コロナ禍でも求人が絶えないタクシー業界。「誰でもできる」は本当か?

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◆コロナ禍で増える未経験者の入社

「今日からお世話になります。前職は飲食店を経営していました。タクシーは未経験ですが、よろしくお願いします」

 タクシー会社の朝礼では、このような新入社員の挨拶をする光景がここ最近増えてきている。皮肉にも不景気になるとタクシードライバーは増え、景気がよくなるとタクシードライバーが減る。需要と供給のバランスがうまく保てないのがタクシー業界の常である。

 1月7日に2度目の緊急事態宣言が、1都3県に発令された。1ヵ月の期間限定というものだか、徐々に全国に緊急事態宣言が広がっている中、その1ヵ月という期間も怪しい。今回の緊急事態宣言は飲食店を対象に絞ったものだか、飲食店と密接な関係のある業種も打撃を受けるのは必至だ。

 飲食店関連だけではない。何とか今まで持ち堪えていた企業や商店にも先の見えないコロナ禍の影響により解雇や倒産、廃業と職を失う人が多く出てくるだろう。いや、もう多く出ている。そして、難航する再就職。希望とおりの職種に就ければよいがそれも難しいだろう。

 全くの未経験の職種に飛び込むには勇気がいる。

 特に経験が物言う世界には尚一層躊躇する。あまり経験を問わないそんな業種はどのようなものがあるのか。このコロナ禍衰退する産業もある中、急成長をとげた宅配産業。Uber eatsや出前館など今までないスタイルが出で職に対する意識も変わってきた。登録さえすれば誰でもできる手軽さもあり、成り手は後を経たない。

 このような『来るもの拒まず』の世界といえば、タクシードライバーという選択肢も出てくる。
普通免許さえあれば、特別な経験はいらない。

◆求人が絶えないタクシー業界

「タクシードライバーだって、今は食べていくのには大変だ」というセリフをタクシー乗車の際に聞いたこともあるだろう。

 確かに大変だ。タクシー業界もコロナ禍で承知の通り、前回の緊急事態宣言の際に休業や廃業したほどにコロナ禍で大きな影響を受けた業種である。そして、今回の緊急事態宣言でも休業や廃業を決めた会社もある。そんな状況の中でもなぜ求人があるのか?

 平均年齢の高いタクシー業界は、コロナの感染を恐れ辞めていく人も多い。また、タクシー業界に失望を感じ辞めていく人もいる。また、安易とタクシーの台数を増やせない状況がある。需要と供給のバランスを保つために台数の増減が決められているのだ。

 したがって、廃業に追い込まれたタクシー会社があったとしても、台数を増やしたいタクシー会社が後釜をとる。たとえ会社がなくなってもタクシーの台数は減らないのだ。常に人材不足のタクシー業界。入社祝金を出すところもあるくらいだ。余力のあるタクシー会社などはこの時期に人員を確保することもあるだろう。

 誰でも出来るということは、裏を返せば成功するものは一握り。分母が多ければ多いほどに成功するのは遠のく。Uber eatsなども限られたパイを奪い合い薄利に陥ることもある。もちろんタクシー業界も一緒である。

 ではなぜ、このコロナ禍にタクシードライバーに人は流れるのか? そこには、タクシー特有の隔日勤務にある。

◆タクシードライバーの理想と現実

 タクシーの勤務体系は隔日勤務である。1日仕事をして翌日は明番。ある意味休日だ。月に11〜13日の出勤でありその他は休みである。

 つまり自分の時間が普通のサラリーマンよりも十分にもてる。

 その魅力に惹かれ、趣味や資格取得の時間に充てようとしたり、夢を追う時間に充てたり、このコロナ禍においては再起を賭けての充電期間にしようと考えいてタクシー業界に飛び込む人は多い。 しかし、実際タクシーの仕事をしてみたら「こんなはずじゃなかった……」と思う人も多い。