「屋根が飛んだ」大丈夫? テスラが初の通期黒字達成も絶えない品質問題とは

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大丈夫? テスラ車の品質問題

 ここにきてテスラのニュースが多い。

 まず「凄いね!」から。2003年に創業したテスラはいままでずっと赤字決算を続けており、一時破綻寸前の財務状況になったほど。しかし2020年決算で(日本と違い2020年1月から12月)ついに黒字決算となっている。

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 いままで売上高<投資額。儲からなくても投資を続けてきたのだった。

テスラ「モデル3」

 2020年は前年より売上高を30%も伸ばしている。販売台数を見ると前年より36%増え、49万9550台に達したから驚く。

 なかでも好調なのがベーシックモデルの「モデル3」。世界各国で電気自動車のベストセラーになるなど44万台を販売した。モデル3は中国工場でのフル生産も始まったため、今後はさらに伸びていくと思う。

 ふたつめの「凄いね!」が電池のバリエーション。

 中国工場で生産されるモデル3に搭載されるのはリン酸鉄リチウムイオン電池(以下、鉄電池と表記)と呼ばれる、安価でいながら耐久性と安全性が高いタイプ。

 体積あたりのエネルギー密度は一般的なリチウムイオン電池より低いのだけれど、燃えないため密集して搭載可能。鉄電池を搭載したモデル3を欧州市場にも投入するという。

 さらに『4680』という高性能リチウムイオン電池を独自開発しており、次世代のテスラに搭載していく。いまや電気自動車用電池の技術レベルは、コストパフォーマンスという点で世界トップといってよい。

 このまま快進撃が続くか、と思っていたら、悪い意味での「凄いね!」も連発中。なかでも「ホントかね!」と自動車業界を驚かせたのがタッチスクリーンの不具合によるリコールです。

 テスラは機械式のスイッチを極力使わないコンセプト。したがってリアデフロストを含む空調などをすべてタッチスクリーンでおこなう。この手の部品、普通ならクルマの寿命と同じだけの耐久性を持たせるのが自動車業界の常識。

 しかしテスラはPC業界の常識を持ち込んでしまった。突如真っ暗になり操作できなくなる事案が多発。当初テスラは「壊れたら交換しろ」と突っぱねていたものの、機能の中に前述の通りデフロストなど安全に関係するデバイスも多く含まれている。

 もはや見過ごせない、ということからNHTSA(アメリカの国交省に相応)がリコール勧告をした。ゴネまくっていたテスラながら、ついに認め13万5000台のリコールを発表することになった。

 日本で販売されたテスラ車も対象になるが、いまのところ具体的な対応策はオーナーにも届いていない模様。ディーラーが無いためすべて個別対応になるようだけれど、サービス拠点は極めて少なくキャパシティも小さい。大規模のリコールが出たら大変だ。

 また、生産台数の増加と共に品質問題も出てきた。「走行中にルーフが取れて飛んでいった」とか「新車なのにボディに傷が多数」。はたまた「ボディパネルの隙間管理をまったくしていない」等々。

 アメリカのYouTubeを見ると「これは酷いですね!」がたくさん出てくる。前述の通りサービス拠点も少ないため、満足に対応出来るのか不明。

 考えてみたらテスラは基本的にアメリカ車。どんなに新しい技術が使われていても、最終的にクルマの評価は品質で決まってくる。

 アメリカの自動車メーカーはアメリカ国内で売れるクルマしか作れない。既存の自動車メーカーがドンドン電気自動車を作るようになってきたら、テスラは品質が悪くサービス体制もダメなアメ車になってしまうかもしれません。