ホンダ新型「ヴェゼル」登場で小型SUV市場が混戦!? ライバル「C-HR」との違いは?

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2代目へとフルモデルチェンジするホンダ「ヴェゼル」

 2013年に初代モデルがデビューしたホンダ「ヴェゼル」が、いよいよ2021年4月に2代目へとフルモデルチェンジします。

 フルモデルチェンジに先立ち、2021年2月18日に新型モデルが世界初公開されました。

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 都会派のSUVとして人気を博したヴェゼルですが、新型は上質感を高めたモデルへと刷新。

 ライバルとなるトヨタ「C-HR」とはどのようなところが違うのか、新型ヴェゼルとC-HRを比較してみます。

左:ホンダ新型「ヴェゼル」/右:トヨタ「C-HR」

 コンパクトSUVのヴェゼルとC-HRですが、現行ヴェゼルのボディサイズは全長4330mm-4340mm×全幅1770mm-1790mm×全高1605mmです。

 新型ヴェゼルの詳細は明らかになっていませんが、ボディサイズはあまり変更されないといわれており、従来モデルとほぼ同等と考えて良さそうです。

 一方のC-HRは、全長4385mm-4390mm×全幅1795mm×全高1550mm-1565mmと、全長・全幅はC-HRのほうが大きく、全高はヴェゼルのほうが高くなっています。

 なお、両車とも全幅1700mmを超えるため、3ナンバー車となります。一見するとコンパクトなサイズには見えませんが、全長が4300mm台と比較的短く抑えられていることから、コンパクトSUVに分類されています。

 C-HRはクーペスルックを強調したスタイルが特徴ですが、新型ヴェゼルにもクーペ風のデザインが取り入れられることになりました。

 新型ヴェゼルのデザインは、新たな時代にふさわしいSUVとしてゼロから考え直したといいます。

 全体的にはクーペのようなプロポーションを際立たせつつ、フロントはボンネットが前へ突き出した立体感のあるノーズに刷新。

 シャープなデザインのヘッドライトと、ボディ同色の個性的なルーバーグリルを採用することで、精悍さと力強さを兼ね備えたデザインへと生まれ変わりました。

 なお、新型ヴェゼルのウインカーは、光が流れるように光るシーケンシャルターンシグナルランプ(フロント)となります。

 リアのデザインも大きく変更され、とくに横一文字に光るリアコンビネーションランプが洗練された印象です。

 内装はHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)に基づき、オーソドックスだった従来モデルから一転して新型ヴェゼルは洗練されたデザインへと進化しています。

 運転時の視界に入りやすい位置にメーターやオーディオパネルを配置。さらに、着座位置を崩さずに自然に手が届く場所にスイッチ類を設置することで、スムーズな運転動作が可能になりました。

 さらに、新型ヴェゼルは「パノラマルーフ」を採用し、前席・後席ともに開放感のある室内を実現しています。

 対するC-HRの外観はダイヤモンドをモチーフに、強く絞り込んだボディを実現していますが、2019年のマイナーチェンジでデザイン変更を受けました。

 フロントはエアインテークを左右に広げてワイドスタンスを強調し、モダンで洗練された雰囲気とスポーティさを兼ね備えたデザインとなっています。

 上位グレードに装着されるヘッドランプは、上部に長く伸びるLEDクリアランスランプをデイライトとターンランプのダブルファンクションとしました。

 なお、リアコンビネーションランプには右左折時に内側から外側へ流れるように点灯する「シーケンシャルターンランプ」を採用しています。

 内装は、質感や形状、色など細部にこだわり大人の感性に響く意匠を追求したほか、メーターを中心とした操作パネルをドライバーに向けて配置するなど、運転に集中できるドライバーズ空間を実現。

 ホールド性に優れたスポーティシートを設定するとともに、座面の厚みや硬度を最適化することで圧力を分散し、ロングドライブでも疲れにくいシートを採用しました。

 なお、新型ヴェゼル・C-HRともに、リアのドアノブがCピラーに内蔵されることも特徴のひとつとなります。

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 新型ヴェゼルとC-HRは、標準仕様とは異なるデザインの仕様をラインナップしています。

 新型ヴェゼルはボディ同色グリルが印象的ですが、ホンダアクセスによってメッキとグロスブラックを組み合わせたメッシュグリルが用意され、存在感のあるスタイルを楽しむことができます。

 C-HRにおいては、よりスポーティさを追求したグレードとして「GRスポーツ」を設定。専用のフロントバンパーや大開口フロントアンダーグリル、19インチ大径タイヤなどを装備した仕様も用意されました。

ハイブリッドがメインの新型ヴェゼルとターボ×MTを設定するC-HR

 パワートレインは両車で異なります。

 新型ヴェゼルには1.5リッターガソリンおよび1.5リッターハイブリッドが設定されていますが、従来モデルにあった1.5リッターターボが廃止されました。

ホンダ新型「ヴェゼル」

 新型ヴェゼルの主力となるハイブリッド車は、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用。

 エンジン走行とモーター走行を状況に応じて切り替えることで、スムーズな走りから安定感のある走り、モーターによるパワフルな走りまで、さまざまな走行性能を味わうことができます。

 駆動方式は、ガソリン車・ハイブリッド車ともに2WDに加えて4WDは「リアルタイムAWD」を設定。

 とくにe:HEV車のリアルタイムAWDは、エンジンの特徴である素早くリニアなトルク発生と、四輪に最適な駆動力配分をおこなうことで、悪路や雪道などにおいても安定したドライビングが可能になりました。

 一方C-HRは、1.8リッターハイブリッドと1.2リッターターボを用意しており、ターボ車(FF)のトランスミッションは、従来のCVTに加えて6速MT(iMT)も設定しています。

 ターボエンジンによる爽快な走りとMTを組み合わせることで操る楽しさを味わえるのは、スポーティなC-HRならではといえそうです。

 C-HRの駆動方式は、ハイブリッド車は2WD(FF)のみ、ターボ車は2WD(FF)と4WDが用意されました。

 安全装備について、新型ヴェゼルは「ホンダセンシング」を全車標準装備。広角カメラと高速画像処理チップを採用したことでこれまで以上に機能が進化しています。

 後方誤発進抑制機能や近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビームが新設定されるとともに、従来モデルにも装備されていたアダプティブクルーズコントロール(ACC)には渋滞追従機能を追加。

 また、これまでは上級車種にしかなかった安全機能も搭載され、フロント・リア・左右の映像を映す「マルチビューカメラシステム」や斜め後方の車両を感知する「ブラインドスポットインフォメーション」により、安全性を高めています。

 新型ヴェゼルはコネクティッド機能が新たに設定され、「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」を通じて、安心・快適なカーライフが楽しめるコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム」が利用可能になりました。

 ホンダ初の機能として、ナビゲーションシステムが新しい地図に自動で更新される「自動地図更新サービス」を搭載。

 ほかにも、スマートフォンがキーの代わりになる「Honda デジタルキー」や、車内でアプリが楽しめる「Honda アプリセンター」、「車内Wi-Fi」など、ホンダの量販車として初となる機能も備わりました。

 C-HRも充実した安心・安全装備を備えており、プリクラッシュセーフティやレーンデパーチャーアラートなどを含む「Toyota Safety Sense」を全車標準装備しています。

 さらに、インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]やリヤクロストラフィックオートブレーキ(パーキングサポートブレーキ[後方接近車両])、パノラミックビューモニターなどの安全機能をオプション設定可能とました。

 また、新型「カローラシリーズ」や新型「ヤリス」同様に、ディスプレイオーディオと車載通信機(DCM)を全車標準装備。コネクティッドカーとしてさまざまなサービスが受けられるようになります。

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 初代ヴェゼルは、2014年から2016年の3年連続でSUV年間販売ナンバー1を獲得していますが、2017年・2018年はC-HRにその座を譲りました。

 その後ヴェゼルは2019年にふたたびSUVトップに返り咲いたものの、2020年はトヨタ「ライズ」や「ヤリスクロス」の台頭もあり、年間トップには届かない状況となっています。

 新型モデルへと全面刷新されることでかつてのSUV王者が復活を遂げることができるのか、混戦模様のコンパクトSUV市場の行方が注目されます。