「体にいいもの」を摂っても、腸が汚れているとその効果は発揮されません(写真:Foxys_forest_manufacture/iStock)

世界的に著名な自然療法士でオステオパシストのフランク・ラポルト=アダムスキー氏。1992年に発表された「アダムスキー式腸活法」は30年近く欧州で愛され続け、その「腸活メソッド」を紹介する著作は、本国イタリアのみならず、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、トルコなど世界中で話題になっている

2017年には、Google.itの食事法(ダイエット)部門で「最も検索されたキーワード」ベスト3に選出されたほどだ。

そのアダムスキー氏の著書が、このたび初めて『腸がすべて:世界中で話題!アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』として邦訳され、日本でも大きな話題を呼んでいる。

アダムスキー博士によると、多くの体の不調の原因は「汚れた腸」にあり、「健康にいいもの」を食べている人の中にも、残念ながら「腸についての重大な盲点」がある人が少なくないという。

「『健康にいい食品ばかり食べたがる人』が陥りがちな盲点」について、本書を抜粋・再編集しながら、紹介する。

腸が汚れていると「体にいいもの」も効果が薄れる

私は長期にわたるさまざまな研究を通じて「アダムスキー式腸活法」の基礎を構築するに至りましたが、その基本となるのは、「体の機能不全のほとんどが『腸の流れ』によって決まる」という考え方です。


腸が「正しく」流れているときは、健康な生活を送ることができますが、腸の流れが「滞る」と、体のバランスが崩れてしまい、さまざまな体の不調へとつながってしまいます。免疫力低下や重大な健康被害を引き起こす可能性もあります。

腸の流れが滞ってしまうのは、「間違った食生活」で消化管の壁に「有害な汚れ」がたまっていくことが主な原因です。この腸にたまっていく「有害な汚れ」をとり、消化管の働きをよくするためには「正しい食生活」が有効です。

しかし、「正しい食生活」といっても、「体にいいもの」と言われているものを摂ればいいというわけではありません

健康志向の高い人ほど、「体にいいもの」を食べようとしますが、そういう人の中には「腸について無知」なあまり、重大な点を見逃しているケースも少なくないのです。

本記事では、そんな「『体にいいもの』ばかり食べたがる人が陥りがちな盲点」を紹介します。

「『健康にいい食品』ばかり食べたがる人の盲点」の1つ目は、「『食品』についてばかり目がいき、肝心の『腸』について意識がいかない、『腸が汚れた状態』のまま食べつづけてしまう」ということです。

腸がキレイだからこそ「体にいい効果」が出る

【1】「『腸が汚れた状態』のまま食べつづけてしまう」

よくある食事療法では、「あの食品が体にいい」「この食べ物が健康に効く」といったものばかりです。しかし、「体にいいからといって、健康にいい食べ物を摂取するだけでは不十分だ」というところまでは教えてくれません

1つ、例をあげてみましょう。「視力をよくしたければブルーベリーがいい」という話もよく聞きます。ブルーベリーは、「アントシアニン」という抗酸化物質をもち、それが目の網膜にある「ロドプシン」というたんぱく質に作用するため視力の回復効果が期待されるといわれています。

しかし、一生懸命ブルーベリーを食べても、消化管がふさがれて働きが低下していたら、ブルーベリーに含まれるありがたい抗酸化物質は血中までたどり着くことができず、その効果も期待が薄れてしまいます

さらに、消化管の働きが低下していることにより、長い間腸内にブルーベリーがとどまることになってしまい、かえって「腸に負担をかけてしまう」という悪循環に陥ってしまうケースもあります。

つまり、どんなに「体にいいスーパーフード」といわれていても、消化管が詰まって正常に流れていなければ、腸の中で「奇跡」を起こせないのです。

いくら体にいい物質が含まれていても、唯一の通路(消化管の壁にある「穴」)がふさがれて血中に到達できなければ、どんなに「体にいい食べ物」でも効果が十分には発揮されず、体外に出てしまうことも少なくないということです。

体調不良の原因となる毒素を除去するのはたしかに重要ですが、それをできる万能の食べ物など存在しません。体をキレイにするには、消化管こそ重要な役割を担っています。腸がベストコンディションになっていることで、はじめて「その食べ物の真の効果」が発揮されるのです。

2つめは「体にいい食べ物の『消化の速さを無視』して食べてしまう」ことです。

「消化の速さ」が異なる組み合わせはNG

【2】「体にいい食べ物の『消化の速さを無視して食べる』」

健康雑誌などでも取り上げられていますが、「おやつはスイーツの代わりにナッツ類を食べるといい」という話をよく聞きます。ナッツ類は食物繊維が多く、そのなかでも、くるみはアーモンドやアマニ油、サバやサーモンと同様に、「オメガ3」系の脂肪酸を非常に多く含む食品です。「オメガ3」は健康に欠かせないDHAを含む「体にいい脂肪酸」といわれています。
「じゃあ、体にいい『カテキン』が豊富な緑茶と一緒に食べるとますます体にいいかも」と思いがちですが、実は問題があります

健康な人も盲点!「腸の汚れ」が招く5大不調」でもお話ししたとおり、食べ物には種類によって「消化の速さ」が異なります。くるみは消化の速さが遅い「スロー」に分類され、緑茶は消化の速さが早い「ファスト」に分類されるので、それぞれの消化のスピードが異なります。

異なる速さで移動する食べ物を同じ消化管に入れると消化のトラブルが起きやすくなり、腸全体の流れが遅くなってしまうのです。これが「腸が汚れた状態」では、ますます腸に多くの負担をかけてしまいます。

食事だけ大改革したところで、意味はありません。先に消化管を正しく機能させないことには、どんな健康法を試しても効果が出ません。

【3】「体にいい食べ物は『どんどん食べてもかまわない』」

「体にいい食べ物」と聞くと何でも試してみたくなりますよね。また、「『体にいい』というと、いくら食べても大丈夫」とつい思ってしまいがちです。

しかし、「体にいい」からといっても、たくさん食べればその効果が増えていくわけではありません。「腸が汚れて」いると消化も鈍くなりますし、何種類も食べても消化の速さが異なっていれば、さらに腸の流れも悪くなっていきます。

すると食べ物が腐敗して壁に張り付き、腸は狭くなり、毒素の処理もできなくなります。こうして腸管の中でどんどん蓄積されていき、腸管は「食べ物を下へと送る」ために24時間働きつづけることになるのです。

これは、腸から自浄に必要な「すき間」の時間、つまり、「空っぽのまま何もせずに休む時間」を奪うことになります。つねに満杯のまま食べ物を処理しつづければ、消化管はあちこちで流れが詰まり、自分で自分を浄化できずに、どんどん疲れていきます。

こんな食べ方をすれば、どんなに「体にいいもの」を食べつづけても、効果は発揮できません。「体にいいもの」を食べるときも「すき間」時間をつくることを意識してみましょう

「きれいな腸」で、「健康でアクティブな毎日」を

私は学生時代、スポーツに夢中でした。水泳、乗馬、武道など、あらゆるスポーツに挑戦し、どんな競技でも人よりうまくできる自信があり、プロのアスリートを目指していました。しかし「ショイエルマン病」という脊椎が硬化する病になってしまい、プロのアスリートを目指すことができなくなってしまいました。

どんな才能も決意も、体に不調があれば、役に立たないこともあります。これは「腸の働き」でも同じです。「健康にいい食品」が体内に入ってきても、腸が正しく働かなかったら「その十分な効果」を発揮することはできません。重要な点なので繰り返しますが、どんな「スーパーフード」でも、消化管が詰まって正常に流れていなければ、腸の中で「奇跡」を起こせないのです。

私は「アダムスキー式腸活法」を通して、「新しい健康的なライフスタイルの基盤になる習慣」を、できるだけ多くの人に広めたいと思っています。

みなさんには「腸をきれい」にすることで、「いつでもアクティブで活力にあふれて思いどおりに動く体」を手に入れ、結果、「幸せな人生」を実現されることを強く願っています。

(医学監修:澤田幸男/医学博士、澤田肝臓・消化器内科クリニック院長)