2021年クラシック候補たち
第10回:エフフォーリア

「クラシックへの登竜門」と言われるGIII共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)を無傷の3連勝で制して、クラシックの有力候補に躍り出た馬がいる。

 美浦トレセンの鹿戸雄一厩舎に所属するエフフォーリア(牡3歳/父エピファネイア)だ。


共同通信杯で鮮やかな勝利を飾ったエフフォーリア

 同馬は昨夏の2歳新馬(8月23日/札幌・芝2000m)でデビュー。1番人気に応えて、見事に初陣を飾った。

 2戦目はおよそ2カ月半後、1勝クラスの百日草特別(11月8日/東京・芝2000m)に臨んだ。初戦と同様、道中は好位を追走。直線を迎えて、やや行き場を失っていたが、残り300m付近で前が開くと、メンバー最速の上がり33秒4という末脚を繰り出して一気に突き抜けた。

 そして迎えた3戦目が、共同通信杯。GI朝日杯フューチュリティS(12月20日/阪神・芝1600m)2着のステラヴェローチェら骨のある面々と顔を合わせた。

 このレースでもスッと好位につけて、3、4番手を追走。直線に入ると、馬場中央の前が開けた絶好の位置を取って加速していく。坂下で早くも先頭に立って、最後は2着馬に2馬身半差をつけての完勝だった。

 堂々としたレースぶりで3連勝を決めたエフフォーリア。このままクラシック第1弾のGI皐月賞(4月18日/中山・芝2000m)に向かう予定だ。

 難敵相手の一戦を制して、大一番でも人気の一角となることは間違いないだろうが、陣営の評価はどれほどのものだろうか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「1歳の頃から大きな馬体で雰囲気があり、鹿戸調教師は当時から『いい馬だ』とこぼしていたようです。デビュー1週前の追い切りでは、他厩舎のオープン馬トーラスジェミニと併せて先着。実戦並みのタイムを叩き出しました。

 この時、エフフォーリアに騎乗していたのが、3戦ともコンビを組んでいる主戦の横山武史騎手。その動きに、ベタ惚れだったようですよ」

 早い段階から確かな素質を感じさせていたエフフォーリア。さらに、ここまでの3戦を振り返っても、陣営は「現時点でケチのつけようがない」と話しているという。

「当初は瞬発力がどれだけあるか、少し不安があったみたいですが、2戦目、3戦目と33秒台の切れ味を発揮。それで、すべての不安は払拭されたようです。

 年末のGIホープフルS(12月26日/中山・芝2000m)をパスしたのは、『まだ体質の弱いところが少しあったため』とのこと。しかし、それから2カ月ほどで随分としっかりしてきました。おかげで、スタッフは『折り合いにも注文がなく、どんな展開も対応できる』と、今後に向けて自信の表情を浮かべていました」

 今、若手で最も勢いのある横山武史騎手が惚れ込んだエフフォーリア。皐月賞でともにGI初制覇を果たすのか、注目である。