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2021年2月に発生した福島県沖の地震で東北新幹線が一部不通に。関東と東北のアクセスに影響を及ぼすなか、ANAが羽田と福島を結ぶ、距離200kmの非常に短い距離の臨時便を運航しました。その機内の様子をレポートします。

地震受け既存路線を増強+普段は飛ばしていない路線も

 2021年2月13日(土)夜、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、関東と東北のアクセスに大きな影響を与えました。この区間の交通の大動脈といえる東北新幹線が、設備の被災により、那須塩原〜一ノ関間で運転見合わせとなったのです。

 この鉄道の不通に際し、代わりに移動者の足となったのが、航空便です。航空会社各社は、平時運航されている東北路線の便数を増やしたことに加え、普段は定期便を飛ばしていない路線へも便を設定しました。


福島空港から羽田空港へ向け離陸するANA臨時便(2021年2月19日、乗りものニュース編集部撮影)。

 なかでもANA(全日空)が臨時便を設定した羽田〜福島線は、直線距離にして200km弱。その距離は、東京駅から浜松駅までに満たない程度です。この東北のピンチを救うべく出現した異色のフライトに、実際に搭乗しました。

 2021年2月19日(金)のNH1509便(羽田発福島行き)の航空券は、前日予約で片道1万5000円ほど。飛行機は120席仕様のボーイング737-700型機が用いられます。この機体は、上位クラスの「プレミアムクラス」と普通席を備える2クラス仕様ですが、両方に空きがある状況でした。

 羽田空港の出発ゲートは、第2ターミナルの南側に位置する67番から。搭乗者数は30人程度で、サラリーマンらしき人のほか、一部に動画配信者らしきカメラを持った人の姿も。新型コロナウイルス感染拡大下ということもあり、この臨時便は話し声がほとんど聞こえない、非常に静かなフライトです。

短距離フライトゆえの機内 でもサービスはANAらしく…

 距離にして200km弱、飛行時間でいえば30分程度のショートフライトとなる、ANA羽田発福島行きの臨時便は、第2ターミナル向かいのC滑走路を北へ向け午前8時40分すぎに離陸した後、ほぼまっすぐ北上します。

 ベルトサインが消灯したのは午前8時46分。消灯後間髪入れずに「15分程度でベルトサインが消えるので、お手洗いはいまのうちにお済ませください」というCA(客室乗務員)からのアナウンスが流れるのは、この距離ならではでしょう。ちなみに、フライト時間こそ短いものの、フルサービスキャリアらしくドリンクサービスが提供されます。


2021年2月19日のNH1509便の飛行ルート(画像:Flightradar24)。

 とはいえ、一般的にボーイング737シリーズを用いるような航空路線であれば、路線による差はあれど、おおむね巡航高度は3万ft(約1万m)を超える程度であるのに対し、この便の巡航高度は1万5000ft(約5000m)。臨時便は、その距離ゆえからか、多くの路線の半分の高度で福島に向かっています。

 ベルトサイン再点灯は午前8時59分ごろ。この日は空港を回り込むような形で旋回し着陸したためか、ほかの日より数分、飛行時間が長くなっています。とはいえ時刻表上の到着時間は9時20分なので、定刻で到着です。そして、降機までの待機時間、普通であれば上空で実施される「機長からのアナウンス」がここで実施されます。

 なおANAの公式サイトによると、羽田〜福島線の臨時便は、21日(日)以降の運航予定はないようです。またJR東日本は、東北新幹線を24日(水)に全線運転再開見込みであると発表しています。

【ぐるっと回る】ANA臨時便 福島空港着陸の様子を動画で見る