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 新型コロナウイルスの感染者が国内で発見されてから一年が経った。我々の生活様式も一年前から様変わりして、自宅で仕事をするリモートワークが多くの企業で導入されている。

◆世界一「座っている」のは日本人

 こうしたリモートワークの普及によって、通勤がなくなって一日の運動時間が減ったり、仕事中に椅子に座っている時間が増えた。筆者も、執筆やコンサル業務はPCに向かって作業を行うことが多く、一年前に比べて、じっと椅子に座って作業をする時間が多くなったことを感じる。

 実は、日本人が平日に椅子に座っている一日の合計時間は、世界でもっとも長い。

 中国やアメリカは約240分/日(約4時間)なのに対して、日本は約420分/日(約6.8時間)となっている。

 そのなかでも、「企画・マーケティング」「クリエイター」「ITエンジニア」は一日の1/3をオフィスチェアに座って過ごしていることがわかっている。筆者もITエンジニアの経験があるのでよくわかるが、その数字に違和感はまったくない。

 リモートワークの普及で会議のために移動したり、息抜きに移動する時間が減って、一年前よりも着席時間が増えた人も多いのではないだろうか。

 それによって生活は楽になったが、着席時間が増えることはあなたのメンタルヘルスにダメージを与えている可能性がある。

◆着席時間が寿命にも影響?

 たとえば、もし一時間座っているだけで、あなたの寿命が縮まっているとしたらどうだろうか?

 クイーンズランド大学のレナート・ヴァーマン博士らの調査によると、一日平均6時間テレビを観る人とまったくテレビを観ない人を比べると、テレビを観る人は約4.8年も寿命が短くなっていることがわかった。

 テレビの視聴時間と寿命の間にどのような関係があるかは明確になっていないが、体を動かさずじっと座っていることは、人の寿命を縮めることにつながる身体的・精神的病気との関連がある可能性を示唆している。

◆アプリで着席時間を確認しよう

 これはテレビに限った話ではなく、仕事で長時間座っている場合も同様の可能性がある。

 PCを使った仕事をしていると、一時間座ったままというのはよくあることだが、それは寿命を縮めている可能性がある。

 そのため、一時間も座ったままのときは、定期的に立ち上がって飲み物を取りに行ったり、ストレッチをするといいだろう。

 厚生労働省が発表した「『新しい生活様式』において体を動かす工夫」によると、30分ごとに3分程度、少なくとも一時間に5分程度は立ち上がって運動することが推奨されている。

 最近は、Apple Watchに「スタンドリマインダー」という機能もある。これは、一時間の最初の50分座ったままでいた場合に、立ち上がるよう通知を出してくれるアプリだ。

 筆者もApple Watchを持っていて、この通知を受け取っていたが、ここまで重要な通知をしているとは思いもよらなかった。

◆着席時間がメンタルヘルスにも影響

 また、座っている時間が長いほど、メンタルヘルス不良になりやすいということもわかっている。

 一日の着席時間が6〜9時間の人よりも、9~12時間の人はメンタルヘルス不良になる割合が約2倍になることがわかっている。

 また、20〜30代の若いうちならまだいいが、40~50代になってくると着席時間が長いことで、仕事に対するモチベーションが低下することも確認されている。仕事に対する誇りや、やりがいを感じなくなってしまうのだ。

 歩くことはとてもよいことで、スティーブ・ジョブズも歩きながら会議をしていたと言われている。

 特に20〜30代の若い層は、パソコンに張りついて仕事に熱中しがちだが、それよりも適度に歩いてを繰り返すほうが、仕事の効率がよいということもわかっている。

 読者の皆さんも、リモートワークで椅子に座りっぱなしの時間が増えたかもしれない。会議に参加することも、立ち上がることなく、クリックひとつで行うことができるし、同僚との会話もチャットやメールで済んでしまう。

 しかし、その「楽さ」はあなたの生産性や、身体面・精神面へ負荷をかけてしまっているかもしれない。

 一時間に一度、コーヒーを入れたりストレッチをするなど、5分程度でいいので運動を取り入れてみてはいかがだろうか。

 【参考文献】
 「座位行動の科学-就労者における座りすぎの健康リスクとその対策-」岡 浩一朗
 「世界で最もイスに座る時間が長いと言われている日本人! “座りすぎ大国”日本の中で最も長く座っている職種は?」コクヨ株式会社
 「Television viewing time and reduced life expectancy: a life table analysis」J Lennert Veermanほか

<取材・文/山本マサヤ>【山本マサヤ】
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。