「前の車、眩しくない?」 夜間走行時の室内灯の使用は違反なのか

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走行中にルームランプを点灯するのは道路交通法違反?

 夜間の走行中にクルマのルームランプを点灯すると、道路交通法違反で警察官の取り締まられるという話があります。なぜ、走行中のルームランプ点灯は違法になるといわれているのでしょうか。

夜間走行中の室内灯は遠くからでもわかる。この場合、後続車や対向車の妨げになりうる場合は違反となることも

 道路交通法にはルームランプ(室内灯)に関する明確な決まりはありません。

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 ただし、ルームランプが直接の原因ではなくても、道路交通法における「安全運転義務違反」に問われる可能性があります。

 道路交通法第70条では「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と規定されています。

 そのため、自分のハンドルやブレーキを確実に操作できない行為は違反の対象になる場合があるのです。

 また、ルームランプの光の特性が自分や他人の運転に悪影響を与えることも違反になってしまう可能性があります。

 一般的に、暗い場所から明るい場所を見るときはよく見えますが、明るい場所から暗い場所は見えにくいため、ルームランプをつけた場合明るい車内から暗い車外を見ると外の様子が見にくくなります。

 そのため、車内が明るい状態だとドライバーの確実な運転操作ができない恐れがあり、取り締まりの対象になる可能性があるのです。

 安全運転義務違反は、「前方不注意」「安全不確認」など7つに区分されており、交通事故の70%が安全運転義務違反によるものとされています。

 警察庁交通局によると2017年における交通事故の発生状況では、安全不確認が30.7%とさまざまな状況下でもっとも多かったようです。

 なお、安全運転義務に違反した場合には、違反点数が2点、反則金は普通自動車の場合9000円が科されます。

 取り締まりをおこなう警察官は、ルームランプについて以下のように話します。

「ルームランプをつけて走行しているからといって積極的に検挙して切符を切るわけではありません。

 ただし、道路交通法第70条の安全運転義務違反に抵触する可能性があることは忘れてはいけません。

 車内が照らされることによってガラスが反射して周囲が見えにくいと事故に繋がりますし、ほかのドライバーを眩惑して事故につながる可能性も考えられます。

 事故を起こしたときにルームランプが点灯していた事実が明らかになれば、過失運転致死傷罪に問われることもあるかもしれません。

 そのため、警察が危険と判断すると、注意および取り締まりをおこなうことはあります。

 危険を未然に回避するためにも、ルームランプの使用は停車時が望ましいでしょう」

※ ※ ※

 一方で、路線バスなどは室内灯をつけたまま走行しています。

 これは乗客の安全確保の義務によるもので、道路交通法第52条1項では次のように定められています。

「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする」

 このように、車内が暗いままだと乗客が安全に歩行できない点や、防犯上の理由もあり、夜間に限らず室内灯の使用が義務付けられています。

 外が暗い夜間に室内灯を使用したまま走行すると外の景色が見づらくなって事故につながるほか、車内が鏡のようにガラスに反射することでさらに車外の状況把握が難しくなることがあるため、出来る限り安全な状況で使用するのが望ましいといえます。