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エントリーグレードでも装備は豪華

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マイルド・ハイブリッド化された、ランドローバー製のまったく新しい3.0Lの直列6気筒ディーゼルエンジン。フルサイズのSUV、最新のレンジローバーへもD350とD300という2種類の出力設定が与えられ、搭載されている。

今回試乗するのは、穏やかな方のD300。トリムグレードはヴォーグで、英国ではレンジローバーのエントリーグレードに当たる。標準仕様なら、価格は8万3000ポンド(1162万円)から。

ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)

上を見れば、レンジローバーの天井はかなり高い。ロング・ホイールベース版のシャシーに、565psを生み出すスーパーチャージドV8エンジンが載るSVオートバイオグラフィでは、18万ポンド(2520万円)へ上昇する。

エントリーグレードといっても、2021年だからシートはクロス張りでもないし、サイドウインドウも手動ではない。ディーゼルとはいえ、エンジンも4気筒ではない。

このD300が装備するのは、車高調整が可能なエアサスペンションに、ローレンジも備わるパーマネント式の四輪駆動システム。車内には3ゾーン・エアコンが備わり、メーターパネルはモニター式。

バンパー下で足を振れば開くパワーテールゲートに、冷却機能も付いた小物入れ兼アームレストもある。追加費用なしで英国ではWiFiスポット機能と、デジタル・テレビチューナーも付いてくる。

ピヴィ・プロと呼ばれるJLR最新のインフォテインメント・システムは、まだレンジローバーには搭載されていない。しかしタッチプロ・デュオと呼ばれる現行のシステムでも、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応する。

たくましいエンジンに静寂な車内

D300の場合、D350と比べてエンジンは50psと5.5kg-mだけ穏やかで、0-100km/h加速時間は0.5秒ほど遅れる。そのかわり、燃費はわずかに良い。

実際に道へ出れば、充分以上の動的性能を備え扱いやすい。過給されるV8エンジンを搭載するレンジローバーと比べても、引けを取らないほど運転は安楽。回転域を問わずトルクは豊かで、中間加速でもキックダウンなしに速度を高めていける余力もある。ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)

高負荷時でも滑らかなフィーリングは失われず、3500rpmを超えても軽快に吹け上がる。サウンドは聞いていて心地良いわけではないものの、不快と思うことはないはずだ。

走行中の洗練度も非常に高い。高速道路を走行している場合、直列6気筒ディーゼルのハミングは遠くで奏でられる程度。風切り音も抑え込まれている。一番大きく耳に届くのはロードノイズだが、それも不満を抱くほどのレベルではない。

試乗車には21インチホイールに、ピレリ・スコーピオン・ヴェルデというオールシーズン・タイヤを履いていた。この組み合わせですら、ロードノイズは最上級に洗練されたリムジンより、わずかに大きいだけ。

ラグジュアリーな車内空間を優先し、20インチホイールと標準のタイヤを選べば、さらに静かになるだろう。お好みなら。

4代目レンジローバーの静かな車内で過ごす時間は、とても心地良い。搭載された技術には、オールドスクールな優しさがある。

ファッショナブルでラグジュアリー

大きなステアリングホイールで、スローペースなステアリングラックを回す。ソフトな乗り心地で、どんな道でも快適に移動できる。それでいて、すべての操作系は滑らかでリニア。驚くほど正確に大きなボディを操れ、先を急げる。

とりわけ試乗したD300の場合、大きく重いV8ガソリンエンジンを搭載したレンジローバーより、乗り心地の制御でアドバンテージを感じられた。ボディはフラットに保たれ、大きな隆起部分を超えても影響は少ないようだ。ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)

インテリア周りのアップデートは限定的ながら、今でも驚くほど現代的な雰囲気がある。艷やかなエアコンのコントローラーも、骨太で構造的なデザインのダッシュボードと見事に融合されている。

試乗車のインテリアでは、サテンクロームとピアノブラックのトリムがふんだんに用いられていたが、そのコーデイネートにも好感が持てる。ファッショナブルでありながら、ラグジュアリーでもある。

D300のホイールベースは標準の長さだが、リアシートの空間には余裕がある。身長の高い大人が乗っても、軽いストレッチくらいはできるだろう。どの席からも視認性が良いことも、レンジローバーらしい特徴といえる。

2021年中には、5代目レンジローバーの発表が控えている。この時期に4代目を購入することは、正解ではないかもしれない。5代目が登場すれば、4代目の価値は下がってしまうだろう。

D300で最高の4代目レンジローバーを味わう

4代目レンジローバーは、発表から時間を経る毎に、優れたラグジュアリーモデルへと煮詰められていった。そもそもスタートから最高の高級車としてオススメできるほど優れていたが、理想的に歳を重ね、まもなく終止符を打つことになる。

ランドローバーの新しいインジニウム・ディーゼルエンジンは、2012年から製造され、いまでも充分な賞味期限を残している。自身で燃料代を支払うのなら、レンジローバーで有力な選択肢のままだ。ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)

確かに価格だけでなく、レンジローバーは維持費も安いとはいいにくい。それはエントリーグレードでも、基本的には変わらない。ラグジュアリーSUVに惹かれる人の中には、18万ポンド(2520万円)するゴージャスなSVオートバイオグラフィを好む人もいるだろう。

でも、そんな人はひと握り。4代目レンジローバーを最高の状態で味わうのなら、D300で充分。しかも、最上級グレードの半分以下の費用しか必要ないという点は、見逃せない事実だと思う。

ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)のスペック

価格:8万3465ポンド(1168万円)
全長:5000mm
全幅:1990mm
全高:1836mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:7.4秒
燃費:11.5km/L
CO2排出量:228g/km
車両重量:2275kg
パワートレイン:直列6気筒2997ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:300ps
最大トルク:66.1kg-m
ギアボックス:8速オートマティック