「DV・モラハラ夫に仕立てられた」離婚で親権を奪われた男性の後悔

【ぼくたちの離婚 Vol.19 嘘つきと酔いどれ #2】

 先進国で唯一、「単独親権」を採用している日本。離婚後は片方の親しか親権を取得することができないため、離婚の際には子の激しい奪い合いが起こり、ときに子の「連れ去り」などの強行手段に出ることが問題視されている。

 都内の光学機器製造会社に勤める岩間俊次さん(仮名/44歳)も、妻に子を連れ去られた一人だ。

【前回のあらすじ】
俊次さんは36歳のときに妻・結衣さん(仮名/当時32歳)と同棲を開始。結衣さんの精神不安定ときつい仕事でストレスをため、酒浸りになる。同棲3年目に娘が誕生するが、ある日の深夜、結衣さんと取っ組み合いの喧嘩になり、彼女に警察を呼ばれてしまう――。

◆首を締めたことになっていた

「結衣は『配偶者による暴力』を主張していましたが、正直、ほんとかよ、という感じで……。たしかに僕は酔っていて言動が不安定だったかもしれませんが、手を上げた記憶はない」

 正直、筆者には判断がつかない。

「暴れる結衣をちょっと押さえつけたことが、『首を締められた』ことになっていました。取っ組み合いの際、彼女がたまたま僕の足に踏まれる体勢になったり、もみ合いで床に頭をぶつけて怪我をさせたりしたかもしれませんが、それを言ったら、僕だって頭を強打してコブができたし、口の中も切りましたからね」

 岩間さんによれば、結衣さんが後に裁判所に提出した資料には、顔面に痛々しいアザのついた結衣さんの写真が添えられていたという。しかし、岩間さんはその写真を信じていない。

「アザを“描いた”のかもしれません。そもそもこの写真、取っ組み合いをしてから警察が届くまでの間に自撮りしてるんですが、あまりにも用意周到すぎると思うんですよね」

◆「金庫のお金も勝手に使われた」

 すべて計画の上での行動だった、と?

「証拠保全というやつですね。事前に弁護士や友人のアドバイスがあったのではないかと踏んでいます」

 結衣さんに対する岩間さんの不信感が、堰(せき)を切ったようにあふれ出す。

「結衣は障害者手帳を持っていましたが、詐病(さびょう)の可能性もあります。根拠ですか? パニック障害に悩まされていた時期、通院して薬を処方してもらってたんですが、ある時、しれっと薬を飲まなくなったんですよ。障害者手帳の更新も一時さぼっていたけど、特に困っている様子もなかった」

 通院や手帳の更新が滞ったからといって、詐病と決めつけるのは早計ではないだろうか。しかし岩間さんは続ける。

「同棲中、僕が金庫に入れていたお金を勝手に使われたことがあります。問いただしたら、専門学校時代に学費を払うためにした借金の返済にあてたと。そんなこと初耳でしたし、証拠の書類も見せてもらっていない。本当かどうか、わかりゃしません。結局うやむやにされて、お金は返ってきませんでした」

 なんとも……言えない。

「前夫にDVを受けていたというのも、絶対、嘘ですからね。結衣は平気で嘘をつく人間なんです」

◆「同じ夫が2度目の問題を起こした」

 移送された警察署では、岩間さんが酩酊していることが大きく不利に働いた。

「警察からすれば、酔っ払ってるオッサンが何を言ったところで信じません。DV野郎だと決めつけられ、とにかく家に戻るなと言われました。担当警官からは『戻ったらどうなるかわかってるな?』という無言の脅しを受けて、仕方なく、その後はしばらくビジネスホテルと友人の家を転々としました」 2週間後、裁判所から「申立書」が届く。申立人は結衣さん。配偶者から暴力をふるわれる可能性があるということで、岩間さんは結衣さんの住居(無論、岩間さんの住まいでもある)に近づけなくなった。いわゆる接近禁止令である。岩間さんは当然抗告したが、あえなく棄却。それには理由があった。