1月29日から公開 (C)2021「ヤクザと家族 The Family」製作委員会

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 第43回日本アカデミー賞で主要3冠を獲得した「新聞記者」の製作陣と藤井道人監督が再タッグを組んだ「ヤクザと家族 The Family」が、1月29日から公開される。主演を務めた綾野剛は「人生最愛の作品」「アジア映画の代表としてこの作品を届けたい」というほど本作に強い思い入れがあり、藤井監督に“あるお願い”をした撮影の様子を振り返った。

 変わりゆく時代の中で、様々な問題をはらんだ「ヤクザ」というテーマを、1999年、2005年、2019年の変わりゆく3つの時代で描き、ヤクザとしての道を選び生きた男と彼を取り巻く人々を家族の視点で描く。少年期に柴咲組組長の危機を救ったことからヤクザの世界へ足を踏み入れた男・山本賢治を綾野、山本に手を差し伸べ“家族”という居場所を与えた柴咲組組長・柴咲博を舘ひろしが演じている。

 直感で参加を決めたという綾野は「藤井さんは非常にクレバーな監督で、自分に求められていることを的確に把握し、それをアートにもメジャーにもできる。類稀なる柔軟性。そしてご自身で脚本を執筆する。だからこそ、藤井監督が本当に撮りたい企画で、その才能と覚悟を最大限に発揮される作品でご一緒したかったのです」と、念願だった藤井監督とのタッグを語る。

 3章構成となる本作では、19歳、25歳、そして39歳へと歳を重ねていく山本を熱演。撮影現場では“対等”を意識し、藤井監督にある“お願い”をした。

 「僕たちにとって一番大切なのは、全員で創作する意欲と意識です。クランクインする時に、監督に『俳優を尊敬しないで欲しい』と伝えました。俳優が自分の為に芝居をするのではなく、作品の為に生きられるようマウントをとってもらいたいと思ったからです。リスペクトを持って現場にいる全員が対等な状況でいるということは、撮影は撮影部に、時代を司ることは衣裳部と美術装飾に、若さや老いに関してはヘアメイク部にお任せしているということなんです」

 俳優部として自身ができることを求めた結果、「“映るではなく、存在する”、共演者と共に存在を生み出していくことだと思います。今日まで役者を続け、これからも役者を続けていく身分として、これ以上の頂きはどこにあるのだろう。そう思った時、集団しかない、チームになるしかないと思いました」と、全員が“対等”なチームとなって作品作りに臨んだ。

 本作では章ごとに使用するカメラ・画角が変わり、「切り取っている画角が単純に違う。このままではまずいなと思った瞬間がありました」と難しさに直面もしたが、「圧倒的な鍛錬の元、経験と、見てきたもの感じてきたことの全てを使って役を生きます。それらを結実しつつ、1秒前の世界よりも1センチ、2センチでもより豊かな世界を生み出す為に、あえて努力し培ってきたものに驕らず、今現在の自分に堂々と頼る。撮了し今回も鍛錬されましたし、色々な経験を積み重ねたので、またこれを次の作品に生かしていく」と、藤井組での経験も大きな財産となった。

 「現在の集大成であり、最愛と言える作品に出合えたことで、役者を続けていこうと思え、役者を続けさせてもらえる喜びを感じています。同時にまだまだ生かされているだけだと結実したのがこの作品です。『ヤクザと家族』は、私の役者人生最大のライバルになります」

 謙虚ながらも、言葉の端々から本作への自信が伝わってくる。綾野が捧げたその熱意は、観客の心にも届くはずだ。