昨年末の合宿にも招集されたU-19の小久保(左)と西川(中)。U-17世代の中井(右)。(C)SOCCER DIGEST

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 アジア・サッカー連盟(AFC)は1月25日、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からU-16、U-19のアジア選手権の中止を発表した。

 昨年末にはU-20とU-17のワールドカップ中止が決定しており、伸び盛りの育成年代の選手たちにとって、また一つ貴重な実戦経験の場が失われてしまった。

 パリ五輪を目指す今のU-19世代には、昨年末の候補合宿に招集された、ポルトガルの名門ベンフィカのU-23チームでUEFAユースリーグの決勝の舞台にも先発したGK小久保玲央ブライアンをはじめ、リーグ戦のほかACLにも出場した中村拓海(FC東京)と小田裕太郎(神戸)、J1リーグに31試合出場して今冬に海外に挑戦した斉藤光毅(ロンメル/ベルギー)、J初年度から印象的なプレーを披露した荒木遼太郎(鹿島)や西川潤(C大阪)などの逸材たちがひしめく。

 この事態を受けて、影山雅永U-20日本代表監督は「目指していたステージが一つなくなりましたが、選手たちも私も気持ちを切り替えて、成長を続けて行かなければいけません。若い選手の強化・育成はここで止まる訳にはいかないと感じています」と代わりとなる強化の場の必要性を呼びかけた。

 その一方で、「個人的にはU-20ワールドカップという素晴らしい大会で、あの場でしか得られない国際経験を選手たちに体験して貰えないことは悔しく思います。

 ただ、選手にとってもっと重要な事はU-20ワールドカップに出場することではなく、今後SAMURAI BLUEとして、そして世界で通用する選手として“個人昇格”を果たすことです。選手たちには前だけを向いて走り続け、より高い目標に突き進んでほしいと思います。このような難しい状況だからこそ我々もそういった選手たちの背中を押せるよう、技術委員会を中心に最善のプランを模索しながら、成長できる環境を継続して提供していくことが義務だと感じています」と協会としても立ち止まらない姿勢を強調した。
 
 さらに下の世代にはレアル・マドリーの下部組織でプレーする“ピピ”こと中井卓大(17歳)など日本サッカー界の未来を担う選手たちもいる。しかし、その世代では今月27日から31日まで予定されていたトレーニングキャンプも中止となってしまった。

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 U-17日本代表の森山佳郎監督はこうコメントを発信した。

「U-16アジア選手権を連覇し、アジアチャンピオンとしてU-17ワールドカップでベスト4以上を目指すという目標を掲げてこれまで活動してきただけに、選手たちも我々スタッフも非常に残念な気持ちです。ただ、日本のみならず世界的に新型コロナウイルス感染が増え続けている状況を考慮すると仕方のないことと思います。若い選手には大きな未来があります。

 今までの代表活動で培ったものを忘れずに、高い意識を保ち続け、自分を最大限に高める努力を続けていって欲しいと思っています。育成年代の強化はこの国のサッカーの未来そのものであり、決して足踏みは許されないと思っています。今後の強化策や活動方針については、これから議論されていくことになると思いますが、ぶれることなく各年代の強化を図っていかなければならないことは明らかです。我々スタッフ一同、これからも育成年代のレベルアップのために、より一層尽力していきたいと思っています」

 各国で状況は同じとは言え、この苦境にどう立ち向かっていくのか。日本サッカー界の総力が問われる1年となりそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部