決意すれば、韓国は数カ月で核弾頭を製造可能――(写真は昨年行われた3000トン級潜水艦「安武」の進水式)

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漂流する韓国、中朝に従属

 保守が「米国への回帰」を唱えれば、左派は「中立」を訴える。バイデン(Joe Biden)政権の突き付けた踏み絵が韓国社会を二分した。韓国観察者の鈴置高史氏は「核武装中立」が落とし所と見る。

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鈴置:韓国の保守派が「米国側に戻ろう」と叫びます。バイデン政権が「次も反米政権を選ぶなら韓国を見捨てる」と脅したからです(「慰安婦問題を言い続けるなら見捨てるぞ 韓国を叱りつけたバイデン政権の真意は」参照)。

 朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆の「今、驚くべき話が出回っている」(2月18日、韓国語版)は、韓国が米国から見放された証拠を列挙しました。要約しつつ訳します。

決意すれば、韓国は数カ月で核弾頭を製造可能――(写真は昨年行われた3000トン級潜水艦「安武」の進水式)

・米国では今後、韓国は100%中国に付き、日本は100%米国に付くという見方が主流となった。米国の政府も民間も中国の台頭に深い警戒を共有する時に、北朝鮮と中国に行き過ぎた好意を示し、日本には行き過ぎた敵意を見せる文在寅政権が重なった結果だ。
・ヘーゲル元国防長官らが作成し、バイデン政権に提出した「核と安保」関連報告書は、米国が核の運用を豪州、日本、韓国と論議するアジア版核企画グループの創出を提案した。しかし、その直後に米国では「韓国を除け」との声が上がった。
・アインホン元国務省軍縮担当補佐官は「韓国は中国を意識し、参加しないだろう」とし、セイモア元ホワイトハウス調整官は「反対するであろう同盟国に対し、米国から先に提案する必要はない」と語った。
・ローレス元国防副次官は「韓国は結局、核を保有する北朝鮮に従属する可能性が高い。米国は日本に中距離核ミサイルを配備し中国と北朝鮮に対応せねばならない。この場合、米日はNATO式の核共有協定を結ぶことになる」と言っている。
・ランド研究所のべネット研究員は「北朝鮮が日本を攻撃する場合、米国の対北軍事作戦において韓国の立場を考慮する必要はない、との見解も米国で広まっている」と述べている。
・最近、米国でジョージ・ケナンの「ロング・テレグラム」に比肩すべき匿名の寄稿が登場した。ここでも「韓国が引き続き中国側に漂流している」との認識が示されている。同盟国とその敵国の間を綱渡りすれば、同盟は殻だけが残る。我々はその後をどこまで考えているのか。

朝鮮半島は誰の核の傘に入るのか

 楊相勲主筆は米国で「韓国は中国側」との認識が定着したうえ、米政府は韓国抜きの戦略を立てるようになった、と警鐘を鳴らしたのです。

「共通の敵」が消滅した米韓

 同じ2月18日に、中央日報も「見捨てられ」を警告する論説を載せました。ソウル大学のパク・テギュン国際大学院長の寄稿「米国にとって韓国とは何か」(日本語版)です。
 
 論旨は明快です。韓国は米国にとってさほど重要な国ではなかった。米国は韓国を中立化し軍事コストを削減しようと考えたほどである――。そして、結論は「米国に甘えていると捨てられるぞ」です。最後のくだりを引用します。

・米国の対韓政策は徹底的に米国の国家利益の観点に立脚しているのだ。国家利益を優先するため、つれないのだろか。そうではない。世界秩序は冷徹だ。韓国も徹底的に国家利益を優先しなければならない。
・韓米同盟は両国の国家利益が互いに一致する場合に継続可能だ。韓米関係が時代に合わせて進化するためには、何よりも「米国にとって韓国は何か」という質問に対する客観的かつ科学的な認識がなければいけない。同盟関係を我田引水のように理解すれば、これは両国間の関係をさらに難しくさせるだろう。

 米韓同盟からは「共通の敵」が消滅しました。米国は中国と北朝鮮を仮想敵に定めている。一方、韓国は中朝双方を仮想敵とは見なさなくなりました。そんな同盟が続くわけがありません。パク・テギュン教授は同盟を続けるには米国と同じ敵を設定するほかない、と静かに訴えたのです。

肝心な時に寝返った

――「韓国はさほど重要な国ではなかった」とは、厳しいですね。

鈴置:それが現実です。日本の植民地支配から解放した後、米国は韓国と同盟を結びませんでした。一時は信託統治による中立化を考えたほどです。

 米国が朝鮮戦争に派兵したのは、共産軍の韓国への侵攻を見逃せば欧州での侵略を誘発すると恐れたからに過ぎません。韓国そのものが大事だったわけではない。

 中朝と休戦協定を結ぶ際にも韓国との同盟には消極的で、李承晩(イ・スンマン)大統領の死に物狂いの懇願に根負けしてようやく結んだのです。

 しかし今や、多くの韓国人が勘違いしている。「共に朝鮮戦争を戦った血盟の関係だから」とか「米国は韓国に兵を置いておきたいから」とか理由を挙げ、わがままを言っても米国からは見捨てられないと信じている。まさに、我田引水です。

 パク・テギュン教授が言うように「客観的かつ科学的」に考えれば大状況が変化し、それらの理由は陳腐化しました。そもそも「血盟」は韓国が米国側の国であって初めて成立します。

 米国の若者4万5000人が命を落として守った韓国が、肝心な時に中国・北朝鮮側に寝返ったのです。それに気付いた米国人が「なぜ、我々が韓国を守らねばならないのか」と怒り出すのは当然です(「『文在寅外し』に乗り出した米日 『中国べったり』と見切り、政権交代待ち」参照)

 後者もピンボケの議論となっています。在韓米軍は陸軍を中心に構成されています。しかし中国との緊張関係が高まった現在、米陸軍を韓国から日本やグアムに移した方が合理的なのです(「日本への毒針? 原潜保有を宣言した文在寅政権 将来は『核武装中立』で米韓同盟破棄」参照)。

かっとなって中立化

――この寄稿は説得力を持ったでしょうか。

鈴置:読んだ人によります。筆者の狙い通りに「米国としっかりスクラムを組まないとまずいな」と考えた人も多いと思います。

 しかし、「韓国は米国にとって重要な国ではない」との指摘にかっとなって「じゃあ、いいよ。そんな同盟はやめる」と言い出す人もいるはずです。この寄稿の韓国語版の読者書き込み欄を見たら、やはり、そんなコメントが載っていました。ポイントを訳します。

・米国の第1の同盟国は欧州では英国、アジアでは日本だ。米国は韓国よりも日本を核心同盟国と見る。パク・テギュン教授によると、米国は韓国を中立化しようとした。現在、文在寅政権は米中間で綱渡り外交をしている。結局、中立姿勢である。米国は今の韓国に満足しているのでは?

 どうせ2線級の同盟国として扱われているのだ。米国から離れ中立国になろうじゃないか――との意見です。これに対する読者の「賛成」が3人、「反対」は4人でした。中立化を考える人がけっこういるのです。

「米国回帰」にはハードル

――でも、それは「かっとなって」の意見では?

鈴置:韓国では「かっとなって」物事が決まることが多いのです。それに「冷静になって」も、中立化を選ぶ人がいると思います。米国側に戻れば、いや、戻ろうとするだけで中国にイジメられるからです。米国への回帰は「言うは易く行うは難し」なのです。

 東亜日報の今年1月2日の社説の見出しは「『南北関係の修復より韓米同盟の強化が至急』という民意」(日本語版)でした。

 同紙が韓国人に「政権が至急すべきこと」を聞いたら「韓米同盟強化」が50・2%でトップ。「南北関係の修復」は17・5%に過ぎなかった、というのが論拠です。

 ただ、この世論調査によると「米中葛藤の中で韓国政府の採るべき道は?」との設問に対し、一番多かった答が「戦略的曖昧さを維持」(41・1%)、2番目が「韓米同盟を重視」(40・1%)、3番目が「中国との経済関係を重視」(11・7%)でした。

 バイデン政権下でもはや使えなくなった「戦略的曖昧さを維持」――米中二股外交に依然としてしがみつく韓国人が4割もいるのです。そのうえ「中国との経済関係を重視」する、親中派というべき人が1割いました。

 こうした「米国回帰」に踏み切れない韓国人を応援団に、文在寅政権は保守に対する反撃に出るでしょう。その際は「中立化」が有効なカードとなります。

 すでに着々と手を打っています。文在寅大統領は2020年9月23日に国連総会でリモート演説し、朝鮮戦争の終結を宣言しようと呼びかけました(「文在寅が国連で『同盟破棄』を匂わせ 激怒した米政府は『最後通牒』を突き付ける」参照)。

 終戦宣言を発すれば、北朝鮮を侵略者と見なして結成された在韓国連軍の存在意義が失われます。その主力は米軍です。米軍の撤収や米韓同盟解体に道を開きます。「中立化」です。

同盟の意義を疑う駐米大使

――国連軍の解体後も米韓同盟は残りませんか?

鈴置:文在寅大統領は演説で「多者的な安全保障体制が必要だ」とも述べました。韓国の左派は伝統的にOSCE(欧州安全保障協力機構)のような、敵対する勢力双方が参加する安保機構を結成し、米韓同盟に代えようと主張してきました。彼らが「多者的な安全保障体制」と言えば事実上、米韓同盟廃棄を意味するのです。

 この演説の少し前の9月2日には、統一部の李仁栄(イ・イニョン)長官が「韓米関係がある時点には軍事同盟と冷戦同盟を脱皮し、平和同盟に転換できると考える」と語りました(「文在寅が日米韓防衛会談を拒否、中国に忖度し堂々と米韓同盟を壊し始めた…」参照)。

 10月12日にはイ・スヒョク駐米大使が「韓国が70年前に米国を選んだからといって、今後70年間も米国を選択せねばならないというのか。国益に合致して初めて米国を選ぶということだろう」と語りました(「『核武装中立』に突っ走る文在寅、朝鮮戦争終結宣言で『米韓同盟』破棄へ」参照)。

 韓国国会の国政監査にリモートで参加しての発言ですが、現役の駐米大使が、米韓同盟が国益につながるとは限らない、と公開の席で言い切って同盟破棄を示唆したのです。

 大統領以下の一連の発言から、左派が米韓同盟を打ち切ろうとしているのは明らかです。ただ、D・トランプ(Donald Trump)政権の間は「今すぐに」というニュアンスではなかった。同政権は「中国をとるのか米国か」と韓国に厳しく迫らなかったからです。

 しかし、バイデン政権は完全に異なります。韓国に踏み絵を突き付けています。文在寅政権が任期中のどこかで、あるいは次期左派政権が本性をむき出しにする可能性が高まりました。

日本を見返すために核武装

――左派が同盟廃棄を訴えた際、2022年5月の大統領選挙で勝てるのでしょうか。

鈴置:「同盟廃棄」だけを訴えたら負けるでしょう。韓国人の多くが「米国との同盟を失ったら、誰が守ってくれるのか」と極度の不安に陥るからです。

 ただ、左派には奥の手があります。中立と核武装をセットで訴えればいいのです。「中立」と同時に「韓国も核を持つ」と宣言することで安保上の不安を払しょくする。そうすれば、中道はもちろん保守の中からも賛成する人が出るでしょう。

「核を持って周辺大国――特に、日本を見返す」のが韓国人の民族的な悲願です。保守にすれば、米韓同盟を続けたうえ核を持てれば一番いい。しかし、それは米国が許しそうにない。それなら「核武装中立」がもっとも現実的な核保有への道と考えるでしょう。

 そして中立。保守にとっても「絶対NO」ではありません。韓国の知識人のほとんどは若い時に一度は中立化を夢見ると言います。海洋勢力と大陸勢力が朝鮮半島を舞台に勢力争いする。だから我が民族が2つに割れた――と韓国では広く信じられているのです。

 外国の勢力を排除して本当に中立が実現するというなら、多くの韓国人が賛成するでしょう。それに保守だって中国は怖い。中国のイジメをものとせず、堂々と親米を貫く自信はないのです。

――しかし、朝鮮半島で中立が成功した試しはない。

鈴置:これまでは国力がなかったため周辺大国の干渉をはねのけられなかったのだ、と韓国人は考えています。

 左派が「経済力が世界10位前後に向上したうえ、核を持つから大丈夫」とささやけば、「外国勢力の干渉を史上初めて排除できる」との高揚感が国を覆うでしょう。「米軍が駐留する日本よりも格上」と、日本人に対しふんぞり返る韓国人が増えるのも間違いありません。

ミサイル原潜も保有へ

――核武装は簡単にできますか?

鈴置:核弾頭は韓国が決意すれば、数か月で製造可能と見られています。重要なのは、先制核攻撃を受けた後にも核を打ち返せる第2撃能力の保有です。韓国政府はミサイルを発射できる垂直発射筒を備えた3000トン級の潜水艦を近く就役させると明かしています。

 ミサイル原子力潜水艦の保有にも動いています。すでに韓国は潜在的な核保有国なのです(「日本への毒針? 原潜保有を宣言した文在寅政権 将来は『核武装中立』で米韓同盟破棄」参照)。

――核武装を世界が許しますか?

鈴置:国際的な非難を避けたいなら、核を持ったと発表しなければいい。イスラエルのように核保有を認めず、しかし持っていないとも言わない曖昧戦略をとればいいのです。

 北朝鮮との安保協力を誇示すれば「北の核弾頭と南のミサイル潜水艦を合わせ、完全な核武装国になった」と示唆することが可能です(『米韓同盟消滅』第1章第4節「『民族の核』に心躍らせる韓国人」参照)。

 もし、保守が政権をとれば「北朝鮮の核の脅威にさらされているのに米国の核の傘を失った以上、その権利がある」と、はっきりと核武装を認めるかもしれません。

朝鮮半島201Z年

――話が飛躍してきました。

鈴置:近未来小説『朝鮮半島201Z年』を2010年に出版した時も、そう言われました。韓国が「離米従中」し、朝鮮半島全体が中立化する――というストーリーです。当時から兆しが多々、出ていたのですが、決定的な証拠がないので小説の形で書いたのです。

 その後、「半島の中立化」と「南北共同の核」の証拠が積み上がってきたので2018年、今度はノンフィクションで『米韓同盟消滅』を上梓したのですが、それでもまだ、疑う人が多かった。

 米軍の中には2013年頃から「米韓同盟はいずれ消滅する」と語る人が出ましたが、なかなか主流の見方にはならなかった。

 しかしついに、「米韓同盟消滅」が米国の安保専門家の間で議論の前提となった。そのうえ、「韓国が北朝鮮と手を組んで民族の核を持つ」との見方が示され始めたのです。

「新朝鮮」の核は日本を向く

――楊相勲主筆が引用した論文ですね。

鈴置:『WEDGE Infinity』に載った「Nuclear North Korea and Japan-The INF Option」(2020年11月25日)です。「核保有国の北朝鮮と日本――INFオプション」(2020年11月27日)というタイトルで日本語版も出ています。

 筆者のR・ローレス(Richard Lawless)元国防副次官は朝鮮半島・日本を専門とする戦略家。朴正煕(パク・チョンヒ)時代から韓国で活動してきた超ベテランです。メディアにほとんど登場しなかったため、さほど有名な人ではありませんが、米国でも日本でも隠然たる影響力を持っています。

 そのローレス氏が「長期的には南北が一体化し、米韓同盟は解体に向かう可能性が高い」と断じたうえ、「『新朝鮮』は韓国の産業力と技術力を使って北朝鮮の核兵器を高度化し、それを日本に向ける」と予想したのです。

 さらに注目すべきは、「米国は日本にINF(中距離核戦力)を配備し、日本にもその引き金に関与する権利を与えよ」と主張したことです。

 「日本に核を向ける新朝鮮」と「軍事力増強を続ける中国」に日本が対抗するには、NATO式の米国との「核の二重鍵体制」を作るしかない、というのがローレス氏の論拠です。

 楊相勲主筆は「核共有」と表現しましたが、あくまで核弾頭は米国に所属します。ただ、その使用の可否は日米の合意に委ねる仕組みです。「二重鍵方式(dual key control mechanism)」と呼ばれるゆえんです。

「二重鍵」を日本に渡す理由

――なぜ、「二重鍵」を日本に持たせる必要があるのでしょうか。

鈴置:「米国の核の傘」――専門用語でいう「拡大抑止」への信頼性を増すためです。米国の同盟国は日本に限らず、常に不安を抱えている。「米国が自国の都市を核攻撃されるリスクを冒してまで、敵対国の核攻撃から守ってくれるのか」との疑いです。

 敵対国はその不安感につけ込んで同盟に亀裂を入れ、米国の同盟国を引き寄せようとします。日本の親中派が「いざとなれば日本を見捨てる米国など信用できない」と唱えるのもその一環です。

 それなら、日本にも米国の核ミサイルの引き金に関与する権利を与え、日本の対米信頼感を増せばよい。敵対国の誤解も減らして挑発を抑え込める――との発想です。米国から見れば、核の傘への不安を減じた日本が中立を宣言したり中国側に寝返る可能性を減らせる。要は、多面的な同盟強化です。

――引き金だけとは言え、日本が核を持つとは……。

鈴置:日本人は驚くでしょうが、「二重鍵方式」の主張が今後、高まる可能性があります。先ほど申し上げたように、同盟を強固にするには、日米双方の信頼感を一段と高める必要があるからです。

 楊相勲主筆が引用したC・ヘーゲル(Chuck Hagel)元国防長官らの報告書「Preventing Nuclear Proliferation and Reassuring America’s Allies」(2月10日)。

 「米国は核企画グループを作り、日本などを米国の核戦力に関する政策論議に参加させよ」と提言しています。「二重鍵」という単語は使っていませんが、「特定の核政策についてのプラットフォームを提供すべきである」とありますから、「引き金への関与」を指しているのは明らかです。

・The United States should create an Asian Nuclear Planning Group, bringing Australia, Japan, and South Korea into the US nuclear planning processes and providing a platform for these allies to discuss specific policies associated with US nuclear forces.

日本人は聞こえないフリ?

 韓国の保守は米国から核武装を認められないなら、せめて米国が核兵器を韓国に再配備し、その「二重鍵」を与えてくれないだろうか、と願っていた。楊相勲主筆にとってショックだったのは、「二重鍵」が日本だけに渡される可能性が出てきたからでもあります。

 もっとも、核アレルギーの強い日本では「二重鍵」は有難迷惑と感じる人が多いでしょう。ローレス論文やヘーゲル報告書は日本で話題にもならない。「聞きたくない話だから、日本人は聞こえていないフリをしている」と見る安保専門家もいます。

 日本には「韓国が米国から排除された」と喝采を叫ぶ向きがあります。でも、日本だって「二重鍵方式」を拒否すれば、米国から「2線級の同盟国」と見なされかねません。それは「中立化しない」「中国側に行かない」強力な歯止めと見なされるからです。

 韓国人があまりにも「のほほん」としていることに危機感を抱いた楊相勲主筆は「驚くべき話が出回っている」と警告しました。

 日本にとっても韓国とは別の意味で、驚くべき話が出回っている。そして日本人も「のほほん」としているのは同じなのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月22日 掲載