“ドイツ映画の孤狼”ローラント・クリックの代表作 (C)Filmgalerie451

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 ファスビンダー、ヘルツォーク、ベンダース、シュレンドルフらニュー・ジャーマン・シネマの代表とされた監督たちと同世代でありながら、徒党を組むことを拒み、独自の世界を追い求めた“ドイツ映画の孤狼”ローラント・クリックの代表作「デッドロック」(1970) が、5月公開される。

 カルト映画としても知られる本作は、荒野を彷徨うかのように逃げてきた若い男、荒れ果てた家に住むさえない中年男と狂女、 口のきけない美少女と黒づくめの殺し屋、そして墓場に埋められたはずの100万ドルを奪い合う男たちを描く。わずか7人の登場人物、“アメリカ”が舞台でありながらイスラエルの砂漠で撮影された。

 明らかにセルジオ・レオーネの「続・夕陽のガンマン」(66)を思わせる物語にもかかわらず、アレハンドロ・ホドロフスキーの「エル・トポ」(70)やジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」(78)の影響下にあるようなポストアポカリプス的雰囲気に溢れている。音楽はクラウトロック(ジャーマン・ロック)を代表する前衛バンドCANが担当した。

 1970年のカンヌ映画祭からコンペティション出品オファーを受けるが、ドイツ国内の監督や批評家から、当時勃興していたニュー・ジャーマン・シネマを貶めるものだと出品を反対され、特別上映というかたちでの上映に。ところが当日が雨で少数の観客だけでの上映となりその後の 「デッドロック」のカルト化に拍車をかけることになった。しかしドイツ国内では興行的に成功し、ドイツ映画賞長編作品賞に選出された。

 出演は、マカロニ・ウエスタン「暁のガンマン」「スペシャリスト」などで知られるイタリア系ドイツ人俳優マリオ・アドルフ、「ダイヤルMを廻せ!」や「007は殺しの番号」のイギリス人俳優アンソニー・ドーソン、「聖なるパン助に注意」などファスビンダー作品でおなじみのマルクバルト・ボーム、そして、同じくファスビンダーのSF「あやつり糸の世界」のマーシャ・ラベンら。

 その後、ハリウッドやマカロニ・ウエスタンをはじめとしたイタリア映画界の誘いをすべて断った監督のローラント・クリックは、ドイツ映画界でも話題に上ることもなかった。しかし、わざわざクリックをハリウッドに招待したスティーブン・スピルバーグをはじめ、ホドロフスキーやクエンティン・タランティーノらがその自由さと大胆さを絶賛しており、今の映画界に与えた影響は計り知れない伝説の一作だ。

 5月から新宿K's cinemaほか全国順次公開。