「もうお金もないし、くせ毛と戦う気力もない。そんなときに始まったのが、『凪のお暇(なぎのおいとま)』(2019年、TBS系列)というドラマでした。

◆黒木華に似てると褒められるようになった

「美奈ちゃんって、あのドラマのヒロインみたい!」
「自然体でめっちゃ可愛い〜」
「個性的でむしろかっこいい!」と、やたらと同僚たちや友人らから褒められることが多くなったとか。

「驚くことに、あのドラマが始まって男女問わず一気に“モテ”だしたんです。今まで『トイプー(笑)』って悪口を言って笑っていた人もコロリと変わって。

 主演女優の黒木華さんに似てると言ってもらえるようになって、男性社員からもよくその話題をふられたり、話かけられたり。雨の日の出勤で髪が爆発していても、今までなら笑われていたのにむしろ褒められる。自分を取り巻く状況が一変しましたね」

 くせ毛の時代到来!……と思いきや、渋川さんの心にはある思いが芽生えました。

◆「簡単に変わる他人の評価に流されるなんてバカみたい」

「正直、『え、ドラマ一つでそこまで天パ(天然パーマ)の評価って変わっちゃうの……?』ということに驚きましたね。嬉しい変化ではあるんですよ。

 でも、同時に、『私の毎日の涙ぐましい努力って一体なんだったんだ?』ってなんかすごく切なくなって。もちろん人の目を異様に気にし過ぎていた自分も情けないですが、『簡単に変わる他人の評価に流されるなんてバカみたい』とバカバカしくなりました」

 それ以降、「くせ毛をなんとかサラサラヘアーにする」という方向性ではなく、「クセを活かして自分がやりたいような髪型を目指す」ことを心掛けるようになったそう。

「もちろん髪のケアは続けます。美容室で美容師さんに、『高級品を使うより、とにかく保湿と摩擦に気をつける!』ということも学びました。それを踏まえて、今はもう自分がしたいような髪形を楽しんでいます。

 くせ毛の人はショートカットにするといい感じにクセを活かせるといわれたので、ツーブロックに刈り上げて髪は前下がりボブにして。自然とパーマがかかった感じになるんです。

 人の価値観なんてくそくらえ、ですね。私は私のくせ毛を愛します」

 本当に大切なのは、他人ウケより、自分ウケですね。好き勝手に口だけしか出さない人の意見に一喜一憂するよりも、自分でいることを全力で楽しみたいものです。

―私のコンプレックス―<文・イラスト/赤山ひかる>