ソシエダ戦で2戦連続のベンチスタートとなり、58分から出場した久保。(C)Getty Images

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 2月14日に開催されたラ・リーガ第23節で、久保建英が所属するヘタフェは、難敵レアル・ソシエダとホームで対戦。29分にFWアレクサンダー・イサクに奪われた1点を最後まで返すことができず、0―1で敗れた。

 2試合連続のベンチスタートとなった久保は、MFカルレス・アレニャとともに58分から途中出場。4−4−2の右サイドハーフに入り、試合の終盤にはトップ下に近い位置でプレーしたが、決定的な役割を果たすことはできなかった。

 試合後、なぜ久保とアレニャを先発で起用しなかったのかと質問を受けたホセ・ボルダラス監督は、「彼らだけのせいではないが」と前置きしたうえで、「多くのゴールを許した。守備レベルで力を失っていた」と語り、直近の4試合で10点を奪われていた守備を強化するためだったと明かした。

 その判断自体はもっともだろう。レアル・ソシエダはパスワークに長けた攻撃的なチームであり、4試合勝ちがない(1分3敗)ヘタフェがまず守備から入るのは当然だ。そして、勝負どころで久保とアレニャを投入するーー。そのプラン自体は理に適っていた。

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 ただ、「投入後」の戦い方には首をかしげざるを得ない。たしかに、幾分か攻撃は活性化されたが、技術に長けた両MFを入れたのであれば、一か八かのロングボールを放り込んでセカンドボールを回収させるのではなく、もっと足下でボールを繋ぎ、そして久保にボールを預けるべきだろう。

 30分強のプレータイムで、久保のタッチ数はわずか「12回」(ちなみにアレニャは19回、72分から出場したMFポルティージョは16回)。これで、結果を出せというのはあまりに酷だ。

 加入してまだ1か月で、周囲から全幅の信頼を置かれているわけではないのかもしれない。とはいえ、例えばミケル・オジャルサバルをフェイントで翻弄して、FWクチョ・エルナンデスのヘディングシュートに繋がるクロスを送り込んだ67分のシーンなど、ボールを渡せば何か起こしてくれる可能性は感じさせている。

 この場面は、スペイン全国紙の『AS』が「この試合で最も驚くべきプレー」として取り上げられるなど、話題を集めた。ただ、もっとボールを受けられれば、この19歳にとっては、こんなプレーはお手の物だ。

 ゴールに繋がったわけでもない、たった一度のフェイントが注目されたのは、久保の嘆かわしい現状を表わしていると言えるかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部