ドイツサッカー連盟にて社会統合へと従事してきたカカウ氏が、4年間に渡る任務期間へピリオドを打つことが明らかとなった。ドイツサッカー連盟のフリッツ・ケラー会長は「元代表選手がこれだけ長きに渡りグラスルーツ レベルで、サッカー連盟に従事してくれたことは決して多くはない。」と述べ、「カカウのもつ発言力を評価しているし、ドイツサッカー連盟として彼の経験値から多くの恩恵を享受してきた」と語っている。

 ニュルンベルクやシュトゥットガルトにてプレーし、2007年にはブンデス制覇も成し遂げた同選手は、ドイツ代表として23試合に出場しており、さらにJリーグのセレッソ大阪でもプレー。これまでの任期期間を振り返り「多少なりとも貢献できたところはあると思う」と語った同氏は、「これからもサッカーにおける、そしてサッカーを通じての社会統合という点において、その重要性が変化することはないと思うし、これからも発言していきたいと思う」との考えを示した。

 なお今回退任することになった理由は、昨年からスポーツエージェンシー『NESS & Network』のパートナー兼マネージャーへと就任したためであり、ドイツサッカー連盟の規律によれば現在の同職への継続が認められないとのこと。また同連盟の発表によれば、カカウ氏はアンゲラ・メルケル首相やフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領とのあいだで、のべ200以上にも渡る話し合いも行なってきており、とりわけカカウ氏の焦点となったのが人種差別問題。最近でも新しいドイツサッカー連盟社会統合コンセプトの作成に関与していた。

 ただ2019年にヴォルフスブルクにて行われたセルビアとの代表戦では、ドイツサポーターから人種差別的な叫びが行われたことに対し、カカウ氏は「このことについて、あまり私は声を大にして言うべきではないと思う」と語ったことが非難を受ける結果にも。なおドイツサッカー連盟としては、カカウ氏がこれまで務めてきた同職を引き続き継続させていきたいと考えているようだが、いまのところはまだ後任については特に明かしていない。