「世界をもっとドラマチックに。」をコンセプトに、ダンスと空間、シーンに合わせた料理を通して、“イマーシブトリップ”という新しい演劇体験をダンサーやクリエイターなど総勢50名で作り出す活動をしている『Dramatic Dining』。昨年のコロナ禍において、開催が危ぶまれる中、クラウドファンディングで多くの支援を獲得し、浅草芸者と世界的ダンサーの『Shadows of the Flower』を実現させました。

「街にどっぷりつかる体験をつくる」をテーマに、前作「週末Hanno」では、埼玉県飯能市にある古民家とその周りを舞台に、ダンスとそのシーンに合わせた料理、空間を通した五感で感じる公演を成功させた『Dramatic Dining』。

『Shadows of the Flower』では「浅草観音裏」を舞台に、「浅草見番」や花柳界の料亭「浅草都鳥」など、日本に生まれ東京で暮らしながらも知らなかった浅草の魅力を魅せてくれました。実際に参加した筆者のレポートをご紹介します!

※こちらの公演は2020年11月に、感染症対策を行った上で実施されています。

本作で描かれるのは「花街を舞台に描く、一人の芸者と彼女を取り囲む人々の物語」。浅草観音裏にある料亭に集合すると、車夫が待ち受けていて、

舞台を楽しみ為の手引きを渡されました。

会場となる「浅草三業会館」に到着すると、ダンサーやキャストによって、すぐに物語の中に誘われます。

「浅草見番」とは、普段芸妓さんがお稽古や、お披露目をする場所。自分の足で階段をあがったり、お座敷に座ったり、移動しながら演出を楽しみます。

芸妓、車夫、旦那衆、女将など次々登場するキャストたち。言葉は無くとも、次第にそのストーリーに惹き込まれていくのです。

「観客それぞれで見ているシーンが異なる」ため、自分で見たシーンを頭の中でつなぎあわせて「ああ、ここはこうだったのかもしれない!」と想像することで作品が完成するという、自分の感性を刺激する演出となっています。

芸者の千華さんと、こま晶さんによる妖艶な舞と三味線に圧倒されました。

さらに、舞台いっぱいに所狭しと舞うダンサーたち。浅草の伝統的な魅力と新しい表現の融合を、視覚・聴覚・空気と触れる触覚で存分に味わいます。

ストーリーによって工夫された光と影の演出。キャストたちを引き立てる衣装とメイク。全てが混ざり合って完成する、それぞれのシーン。遠く離れた舞台では無く、目の前で繰り広げられるので、その迫力は凄まじいもの。

ダンスと空間、シーンに合わせた料理を通して表現するイマーシブトリップですが、新型コロナウィルス感染防止の観点から、公演後にスペシャルギフトボックスが贈られました。「満月の夜の天女の舞」をイメージした卵蒸しパンや、「車夫仲間のお茶のあて」である雷おこしなど、物語と浅草を感じられるギフトがギュッとつまっています。自宅でストーリーを回想しながら、改めて味覚からも作品を楽しむことが出来ました。

ダンス、演劇、アートの新たな楽しみ方を提案してくれる『Dramatic Dining』。次回公演は未定ですが、最新情報はSNSをチェック! この『Shadows of the Flower』のダイジェスト動画も公開中なので、ぜひご覧ください。

【動画】DramaticDining ASAKUSA 『Shadows of the Flower-華の影たち-』
https://www.youtube.com/watch?v=EW0wOzcjA7E

Dramatic Dining
https://www.instagram.com/dramaticdining/
https://twitter.com/dramaticdining_

撮影:周二郎