施設内にある看板

写真拡大

 日本におけるコロナウイルスの拡大は、まもなく1年になろうとしている。多くの企業が苦心の感染対策を講じる中、池袋サウナ施設「かるまる」が強気の対策を開始した。その効果と評判を、担当者に聞いた。

◆サウナ入館時に「誓約書」を記入!?

 昨年4月に続き、2度目となる緊急事態宣言が発令された今月7日、サウナ施設かるまるから、総支配人名義で「皆様の命を守るため、ご利用・ご入館を『おひとり様』でお願いしたくご協力をお願いいたします」という文書が出された。

 具体的には、館内での会話ばかりか複数名での行動を禁止するというもので、家族や友人同士で来館をしても1人ずつの案内になるという。それも、浴場やサウナ室ばかりでなくレストランや喫煙室でも会話と複数名の行動が禁じられる、とされている。

 そればかりではなく、入館時に上記に関する「誓約書」に署名をする必要があり、守れない場合は退館を求められるという、かなり厳しいものだ。

◆厳重な対策を始めた理由

 一昨年の12月に開業した同店は、すぐにコロナ禍の憂き目に遭った。担当の江尻友里恵氏は「昨年の4月5月は休業しました。11月には少し盛り返してきたんですけど(第3波が拡大しはじめた)12月からはまた(売上が)下がってきていて、現在は半分以下といった状況です」と話し、本来であれば少しでも多くのお客を呼び込みたいだろう。

 家族や友人と談笑しながら、サウナや館内のレストランでリラックスすることを楽しみとして来店する人も多い。ともすれば、そうした層がさらに離れてしまいかねない今回の対策は、苦渋の決断だったことが伺える。

「フロントにあがってくるエレベーターで、お願いの張り紙をみて『なんだよこれ』と言いながら帰ってしまったお客様もいらっしゃったと聞いています」(江尻氏)という。また「入館時に団体できたお客様へ『おひとり様』の説明をした際に『今回は辞めておきます』と帰られた方はいらっしゃいました」(同氏)とのことで、痛みを伴うものであることは間違いないようだ。

 それでも、これほどまでに厳しい対策を打ち出す背景について、同氏は「これまで、サウナの情報サイトなどでも『サウナ内で騒いでる団体がいたから、しばらくは行くのやめよう』と言ったような書き込みがありました。そうしたお客様には、スタッフからもお声かけして参りましたが、なかなか減らず、一層コロナ対策を徹底しないといけないということではじめました」という。

◆誓約書でトラブルは?

 そんな、厳重な対策に効果はあったのだろうか。「同じ情報サイトで、『かるまるに静寂が訪れた』『(この対策を)終了しないでください』という、歓迎する口コミがたくさん上がってきたんですよ」と江尻氏。サウナには静かに入りたいという人や、徹底した感染対策による安心感をもつ人も多いようだ。

 誓約書という、キツい印象もある対策だが「ここまでは、誓約書を書くことによるトラブルは起こっていません」と江尻氏。また「館内で話をするお客様もいましたが、都度注意し、トラブルなくご理解いただき、途中退店をお願いする状況はなかったです」と、むしろ誓約書を書いたことで、従業員が注意しやすい環境と、利用客がそれに従いやすい環境が出来上がっていることもわかる。

 なお、館内での会話を注意されてもやめず退館することになっても、入館料の返金は一切しないという。

◆おひとり様で天国に

 江尻氏の言うように、サウナ専門の情報サイト「サウナイキタイ」には「お一人様仕様になって、神施設になった」「素晴らしいの一言でした!」「天国か」と、良い口コミが並び、批判は皆無と言っていいほど見られない。

 国全体で厳粛に感染防止に努めていかなくてはいけないこの時期。客商売は弱い立場にあると言えるが、これほど強い対策を実施してお店と業界を守ろうとする姿に、一刻も早いコロナの収束を願わずにはいられない。<取材・文/Mr.tsubaking>【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。