恐ろしい…相場より2割ほど「安いタワーマンション」の末路

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不動産投資家にとって、投資物件の立地や価格は非常に重要な判断ポイントです。しかし、その部分だけ見て「お買い得」「割安」だと思って飛びつくと、想定外のデメリットが潜んでいるケースもあるため注意が必要です。本記事では、「利便性の高い準工業地域の一棟アパート」「バブル時代に建造された手ごろな区分マンション」「設備の整った借地権付きタワーマンション」を例に、一般投資家が見抜きにくい「訳あり物件」について解説します。

準工業地域は、交通・商業利便性の良い場所が多いが…

「準工業地域」は、都市計画法によって定められた用途地域の1つです。準工業地域には住宅や店舗・オフィス、ホテルのほか「工場」も建てられます。

ここでいう工場とは、自動車部品工場や金属加工場程度の町工場を指しています。古くから町工場が林立するエリアは準工業地域に指定されており、東京の港区や中央区などの都心部にも準工業地域があります。

都心の町工場で働いているのは60〜80歳代の高齢者で、後継者はおらず、工場経営者は「従業員が引退したら廃業する」と考えているケースがほとんどです。工場の立地は交通・商業利便性の良い都心の一等地です。廃業後は工場を取り壊し、土地を担保にローンを組んで賃貸アパートを新築すれば家賃収入が得られるでしょう。

しかし、その土地が金属加工場やクリーニング工場跡地である場合、洗浄剤等として有害物質を使用していれば土壌汚染が残る可能性があります。

賃貸アパートを建てることはできますが、問題はこのアパートが売りに出されたときです。

所有者(売主)が高齢のため過去の土地使用履歴を語らず、仲介する不動産業者が環境調査を怠ったら、土壌汚染の事実は買主に伝わりません。契約・引き渡しから数年後、アパートの入居者に土壌汚染による健康被害が発生した場合、いまの所有者(買主)がその責任を取らなくてはなりません。

土壌汚染が懸念される工場や作業所は、役所への届け出が義務付けられています。所轄の市区町村役所へ行けば届け出名簿が閲覧できますので、もし購入予定物件の用途地域が「準工業地域」だった場合は契約前に閲覧することをオススメします。

(※写真はイメージです/PIXTA)

区分マンションは「管理状況」を必ず精査しよう

区分マンションの購入を検討する際、なにを基準に判断しますか? 駅からの距離? 綺麗な内装? あるいはバルコニーからの眺望でしょうか?

もちろんそれらも大切ですが、区分マンションを選ぶ際にまず確認したいのは「管理状況」です。管理組合の有無はもちろん、管理実務はマンション管理専門業者への委託か、それとも自主管理か、管理費・修繕積立金は健全に運用されているか…などについて調べておく必要があります。

事例として現在販売中の、駅徒歩5分、9階建てマンションの最上階メゾネットタイプ住戸のケースを見てみましょう。

総戸数は18戸と少なく、管理費・修繕積立金は少々割高です。とはいえ、室内は水回りを含めてフルリフォームされていて新築同様。すぐに契約が成立しました。しかし、買主が引き渡しを受けて入居すると、いろいろな不具合が発覚します。まずはバルコニーの浸水です。これは共用部分にあたるため、買主は管理組合の理事長に相談を持ちかけました。

理事長はこの近辺の元地主で、マンション建設時は一棟全室を所有していました。しかし諸般の事情から、一室また一室と売却し、残ったのはワンルーム一室で、現在はそこに暮らしています。理事長は「ほかの理事と相談する」と言ったきり、数週間返事をくれません。

その間にもバスルームの壁の膨張という、新たな不具合が発生しました。

管理組合があてにならないので、買主自らリフォーム業者を手配し下見をしてもらったところ、「屋上か外壁から内壁への浸水があり、長い間水が抜けない状態になっていたため、溜まった水が室内(バスルーム)壁を膨らませたものと思われる」とのことでした。

このマンションは築30年ですが、大規模修繕の履歴などはありません。理事長に聞くと、「修繕が必要な箇所は気づいたときに適宜工事をしてきた」ということで、屋上や外壁の全面防水・塗装は行っていないようです。そんな管理状況では浸水や壁の膨張が起きるのも当然です。

自主管理のマンションの多くは、1980年代から90年代のバブル経済期に建てられました。個人の地主が地元の工務店などから「今後高騰が予想される固定資産税の節税対策に」と勧められ、定期的な点検管理や長期修繕計画の知識もないまま強引にマンションオーナーにさせられるといったケースも頻出していました。こういった物件は現在も大手ブランドマンションと肩を並べて売買されており、一般の人が見極めるのは簡単ではありません。

見分ける手掛かりとなるのは、まず、バブル期築であること、管理形態が自主管理であること、総戸数が少ないこと、そして土地所有権が敷地権でない(建物と土地の所有権が別)ことなどが挙げられます。これらに該当しないか精査することで、該当の物件を避けることが可能です。

割安な「借地権付きマンション」の落とし穴

一般的に分譲マンションは「所有権(建物と土地の所有権が一体)」の物件が多いのですが、少数ながら土地が「借地権」の物件もあります。借地権には旧法賃借権と、平成4年に施行された新法借地権(定期借地権)があり、その取り決めはまったく異なるため、注意が必要です。

大きく違うのは、旧法が賃借人擁護であるのに対し、新法(定期借地権)は賃貸人擁護である点です。旧法は、土地上の建物が存在する限り賃貸借契約を更新できますが、新法(定期借地権)は契約期間が50年以上で更新はなく、契約終了時には建物を取り壊し、土地を更地にして地主に返還するというルールになっています。

事例として、都心の風光明媚な高台に建つ、ある中古タワーマンションのケースを見てみましょう。

その物件は、周辺のマンションより2割ほど安値で売られています。1戸だけが安いのではなく、そのタワーマンション内の住戸はどれも相場の2割程度安いのです。なぜなら、新法の定期借地権マンションだからです。借地なので毎月地代はかかりますが、固定資産税と都市計画税を支払わずに済みます。

建物を内覧すると、広々としたエントランスホールにはカフェスペースがあり、最上階には展望ラウンジ、ゲストルーム完備など共用部の充実ぶりに心惹かれます。住戸内からの眺望も良く、「相場の2割安でこのマンションが買えるなら借地権もアリかな」と契約してしまう人が多いようです。

しかし、土地の賃貸借契約残存年数によっては返済期間35年のローンは組めません。築年数が経つごとに長期ローンが組みにくくなり、将来売却する際も買手が付きにくくなります。さらに心配なのは、土地賃貸借契約終了後の解体費用です。タワーマンションともなれば膨大な費用がかかります。毎月の管理費等とともに「解体費用準備金」を積み立ててはいるものの、その積立額面内で工事が収まるかどうかは分かりません。

しかし、そんな心配をよそにここ数年、都心の好立地に建つ定期借地権付きタワーマンションは増えています。比較的安値で眺望豊かなタワーに暮らせるということで、20〜30歳代の若いファミリーを中心に人気が高まっているようです。

ここを終の住まいと考えず、数年暮らして満足したら賃貸に出すのであれば、賢い選択かもしれません。タワーマンションであれば高い家賃収入が見込めますので、賃貸運用と並行して現金購入できる買主の申し出を待つのもいいでしょう。

デメリットを認識し、活用できるなら購入もアリ

価格だけに注目して物件を選んでいると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。しかし、今回紹介した3例は絶対に「買うべきではない」物件というわけではないのです。デメリットを把握した上で安く購入すれば、賃貸運用を経たあと、転売益を得られる可能性もあります。

不動産投資や不動産購入を成功させるには、市場を読む力や知識が必要です。迷ったときは、専門家やファイナンシャルプランナーに相談してみることも一助となります。