2月20日のゼロックススーパーカップから、2021年シーズンのJリーグが幕を開ける。翌26日からはリーグ戦がスタートするが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が影を落とす。
 
 ナイトゲームの試合開始時間が、19時から18時に変更されたのだ。10都府県を対象に、緊急事態宣言が延長されたことによる措置である。現状では2月26日の開幕ゲーム、3月3日のJ1リーグ第11節とルヴァンカップ第1節までが、変更の対象となっている。

 緊急事態宣言が解消されれば、これまで同様に19時や19時半のキックオフも許容されるのだろう。だからといって、コロナ以前の日常が戻ってくるわけではない。スポーツ観戦のスタイルそのものが、根本的に変わっているからだ。
 
 その大きな理由は、テレワークの導入だ。
 
 平日開催のゲームで大きなポイントとなっていた「仕事終わりの観戦」は、確実に減っていると考えるべきだ。サッカーでもプロ野球でも、これまでは試合途中から割安で観戦できるチケットが売り出されていたが、今後は違う券種やサービスが必要になるだろう。
 
 僕自身は企業に勤めていないので、テレワークをしている人の気持ちは想像の域を出ない。そのうえで言うと、「通勤のついで」ではなく「自宅からわざわざ」となると、スタジアムへ行こうという意欲が薄れてしまう気がする。空模様が怪しければなおさらだ。
 
 自宅に籠もりきりでは気持ちが晴れないし、好天のスタジアムは開放的でリラックスできる。何よりも、選手の息遣いを感じることができ、スタジアム全体の一体感を得られる意味で、スポーツ観戦には“心の保湿効果”がある。アーティストのライブにも、同じことが言えるだろう。
 
 生観戦だからこその楽しみ、生観戦でしか味わえない高揚感といったものはある。それは間違いないのだが、新型コロナウイルスと付き合っていかなければならないなかで、スタジアムへどうやって来てもらうのかは難しいテーマだと言える。
 
 キーワードのひとつとして、「横のつながり」をあげたい。横とは他の競技である。
 
 ホームタウンが同じ競技で、すでに交流を図っているケースはある。たとえば、川崎フロンターレとバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは、コラボイベントを開催したり、お互いのショップでグッズを販売したりしている。
 
 そこからさらに一歩進んで、相互にチケットを販売するようなことができないだろうか。Jリーグのチームのホームページやアプリで、ラグビートップリーグやBリーグのチケットが買えたりしたら、スポーツファンにとっては利便性が増す。クラブ側は観客導入の窓口が増える。大がかりな設備投資を必要とせず、それでいて一定の効果が見込めるのではないだろうか。クラブごとではなくJリーグの公式サイトや公式アプリが、トップリーグやBリーグの公式サイトと連携するのもいい。
 
 サッカーは野球やラグビーと同じく屋外スポーツなので、「三密」にはなりにくい。それでも、声を出して応援することができるようになり、収容人数いっぱいまでチケットを売ることができるようになれば、すべてが元通りになる、というわけにはいかないだろう。コロナと付き合いながらのビジネスモデルは、間違いなく違うものであるべきだ。