新型コロナウイルスの脅威に多くの人が警戒心を持つなか、あきれるほどに危機感のない会社も存在する。千葉県に住む保険会社営業の40代女性は、「お客様にアポ取って契約を取れ」という会社からの指示に戸惑いを隠せない。

「『2〜3月はいつもよりバンバンやれ』と言われている。いつどこでコロナに感染するか分からないのに、お客様に何かあったらと考えられない会社。ましてや社員も守れない会社。やってられない」

コロナ禍での会社の対応に不満を抱くのは外回り営業の人だけではない。感染症対策が不十分な職場で、ストレスに神経をすり減らしながら勤務する人もいる。(文:大渕ともみ)

咳き込む同僚の隣で1日中仕事「ストレスでおかしくなりそう」

不動産・建設系の会社で働く、東京都の30代女性は「ストレスでおかしくなりそうです」と悲鳴を上げる。「事務所にはパーテーションなどなく、隣の人と距離もとれない」と語り、職場環境の改善を切望。あれこれ会社に提案したが、受け入れられず落胆している。

「パーテーションの設置、別室での作業、席替えを申し出たけど『いちいち聞いていたらきりがない』と却下。テレワークを希望したら『週に一度なら在宅勤務可』と言われたものの、なかなか対応してもらえない」

なんとかしてソーシャルディスタンスを確保したい女性。それには理由があり、「高熱で休んでいた人が、翌日平然と出社してきても誰も注意をしない。その人が咳き込むなか、隣で1日中仕事をしなければならなかった」と訴える。

「ルール作りや社員の指導など何の対策もされない。無法地帯となっています」

と、コロナへの危機感がない職場に失望している。

「事務所内は3密の状態。緊急事態宣言も完全無視」

大阪府の40代男性は営業職をしていたが、コロナがきっかけで退職した。元勤め先について、「事務所内は3密の状態。会議室も3密。1回目の緊急事態宣言のときも、2回目の緊急事態宣言のときも、完全無視で普通に出勤」と証言。営業活動も通常通りに行われていた。男性は、

「お客様から商談を拒否されるなか、営業数字が上がらないことを詰められる日々でした。上司にはまったく危機感がなく、口癖は『気にしたらあかん』。飲み会は企画するわ、断ったら文句を言われるわ……」

と信じられない内情を明かす。さらに男性が「もし感染したらどうしてくれるのか」と質問すると、上司は「感染したら自分の責任やからな」と無責任に答えた。

「持病があるので本当に危機感を感じて辞めました。この上司は、営業帰りに座席指定の電車でハイボールを飲みながら帰っていました。このような人間がいる限り、コロナは収まらないでしょう」

コロナ禍で浮き彫りになる勤め先の問題点。客先や社員の安全を優先しない会社に勤め続ける価値があるのか、よく考えるべきかもしれない。

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