セックス中に尿意をもよおしてしまって行為に集中できなくなったり、我慢できずトイレにかけ込んだ経験はありませんか? 何度もそのような衝動に駆られると心配になってしまうけれど、多くの場合は問題がないよう。

そこで本記事では、セックス中に尿意を感じてしまう原因と対策をご紹介します。婦人科医のシェリー・A・ロス博士と、公認セックス・コーチで臨床性科学者であるクリスティン・ディアンジェロさんによる解説を、<ネットドクター>よりお届けします。

セックス中の尿意について

セックス中の尿意に悩むのは、主に女性、膣を持つ人たちです。なぜなら男性、ペニスを持つ人は、勃起中は尿が出ないような生理的メカニズムになっているため。

ロス博士によれば、セックスの最中にトイレに行きたくなることは珍しいことでないよう。

「性行為の最中に尿意を感じるのは、極めて自然なことと言えるでしょう。事実、女性の60%が性行為中に尿意を感じています」

セックス中に尿意をもよおしてしまう原因

膀胱にある程度の尿がたまっている

尿路感染を防ぐために、セックスの後に排尿したほうがいいというアドバイスを耳にしたことはありませんか? まさにその通りなのですが、セックスの真っ最中にトイレタイムを取りたくないのなら、セックス前にも排尿しておくことをおすすめします。

尿道と膀胱は、膣のすぐ近くにあります。膀胱が満タンだと、セックス行為によってより切羽詰まった状態に陥ります。「膀胱は膣のすぐ上にあるため、ペニスやセックストイなどが膣を出たり入ったりする動きは、尿意を刺激することになります」と、ロス博士。これがいわゆる腹圧性尿失禁と呼ばれるものです。

性行為中の動きによって膀胱があちこちにぶつかることになるのは、生殖器がその周辺に集まっているため。

ディアンジェロさんも、「セックストイやペニスの膣への挿入、または体位などによって膀胱に圧力がかかり、排尿したくなってしまうのは珍しいことではないんです」と説明。安全策を取りたい人は、やはりセックス前にトイレへ行っておきましょう。

膣が乾燥している

いつもセックス中に尿意をもよおすという人は、一つの解決方法として潤滑剤を試してみるといいかもしれません。膣の乾燥は尿道への刺激につながり、セックス中の尿意を引き起こすことになるからです。

「適切な潤滑剤を使用して、膣の乾燥や刺激を予防しましょう。そうすることで膣を炎症から守り、尿意の原因となる尿道への影響も防げるはずです」と、ディアンジェロさん。

おすすめの潤滑剤は、パラペンやグリセリンが含まれていないウォーターベースタイプ。粘液が豊富な膣や外陰部は、体内への吸収が起こりやすい組織。安全な製品を選ぶようにしましょう。

Gスポットでオーガズムを感じている

膣から指を1本か2本入れ、おへそに向かって指を曲げてみると、クルミのようにざらざらした場所に触れるはず。これが、Gスポットと呼ばれるものです。ここはクリトリスの裏側に当たる位置で、潮吹きを起こす尿道海綿体やスキーン腺に密接しています。

Gスポットが活発になると、同時に尿道海綿体や尿道を刺激することになり、尿意が生じます。ちなみにスキーン腺が液体で満たされると、さらに尿道を圧迫することに。そうなると、本当は排尿する必要がなくても催してしまうという仕組みなのです。

ディアンジェロさんによれば、この場合の尿意は「潮吹き」の前兆といえるよう。

「クリトリスとつながるGスポットは、愛撫や刺激を受けるとスキーン腺液と呼ばれる液体で膨れます。この液体が尿道を通じて潮吹きとなるため、尿意と勘違いしてしまうのですが、この液体に尿素はほんの少ししか含まれていません」

骨盤底筋が弱い

ひっきりなしに尿意を感じてしまうのならば、他に考えられる理由として、骨盤底筋が弱いということが挙げられるかもしれません。

「出産、長引く咳やくしゃみ、慢性的な便秘、衝撃の大きなトレーニングルーティンなどによって、骨盤底筋が弱くなるような要因を抱えている場合、それらがセックス中に尿意を感じる原因となっていることが考えられます」と、ロス博士。

骨盤底筋を鍛えるには、ケーゲル体操がおすすめだそう。

過活動膀胱を患っている

性行為中に尿漏れを起こしてしまうことを切迫性尿失禁といい、過活動膀胱の症状のひとつでもあります。

過活動膀胱は、頻繁にコントロールできない急激な尿意に襲われるのが特徴で、たとえ膀胱に尿が溜まっていなくても排尿したくなるよう。切迫性尿失禁は「水が流れる音を耳にする」など、ちょっとしたことが引き金になることも…。

頻繁にトイレに行かなくてはならない状態に悩んでいる場合は、医療機関に相談してみましょう。

性行為中の尿意対策としてできること

ここまで紹介したこと以外で、セックス中の尿意を防ぐ方法もあります。次に挙げるいくつかの生活習慣を変えることで、尿意のコントロールができるようになるかもしれません。


膀胱への圧迫を避けるため、違う体位でセックスする
肥満気味の人は減量する
利尿作用があり、膀胱への刺激となるカフェインやアルコールの摂取を控える
トイレにいく時間を決め、膀胱トレーニングを行う

骨盤底筋を鍛えるトレーニングをきちんと行って、生活習慣を変えるだけで、ほとんどの人がセックス中の尿意を軽減もしくは消滅させることができるようです。ただし、気になることがある場合、必ずクリニックに相談することをおすすめします。

医療機関に相談するべき場合

「セックス中に尿意を感じるのはいたって普通のこと」という話をしてきましたが、中には医師に相談すべきケースがあることも忘れずに。

たとえば、痛みを伴う急激な尿意は、尿路感染による膀胱炎かもしれません。尿失禁の原因となる隠れた病気があるのだとしたら、その病気の治療こそが尿失禁を減らすことにつながります。セックス中に痛みを感じる人も、必ず医療機関に相談しましょう。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 中尾眞樹(Office Miyazaki Inc.)

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