“生き生きとした猫たち”の姿を撮影し続けている

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自身の感じる“生き生きしている猫たち”の一瞬を捉え、Instagramで発信を続けているマツガサキエチゴさん(@m_echigo)。マツガサキさんが撮影するのは、野良猫たちが並んでお昼寝をする姿や夕日の下でじゃれ合う姿、木登りで競う姿など、日頃なかなか見ることのできない、彼らのありのままの日常だ。ここでは、マツガサキさんが野良猫たちに魅了されたきっかけ、そして、撮影やSNSでの発信を続ける理由などについて話を伺った。

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――野良猫たちの撮影を始めたきっかけは何ですか?

「もともと趣味で写真を撮っていたのですが、2018年頃から自然と猫の写真が増えていきました。というのも、御朱印集めのようなことが好きで、いろいろな神社やお寺に足を運ぶ中で、猫さんを見る機会が結構ありました。当時はついでに撮影する程度だったのですが、2018年12月に訪れたとある神社に猫がたくさんいて、その中の一匹が電話ボックスの上でだらけてる姿が妙にツボにハマってしまったんです。それで、『猫って個性豊かで可愛いし、面白いな』とその魅力に気付いて、猫たちの写真を投稿する専用のSNSアカウントを作りました」

――どのような思いで、猫たちの写真を投稿し続けているのでしょうか?

「『野良猫は厳しい生き方を強いられている』と感じる方も多いかと思います。その過酷さはもちろん理解していますが、長い時間を猫たちと共有し、ずっと観察していると、『彼らは自由を謳歌しているのかもしれない』と感じる部分もあるんです。言葉が伝わるのなら語り合いたいところですが、それは無理なので、自分自身が感じ取った“生き生きしている猫たち”をテーマに、写真を通して彼らの姿を発信しています。フォロワーの方からいただく、『可愛い』『見ているだけで元気が出る』といった反響が、とてもうれしいですね」

――猫たちとの忘れられない思い出や印象的なエピソードがあれば、教えてください。

「以前、ある猫一家のお母さんに子猫が生まれたのですが、警戒心からか、なかなか子猫をつれて人前に出てこなかったんです。そんな中で交流を続けていたら、ある日、巣穴に連れて行ってもらえました。お母さん猫の後ろから、子猫たちが怖がることなく出てきてくれたのですが、心が通じ合ったように感じて、本当に感動しました。撮影を始めた当初は、ただ目の前にいる猫たちのことをそのまま撮影していましたが、この出来事をきっかけに、積極的に猫たちと交流したり、遊んだりするようになりました」

――警戒心が強い野良猫たちと交流するときに、意識していることや心構えなどはありますか?

「猫たちは、動きが速いものもよく見えますし、音に対する反射神経も優れています。そのため、撮影するときに意識しているのは、とにかくびっくりさせないこと。シャッター音が苦手な猫さんの場合は、無音の電子シャッターに切り替えたり、足音を立てないように歩いたりするよう心がけています。また、猫さんたちのプライベートエリアを意識して近づきすぎないようにするなど、彼らの暮らしや習性に合わせるのが一番です」

――今後の展望や目標、SNSの発信を通じて伝えたいメッセージなどがあれば、教えてください。

「野良猫たちは、一匹一匹が、その子だけの特別な魅力を持っています。SNSの投稿を通して、猫を家族に迎えたいと考えている方たちに、保護猫(元野良猫)の良さを知ってもらえたら最高ですね。そのためにも、撮影をライフワークとして続けていき、彼らの魅力や外の世界で力強く生きる姿を伝えられればと思います。そのほかの個人的な目標としては、ゆくゆくはこれまでに撮影した写真を、展覧会や写真集などの形で発表できたらと考えています」

マツガサキさんの写真からは、野良猫たちが過酷な外の世界において、自らのコミュニティやつながりを作り、懸命に暮らしを営む様子が伝わってくる。もちろん、繁殖などが原因で地域の問題に発展してしまうなど、可愛いだけでは済まされないのが野良猫の現状だろう。そんな中で、SNSを介してそのありのままの姿を発信することから、野良猫たちと人とが共生できる社会を作るためのヒントが見つかるかもしれない。

取材協力:マツガサキエチゴ(@m_echigo)