M&Aによる二極化とメガ化が進むパチンコ業界(写真はイメージ)

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◆二極化が進むパチンコ業界

 2021年の新年を迎えたけれど、多くの人は、おめでたい状況ではないだろう。再度の緊急事態宣言などコロナ禍は収まらず厳しい状況が続いている。

 パチンコ業界も例外ではないのだが、さらに厳しくなっている店とそうでない店とで二極化が進んでいる。特にここ数年は、大手ホール企業や地方豪族と言われる地力に勝る各地の中堅企業がM&Aであちこちの身売り・閉店ホールを傘下に収めて勢いづいている。その一方で店を次々閉めてジリ貧の企業や、身売り、切り売りからさらに他業種への転換など、生き残りをかけて業界に見切りをつけるホール企業も少なくない。結果、店舗減に歯止めがかからない状況が続いているのだ。

 昭和20年代後半には約4万3000店もあったのも今は昔で、CR機が登場した1990年代でも1万8000軒(※パチスロ専門店も含む)もあったホールが、平成の終わりに1万店舗を割ったことは業界はもちろん業界外でも衝撃を持って迎えられた。

 この流れは、「遊技人口の減少」という根本的な問題が解決しない限り止めることは出来ない。ただでさえ遊技機の射幸性ダウンやホールの広告・イベント規制が強化されているのに、コロナに加えて昨年4月からの改正健康増進法(屋内禁煙)の施行が追い打ちをかけた。

 各ホール企業は経営努力をしているのだが、業界全体の売上高も続落していてどうにも厳しい。そのため、業界コンサルも指摘する「オーバーストア」説は既に業界人の間では暗黙の了解になっていて、ホールの1万軒割れも予定調和な空気すら漂っている。

 こちらのデータを見れば、状況はより理解できるだろう。このデータは2010〜19年の警察庁発表を基に、筆者が独自集計したものである。黄色部分は店舗数が前年より増加したことを示している。また、減少率の全国平均は20.08%となった。

◆減少傾向にあるにもかかわらず、なぜホール軒数は増えた?

 現在発表されているここ10年の数値だけでも、平均約20%も店舗数の減少したのがお分かりいただけただろう。データを見ると、関東甲信越や中部、近畿など大都市圏は減少率が大きく、店舗の増加パターンもほとんど見られない。中でも関東圏の店舗数は30%近い減少率で、全国平均よりも減少率が高くなっている。群馬県に至っては4割近い減少で、地元ファンもその減り具合を実感しているのではないだろうか。

 これは遊技人口の減少がストレートに反映され、売上低下に耐えれないホールが次々撤退しているのがよく分かる数値であろう。逆に九州、四国と東北の一部では一時的とは言え店舗が「増加」している県がある。全体では減少傾向は変わらないのだが、ポツポツと店舗が増えている地域は有力企業による市場の「寡占化」が進んでいる地域で、減少率も緩やかに見える。しかし、その裏ではM&Aが進み、店舗数は変わらなくても中身が変わっているパターンが多いのだ。

◆M&Aが進み地方の有力ホールが全国展開していく

「M&A」とは「Mergers and Acquisitions」(マージャーズ・アンド・アクイジションズ)の略で、企業・事業の合併(Mergers)や買収(Acquisitions)の総称。その中身はTOBや事業譲渡、会社分割など様々だが、パチンコ業界ではここ数年、急激に進んている。 有名どころでは、まず大手の「ダイナム」(東京都)が2015年に「夢コーポレーション」の「夢屋」39店を傘下にしたのが注目された。同様に「キコーナ」でおなじみの「アンダーツリーグループ」(大阪府)も同年、茨城県や東京に展開していた「金馬車」17店を傘下に収めて話題となった。同社はその後も2016年に兵庫県の「NEO」など6店舗を子会社である「レッドウッド」の傘下にし、2017年には神奈川の「ジリオン」8店舗など加えて急激に拡大している。