われました。ミナミのキャバクラのお客さんは何人かいたのですが、呼ぼうとしてもコロナ禍でほとんど呼べなくて。

 結局、キャバクラでは稼ぐことができなくて、そんなときに大学の友達に『パパ活が稼げる』という話を聞いて、パパ活アプリに登録したんです。パパ活にも種類があって中には高収入の男性しか登録できないものもあるのですが、それだと女性の審査にも時間がかかるそうです。すでに学費の支払いが手一杯だったので、てっとり早く男性と会えるアプリを選びました」

◆パパに財布を盗まれることも

 初めは数時間で4〜5万円稼げると思っていた……という中山さん。だが、待っていたのは思いもよらない現実だった。

「男性の入会審査や身分証も必要ないアプリだったので、変な人がたくさんいるんです。それに登録している女性の数も多く、相場も安くて中には値切ってこようとするパパもいました。その金額で了承して、実際に待ち合わせ場所に行っても、声を掛けると『人違いです』と逃げられたこともあります。

 特に最悪だったのは、パパにお金を盗まれたことです。バッグから目を離した隙に、財布からお札を抜かれて逃げられたんです。その日は支払いがあって財布の中に13万円入れていたのですが、すべて盗まれました。警察に被害届を出そうにも、アプリのメッセージ機能でしかやりとりしていなかったので身元も分からなくて。泣く泣く諦めるしかありませんでしたね」

◆コロナで困窮する学生は多い

 中山さんのように稼げると思ってパパ活を始めてみても稼げなかったり、トラブルに巻き込まれてしまうという話は非常に多い。リスクを冒さずに稼ぐ方法は他にもあると思うが、まだ視野の狭い22歳の彼女には判断が難しいのかもしれない。

 家庭環境を含めて中山さんのようなケースは極めて稀かもしれないが、コロナ禍で困窮する学生にという意味では氷山の一角なのかもしれない。<取材・文/カワノアユミ>【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは @ayumikawano