まだ序盤の3話目にして “劇薬” に依存しすぎじゃないか?

 KAT-TUN・亀梨和也主演のドラマ『レッドアイズ 監視捜査班』(日本テレビ系)のことである。

 街中に無数の監視カメラが設置されている現代社会を背景に、そのカメラ映像を手掛かりに凶悪犯を追い詰めていくサイバークライムサスペンス。

 3年前に婚約者を殺害された過去を持つ主人公・伏見響介(亀梨)と、元犯罪者で固めた仲間たちが、神奈川県警の架空の組織・KSBCで活躍する物語だ。

 第1話は、韓国ドラマのリメイクとして2019年に放送された『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)に展開が酷似していたらしく、パクリじゃないかという声もあがっていた。だが筆者は

『ボイス』を観ていなかったため素直に楽しめた。

 ツッコミどころはいくつかあったが、シリアスかつスピーディな展開で飽きさせない。なにより婚約者を殺された主人公を演じる亀梨が、内包した怒りの激情を抑えている演技が意外といい。

 初回の平均視聴率は12.4%と好スタート。先週の第3話は平均視聴率9.9%まで下がってしまっているが、充分健闘している。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/平均世帯視聴率/関東地区)

■“衝撃な展開”の乱用しすぎ

 しかし、冒頭でお伝えした通り、“劇薬” に依存しすぎている感がある。筆者が言う “劇薬” とは最愛の人の死のことだ。

 第1話冒頭で、3年前に起きた主人公・伏見の婚約者が惨殺されるエピソードが描かれた。狂気をはらんだ影のある主人公像に説得力を持たせるためなので、これはいい。

 けれど問題は第3話。

 この回で捕まった犯人・蠣崎(忍成修吾)の犯行動機が、8年前の事件で何の罪もない恋人が死んだことにあった。逃走中だった男とそれを追う女刑事の揉み合いに巻き込まれたのだが、蠣崎の目的は、そのときの逃走男と女刑事に同じ苦しみを味あわせることだった。

 結論から言うと、犯人・蠣崎は目的を達成。逃走男の恋人と女刑事の夫を殺害した後、逮捕される。その女刑事というのが、現在KSBCのボスとなっている島原由梨(松下奈緒)で、本作2番手の主要人物だ。

 つまり主人公、2番手キャラ、3話の犯人の3人が、最愛のパートナーを亡くしているのだ。

 主要キャラの恋人や結婚相手の死は実にショッキングだし、視聴者に感情移入させ、物語に引き込む “仕掛け” としては王道。それ自体は否定しない。

 でも、まだ始まったばかりの3話目で3人もそういう境遇に追いやるのは、さすがに乱用しすぎじゃないか?

 個人的に陰惨かつ不条理な物語は好みだ。だから犯人に殺害される前に主人公が救出し、誰も死なずにハッピーエンド……そんなご都合主義のヌルいドラマが観たかったわけではない。だが、女ボス・島原の夫が死ぬとは思わなかった。

 理由は、“劇薬” のドーピングによる物語の活性化を、こんな早い段階(第3話)ではまだ使わないだろうと考えていたからだ。再び “劇薬” を投じるにしても物語終盤だろう、と。

 衝撃的な展開で飽きさせないように必死なのだろうが、その手法が安易なのである。“最愛の人の死” はあまり乱発しないほうがいいし、もっとほかの驚きで物語に引き込んでほしかった。

 最後に余談だが、本作はテレビ朝日の『相棒』(水谷豊主演)のように、シリーズ化を視野に入れた作品なのではないだろうか。

 テレビ朝日では亀梨のジャニーズの先輩である東山紀之が『刑事7人』、井ノ原快彦が『特捜9』と刑事ドラマシリーズで主演中。いずれも主演ジャニタレの周囲に個性豊かな仲間を配した作品で、『レッドアイズ』も元犯罪者というクセのある仲間たちを主演の脇に沿えている。日テレとジャニーズは亀梨主演でシリーズ化を狙っているのかもしれない。

 さて、今夜放送の第4話から物語中盤に差しかかるが、さすがにもう主要キャラの “最愛の人の死” は使えないだろう。視聴者を終盤まで飽きさせないために、なにか別のショッキングな展開を期待したい。

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中