菊原智明氏

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新型コロナウイルスが全世界を覆い尽くしてから約1年、働き方は大きく変わった。リモートワークが普及した一方で、働き方を自分の裁量に任されるようになった部分も大きく、職場は依然として大混乱をきたしている。私たちは今、どう働くべきか? 営業コンサルタント・菊原智明氏に話を聞いた。

◆営業売上3倍増。デジタル全盛こそ逆張りのアナログに勝機あり!

 営業先や顧客への対面営業が難しい今、リモートツールを駆使したデジタル営業に舵を切る企業は多い。しかし、「そこはすでにレッドオーシャン」と指摘するのは、手書きの“営業レター”でトップセールスマンに上り詰めた営業コンサルタントの菊原智明氏だ。

「ウェットな人間関係に頼れないデジタル営業で勝つには、強い商品力やリモートをものともしないプレゼンテーション力が必要。むしろ、ブルーオーシャンはアナログ手法に広がっています」

 菊原氏はデジタル全盛における手書きの有効性をこう解説する。

「経費と時間のかかる手書きの営業レターは、効率や生産性と逆行するため、ビジネスシーンから失われつつある。だからこそ、相手にインパクトを与えられます。

 また、ベンチャー企業は別として、中小企業の経営者をはじめ、組織の決定権をもっているのは、まだまだ中高年がメイン。彼らは手書き文化で仕事を覚えてきた世代。

 手書きというひと手間に心動かされるし、そこに仕事への熱量や本気度をくみ取ってくれます」

◆あえての「アナログ」が付加価値に

 だが、信頼関係が築けていない相手にいきなり営業レターを送るのは厳禁。写真を添付し、その吹き出し部分のみを手書きにする。

「写真があると、受け取った人はぐっと親近感を抱いてくれます。そして、最初の手紙を送ったら、業界のトピックや問題の解決方法などを記した“お役立ち情報”を送る。

 半透明の封筒を使い、最初の手紙と同じ顔写真が目視できるようにするのがポイントです」

◆外資系損保の営業マンが部長に昇進

 この営業レターでは自社の売り込みは一切せず、「○月○日にお電話します」とだけ記しておく。

「実際に電話すると3割くらいの人から拒否されますが、そこは気にしない。残りの7割の人に月1回のペースで営業レターを送り、3か月後にまた電話で確認。トータル10通に達しても反応がなければ脈なしとして諦め、10通までに色よい反応があれば、そこから売り込みを始めます。

 外資系損保の営業マンは社内にある名刺をかき集め、この方法で手紙を書き続けたところ売り上げが3倍増。営業部長に昇進しました」

 手紙と根気。そんなアナログさこそ、リモート時代には付加価値を得られるのかもしれない。

【営業コンサルタント・菊原智明氏】
営業サポート・コンサルティング代表。新著『テレワーク・オンライン時代の営業術』(日本能率協会マネジメントセンター)が発売中。

<取材・文/週刊SPA!編集部> ―[働き方革命]―