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登録車 昨年2月に比べ2.2%減

text:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

新型コロナウイルス感染拡大の余波から徐々にだが復調しつつあった日本の新車販売市場。

しかし、今度は自動車用の半導体の不足による減産および生産停止が発生し、とくに登録車の回復基調に少なからず影響が出た。

2月の登録車販売は、日産、ホンダ、マツダ、スバル、ダイハツが前年割れするなか、トヨタ、スズキ、レクサス、三菱自は前年超えを達成。半導体不足の影響は、「しばらくは続く見込み」との声も。

2021年2月の登録車の新車販売台数(日本自動車販売協会連合会まとめ:速報値)は、前年同月比2.2%減の26万2372台と5か月ぶりに前年割れを記録。

一方、2月の軽自動車の国内新車販売台数(全国軽自動車協会連合会まとめ:速報値)は、同5.0%増の16万9927台と5か月連続でのプラスを成し遂げる。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は同0.5%増の43万2299台と、かろうじて5か月連続でのプラスを達成した。

登録車の2月のブランド別新車販売台数では、減産および生産停止を余儀なくされた日産が前年同月比13.5%減(2万8229台)、ホンダが同14.6%減(2万3885台)、マツダが同1.4%減(1万4704台)、スバルが同11.0%減(8374台)と前年割れを記録。

また、前年の2月は新型ロッキーの発売後で販売成績が大きく伸びていたためにその反動が出たダイハツは、同32.7%減(4178台)とマイナスに落ち込んだ。

一方、半導体不足が及ぼす減産が限定的だったトヨタは同4.7%増(12万9741台)、スズキは同0.1%増(1万521台)、レクサスは同12.4%増(4758台)、三菱自は同17.1%増(3766台)と前年超えを成し遂げた。

続いて、軽自動車の市場についても確認しておこう。

軽 ホンダ以外、前年超え

軽自動車の2月のブランド別新車販売台数では、半導体不足によるNシリーズの減産を実施したホンダが前年同月比13.0%減(3万343台)とマイナスを記録したほかは、すべてのブランドが前年実績超えを達成する。

首位に立ったのはスズキで、同11.0%増(5万2654台)を成し遂げて5か月ぶりのシェアトップにつく。

ホンダの軽は、Nシリーズの減産を実施し、前年同月比で13.0%減に。軽市場のシェアは、5か月ぶりにスズキがトップに返り咲く。

激しい首位争いを展開するダイハツは同5.5%増(5万1531台)を達成したものの、第2位に陥落した。

また、新型ルークスの販売が堅調な日産は同12.9%増(2万1857台)、昨年12月にeKシリーズの一部改良を実施して販売台数を伸ばした三菱自は同16.6%増(5060台)とプラスを成し遂げる。

一方、OEM供給を受けるブランドでは、マツダが同15.1%増(3349台)、トヨタが同31.6%増(2866台)、スバルが同17.1%増(2264台)と、いずれも2ケタ増を記録した。

今後の動向は?

2月の新車市場の動向について業界団体の関係者は、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響もあったが、懸念していた自動車用の半導体の不足による減産および生産停止、それに伴う需給ギャップの発生が起こり、結果的に登録車がマイナスに落ち込んだ」と指摘。

今後の展開については、「自動車用の半導体不足は、しばらくは続く見込み。また、2月13日に福島県沖で発生した地震による部品供給不足で、トヨタや日産の一部工場で稼働が停止したことも、販売スケジュールに限定的ではあるが影響が出そう。各ブランドが年度末の決算期に向けて新型車や特別仕様車の発売、さらに販売キャンペーンなどを積極化させる予定だが、一方で生産状況がどのように推移するのか、さらに需給ギャップがどれくらい埋まるのか、注視していく必要がある」と解説した。