[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

写真拡大 (全3枚)

「一本化する過程」が大事なんですけどね!

森前会長の辞任後、二転三転する東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の人選。一部報道では候補が橋本聖子五輪担当大臣に一本化されたと伝えられ、後任選びが佳境に入ってきました。もっとも別の報道では山下泰裕氏がJOC会長との兼任で一本化とされていたり、小谷実可子氏で一本化と報じられたり、最低でも「三本化」という状態であり、まったく先行きが見えません。

↓候補Aへの応援の声:「総合的に勘案すれば候補Aでしょうなぁ!」


↓候補Bへの応援の声:「一本と言えば候補B、一本は候補Bにおまかせ!」


↓候補Cへの応援の声:「そもそもセクハラキス魔とその場で止めなかった同罪野郎は論外では?候補Cでいくべき」



ここに名前があがった候補も、そうでない方も、検討委員会で選考するのであればそれぞれ素晴らしい方たちなのでしょう。候補A・B・Cに限っても五輪担当相、JOC会長、組織委員会理事とそれぞれに五輪・パラリンピックに深く関わる仕事を務めておられ、オリンピアンとしてオリンピズムを深く理解されている面々です。五輪メダルを獲得するほどにアスリートとしても世界的な実績を残した方たちが、誠心誠意取り組むのであればきっと立派な仕事ができる。その点については「素人は黙っていようか」と思います。

しかし、今回の人事というのは仕事の出来不出来が問われたものではありません。実務面で言えば森前会長でまったく問題ありませんし、勇み足で立ち消えた川淵三郎氏なども筆頭候補と言える存在でしょう。そうではなくて「この国・この組織には女性蔑視とも言えるような、差別的・搾取的構造があるのではないか?」という点が問われ、五輪・パラリンピックの準備を進める以前にその疑念を払拭する必要があるということでの会長交代なのでしょう。

それを払拭するには「よくわからない誰かが謎のパワーや謎の基準で決めている」という構造そのものが存在しないことを示さなければいけないし、「黙っていない素人」たちが「まぁこれならええか」と思うことが必要なのです。そのためには検討委員会を非公開としたことは悪手ですし、その悪手を取らざるを得なかったのは「立候補」をさせなかったからです。

「立候補」を表明すれば自らの言葉でその決意を語る必要が出てきます。意欲・能力を示すことはもちろんですが、今回の一連の問題に関する自らの見解を明らかにし、どのように問題解決にあたるのかを語らなければならないでしょう。そして、検討委員会での検討に入る前に当然のこととして報道陣や「黙っていない素人」から「例のセクハラキスの件は、今回の問題ドストライクだと思うんですけど、どのツラ下げて出てきたんですか?」と掘り起こされ、改めて自身と向き合う必要が生じるのです。

まぁこう言うと、僕もその一件をもってして否認しようとしているようにも思われるかもしれませんが、絶対にダメだなどと意固地になるつもりはありません。人間なら誰でも間違いを犯しますし、ハメを外すこともあるでしょう。ひとつの過ち(※複数の疑念がある説は一旦保留)で社会を退場させるというのは厳格に過ぎますし、当事者間での解決と、社会的な禊をしたのちの活動にまで、過去を影響させようとは思いません。当事者間での解決がどうなっているかは承知していませんが、「苦笑い」だと言うのならそれでいいと思います。昔年の恨みを募らせているのなら、一言で五輪やスケート界そのものからも退場させるチャンスなのでガツンと言っちゃえと思います。実行に移せば、今回は杖が2本でも足りないほどの打撃となるでしょう。

そういう話を、候補者本人が世間に説明し、「まぁこれならええか」というところまで持っていってくれれば、何も検討委員会を非公開にする必要などないのです。粗探しをするから非公開なのでしょう。誰がより適切かの議論なら公開の場でハッキリと言えばいいわけですから。でも「セクハラキス魔だからなー」「シリガルー五輪・ベロベーロベロ五輪日本代表」「雪山順応型の和田アキ子」とか、「そもそも同罪野郎ですよね」「あの場で投げ飛ばしてくれてりゃよかったのに」「顔が何かやらかしそう」とか、「バッハに舐められるだろうなぁ」「一回くらい組織のトップになってから来て欲しかった」「トップに立ったときの振る舞いが大事なわけで」とか、そういうのを話すから非公開なのでしょう。

そうした部分をメディアと素人の二重のフィルターにかけて、「まぁええか」判定が下るかどうかを見ることができるのが立候補という仕組みであり、候補者による演説なのです。そこで本人が誠心誠意の説明で過去と向き合い、世間もそれをヨシとするなら検討委員会も粗探しなどしなくて済むじゃないですか。検討委員会が裏で決めれば、検討委員会が「タコチューについて一言」と聞かれますが、本人とメディアで丁々発止したあとなら「十分に反省をされておられるようですし実務に関しては申し分ない」と一歩引いた立場で意見できるでしょう。ベロベーロベロについてイイとか悪いとか言及せずとも。

↓想定問答集を作っておきました!先に世間に対して説明をしてから検討委員会に移れば話もスムーズだったはずです!
A候補:「東京五輪・パラリンピック組織委員会会長に立候補いたしましたAでございます。誠心誠意務めてまいる所存ですのでどうぞよろしくお願いします」

記者:「政治的中立性の観点から、現在の役職については兼務ができないかと思われますが、五輪相の役職についてはいかがされるおつもりでしょうか」

A候補:「五輪相は辞任させていただくということで、総理にもご了解をいただき、後任への引き継ぎの準備を進めておりますところです」

記者:「組織委員会会長に選任されなかった場合はいかがされるおつもりですか」

A候補:「イチ国会議員として、引き続き東京五輪・パラリンピックの成功に向けて尽力してまいります」

記者:「森前会長の発言、それに伴う組織委員会のガバナンスへの疑義について、どのようにお考えで、どのように改善されていかれるおつもりでしょうか」

A候補:「森前会長のご発言は女性蔑視と取れる極めて不適切なもので、五輪・パラリンピックの精神とは相容れないものであり、辞任は致し方ないことと受け止めております。もちろん前会長のご尽力により円滑に準備が進んできているという側面もございますので、それは継承しつつガバナンスの再構築に努めてまいります。私が会長職に選任されるということになれば、女性であることを理由とした差別、そうした考えが支配的な組織ではない、ということに一定のご理解をいただけるものと考えておりますし、前会長も意欲としてはお持ちであった女性のさらなる参画、性差によらない社会、ジェンダー平等の実現に向けて、実行力というものをお示しできればと考えております」

記者:「具体的にはどうされるおつもりでしょうか」

A候補:「これは私見ではございますが、35名おります組織委員会理事のなかに『本当にこの人いります?』と思われる方が何名かいらっしゃいますので、これは改めて能力・資質これまでの組織委員会でのご活躍という面で評議会にてはかり、退任者が出るようであれば積極的に女性理事登用を進め、ジェンダー平等というものを組織委員会として目指しているということをお示ししたいと考えております」

記者:「それは性差による逆差別なのでは?」

A候補:「もちろんこれは能力・資質というものを大前提とするわけではありますが、現実問題として組織委員会においても女性理事は7名ということで、23%しか女性がいないというのが現状でございます。23%しか女性がいないという時点で、職務における経験や活躍の機会が少ないということであり、そうした構造そのものが能力・資質という観点に対しても重大な悪影響を及ぼしているのではないか、つまりは一種の階級の固定化と言うべきことが起きているのではないかと考えておりますわけです。これまで女性には積極的に与えられてこなかった機会をあるべき均等な状態に戻し、数字上の平等を達成することをまずは出発点としなければ永遠に改善されない部分が多々あると考えております。こうした現状のなかでも、日本には多方面において、社会を牽引するようなご活躍をされている女性も数多くいらっしゃいますし、今回の理事選においてお名前があがっていらっしゃる方もおりました。そうした方々にご協力を賜ることで組織委員会も一層の強化が図れる、そのように考えております」

記者:「しかし、ご自身にはセクハラ疑惑というものがあり、今回の一連の問題を受けての会長としては、誰よりも不適切な候補だという声もあります」

A候補:「素敵だったの……」

記者:「は?」

A候補:「素敵だったんです……」

記者:「え?」

A候補:「素敵で、素敵で、どうしようもなかったんです……。頑張ったね、五輪にたどりついたね、えらいねって……。その場は関係者だけの懇親会でしたので、ちょっと盛り上がっちゃったというか、脇が甘いというか和気藹々というか、ウッキウキワックワクというか……。頑張った息子……いやらしい意味ではなくて親心という意味での息子を讃えるような気持ちでキスをしてしまった……それは私の不徳の致すところでありますが……ただ選手団においてはですね、選手や役員がごく自然にハグやキスをするということも文化としてございまして、その場も決して悪い雰囲気ではなかったと申しますか、そういう雰囲気だったというか、イイ雰囲気だなと思ってしまったというか……周りの人たちもですね、ご存知のようにスマホで撮影してたりなんかして、止めるとかではなくむしろイケイケGOGOって感じだったので、こりゃ性子のロケットスタートで行くしかねーでしょ的な油断がもしかしたらあったのかなと思いつつ、まぁそれだと今回の森前会長におかれましても誰も止めないで笑ってたって時点でイケイケGOGOだったということでありますので私もまったく同じ穴のムジナということになってはしまうわけですからそもそも立候補してんじゃねーよ的なご批判も真摯に受け止めつつですね……まぁお祝いのハグにせよキスにせよ、する場所はクチじゃねーだろとおっしゃられると私自身も至極もっともなご指摘だと思うしかないわけでありますが……やはりこう……うれしい!楽しい!大好き!という気持ちがそうさせてしまったのかなと猛省をしておりますとともに、50歳を超えてもさすがアスリートと国民の皆様に思っていただける精力的な活動……もちろんいやらしい意味ではなく気力体力が充実しているという意味での元気さを備えて職務にあたることができるというポジティブな側面での受け止め方というものもお願いしたく思う次第でございまして……もちろん決して再発するようなことはないと改めて固くお誓い申し上げますわけでありますが……」

記者:「簡潔にお願いします」

A候補:「欲望に負けました!もうしません!申し訳ございません!」

素人:「まぁええか」
素人:「ワシはええ」
素人:「被害者がよければええ」

絶対聞かれるんだから、先に話してくれますかね!


まぁ悪ふざけのような言い方ですが、自分の問題についてすら説明できないようでは新会長は到底務まらないと思います。僕は東京五輪に賛同する都民として、もちろん新会長のことは支えるつもりでいますが、僕のような人はあまりポイントではないわけです。コロナ禍という問題があり、そもそもの理念として掲げてきた復興五輪という部分に改めて東日本大震災は現在進行形の出来事なのであるということを突きつけた先日の余震があり、世間は必ずしも五輪・パラリンピックというものに対して諸手を挙げて賛成しているわけではありません。

そうした人たちに向かって想いを伝え、五輪・パラリンピックの精神にご賛同いただき、実現への道のりを説明していくことが新会長に課される最大の仕事なわけです。ステークホルダーとの調整も、まずは人々のご理解・ご賛同を得ながらでなければ容易には進まないのです。反対されながらの悲しい大会ではなく、ご賛同をいただいた歓びの大会にしていくこと。実務としての準備はほぼ終わったなかで、新会長に求められる唯一最大の仕事が務まるのかどうか。セクハラキスのひとつやふたつ説明できなくてどうしてこの大役に就けるでしょうか。

僕も新会長にネチネチ言いたくはないのです。

ただ、世間はネチネチ言うのです。

「荷が重い」「何も聞いていない」などと政治家みたいなことを言って押し出されるのを待っていないで、やるという意欲があるのならば、他人の決定など待たずに「意欲がある」ということをハッキリと表明し、自分から痛いところをさらけ出して、空気を変えて見せてほしいもの。検討委員会で決まったあとでは、幸せな決定にはなり得ません。「疑惑の候補が謎の密室で選ばれた」という筋立てで、誰が出てきても難癖がつくのです。会議が始まる前に、朝一番で、ドーンとやろうじゃないですか。どうぞ皆様、清濁あわせて私を見定めてくださいという大演説会を。そこでこれまでの男女平等へ向けた取り組みや、自身が批判を浴びながら国会議員と妻・母としての人生を両立してきたことをアピールしていこうじゃないですか。

これが最初の腕試しと思って、頑張ってください!

↓こんな説明能力で五輪をめぐる世間の空気を変えられると思っているんですか!


相手の優しさに甘えていないで、ドーンといくべし!

それで政治生命断たれるようなら、それまでです!



完璧な人間などいないことは理解していますから、正直にいきましょう!