Mモデルとも異なる紳士的味付けはSUVでも健在

 アルピナといえば、BMW。BMWとはただならぬ深い関係があり、密接な関係を続けているが、それだけにキャラクターは本家であるBMWのどれとも異なる。つまりBMWを高性能化するという命題があるのにもかからず、「M」とも異なる味付けが施されているのだ。つまり、ベースのBMWの性能を大幅に引き上げているのにもかからず、Mのように獰猛に調教するのではなく、紳士的な振る舞いに終始するのがアルピナの特徴である。

 そんなアルピナが日本に導入した最新モデルが「XD4」である。そのネーミングから想像できるように、X4がベース。日本仕様には導入されていないディーゼルエンジンを素材にチューニングされているのだ。

 搭載されるパワーユニットは、直列6気筒の3リッターディーゼルターボであり、「クワッドターボ」と表現される。といってもターボチャージャーを4基組み込んでいるわけではなく、シーケンシャル2ステージターボと呼ぶシングルターボを2基組み込んでいることから、2×2=2(?)という紛らわしいツインターボなのだ。

 最高出力は388馬力/4000-5000rpm、最大トルク770N・m/1750-3000rpmを絞り出す。走り出して真っ先に感じるのがこのパワーフィールで、低回転域からなんの迷いもなくトルクが溢れ出すのだ。アイドリングの瞬間からフルトルクを見舞うようなセッティングなのである。そんな出力特性から想像するに、本当にターボチャージャーを4基組み込んでいるのかと疑いたくなったほどである。

 しかも、ディーゼル感覚がない。アイドリングの振動やノイズは、少なくとも室内にいる限り耳に届かない。エンジンを始動させても、実際に発進するまで、いや、実際には走り始めてしばらくするまで、ディーゼルであることに確証が持てないでいた。耳を澄ませて、感覚をバイブレーションを拾い集めようとしなければ、ガソリンモデルと遜色がないのである。ちなみに、豊かなトルクとレスポンスのある極低回転特性は、電気モーターのようである。

 実際にフル加速をしても、その瞬間すらもガソリンエンジンのそれである。強力な加速力であり、回転計の針も弾けるように駆け上る。ようやくディーゼルであることの確証が持てたのは高回転域に達したときである。ガソリンだったら7000rpmほどまで弾けるはずが、5000rpm付近で頭を叩いた。ディーゼルとしては異例に高回転まで回るが、それでもガソリンとは異なる。ディーゼルであることの証はそれだけなのだ。

 となれば、ハンドリングも小気味よい。ステアリング初期からシャープな反応を示すばかりか、不快なロールをするわけもない。重心高の高いSUVでありながら、極めてフラットライドな姿勢を保つ。

 それでも唯一アルピナらしくない点があるとすれば、乗り心地の粗さである。試乗車は豪華な22インチタイヤを奢っており、路面からの突き上げが確認できた。轍にタイヤが取られる場面も少なくない。

 それにしてもアルピナXD4は、まごうことなき高性能かつ豪華なSUVである。室内の装飾はアルピナらしく紳士的なもの、高級な本革や華美ではない加飾に彩られており、落ち着いた空間なのだ。

 ちなみにアルピナには、個性のことなるディーゼルエンジンを搭載するXD3もラインアップされている。おそらくそのモデルも、上質な走り味に違いない。