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「アイドルマスター シンデレラガールズ」の配信ライブイベント“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!”DAY2が2021年1月10日に開催された。

本公演は幕張メッセでの現地公演が中止となったことを受け、「シンデレラガールズ」初の配信ライブとして開催された。通常のライブと同様のステージセットを組んだ上で、AR(拡張現実)技術を活用した配信ライブならではの演出を取り入れている。DAY2には会沢紗弥(関 裕美役)、藍原ことみ(一ノ瀬志希役)、天野聡美(白菊ほたる役)、高森奈津美(前川みく役)、津田美波(小日向美穂役)、新田ひより(道明寺歌鈴役)、三宅麻理恵(安部菜々役)、嘉山未紗(脇山珠美役)、高橋花林(森久保乃々役)、田辺留依(荒木比奈役)、千菅春香(松永 涼役)、長島光那(上条春菜役)、原田彩楓(三船美優役)、渕上 舞(北条加蓮役)、松井恵理子(神谷奈緒役)、村中 知(大和亜季役)、森下来奈(鷹富士茄子役)、金子有希(高森藍子役)、武田羅梨沙多胡(喜多見 柚役)、田澤茉純(浜口あやめ役)、杜野まこ(姫川友紀役)が出演した。

和のテイストのovertureと共に登場したシンデレラたちは、扇子を手にステージに登場。衣装は着物テイストの共通衣装「ハピネス・エール」だ。津田美波が開幕の音頭を取って、「Happy New Yeah!」でライブは幕を開けた。DAY2は21人のアイドルが出演したが、DAY1とは完全別メンバーだ。ビジュアル的には高森が猫耳、三宅がウサミミを和の衣装に合わせていることや、嘉山のぴょんとはねた珠美の髪型再現が目を惹いた。個人的に印象に残ったのは、歌いながら目線をべたっと伏目に固定したままの高橋花林の姿だ。これはもちろん気が弱くおどおどしがちな森久保乃々の性格を意識した表現だが、高橋は1曲の中だけではなく、ライブ全体の中で表情や目線の置き方を変えて意味を持たせてくるイメージがある。どのタイミングで彼女がカメラを意識的に見つめるのかにも注目したい。

オープニングの挨拶後、トップバッターを飾ったのは和のユニット・可惜夜月(あたらよづき)の嘉山未紗、田澤茉純、新田ひよりによる「義勇忍侠花吹雪」だ。嘉山のぴょこ毛、新田のポニーテール、田澤のお団子と後れ毛など、ビジュアル再現度が高い。能楽堂のような和のステージセットや舞い散る花吹雪、地を走る炎はすべてARによる仮想演出だ。MCでは新田と嘉山が「お正月の一発目でこの曲を歌えて嬉しい!」「和装で歌えて嬉しい!」と盛り上がっていた。

「命燃やして恋せよ乙女」は会沢紗弥、高橋花林、原田彩楓、三宅麻理恵、杜野まこが歌唱。原田と三宅はオリジナルメンバーだ。DAY1で歌われた際、注目を集めたのが歌唱アイドルに合わせた「〜、乙女」という新春口上のパート。DAY2では「今年は素直になりたい、乙女!!」「今年こそ流されない、乙女」「今年も控え目、乙女」「今年もかっ飛ばす!! 乙女」「今年も17歳、乙女!」という感じで、トリの三宅の気迫が素晴らしかった。

「Never ends」をライブ初披露したのは藍原ことみ、渕上 舞、松井恵理子。同曲は第9回シンデレラガール総選挙のベストが歌った楽曲であり、1位(シンデレラガール)の加蓮、3位の志希、4位の奈緒を演じる3人はオリジナルメンバーだ。センターを務めた渕上は「みんな応援ありがとう! そしてこれからも、よろしくね!」と挨拶。DAY1でボイスオーディション組が披露した「Brand new!」が新しい始まりだったの象徴だったとすると、この曲はこれからも続いていくシンデレラガールズの象徴だろうか。特に組み合わせを意図しない投票によって、これだけの個性と歌唱力を併せ持ったトリオが生まれるのが面白い。松井がおさげの奈緒をイメージした髪型だったのが印象的で、“心奮わせるMusic”のフレーズに合わせて頭をふるふると揺らす振付がキュートだった。

「ほほえみDiary」では金子有希と新田ひよりのユニット、インディゴ・ベルが揃った。金子が明るい表情で歩く振りを交えながら歌い出し、新田が心地よい響きの高音でひだまりの風景を表現すると、ステージをあたたかな空気が包む。情景描写力にとても優れた二人だ。昨今の状況的に実際に手を取り合うことはできないのだが、舞台上手で新田が全身を使って「勢いあまってつまづく」姿を表現すると、下手では金子がそちらに向けて手を差し出す。カメラアングルの工夫もあり、支え合う二人、歩み寄る二人をしっかりと描写していた。間奏の新田のダンスのぴょこぴょことリズミカルな感じや、“ほほえみダイアリー”のフレーズで頬を指して輝くような笑顔を浮かべる金子の姿が印象的だった。

「幸せの法則〜ルール〜」では、天野聡美と森下来奈のユニット、ミス・フォーチュンが共演。誰よりも新春が似合う茄子、そして幸運と不運のイメージが強いふたりのアイドルの組み合わせは新年のライブにもぴったりだ。ゲームの物語の中で、一緒にステージに立つことを心から楽しみにしていた二人の共演が、現実のステージの上でも実現した。AR演出で天井からつり下がったアンティークなライトが生み出され、おだやかに明滅する光が二人のステージを照らし出す。ステージ中央で向かい合った二人は大きくうなずき合う。天野が、ほたるの前に進めない不安な気持ちを深い想いを込めて吐露すると、森下が柔らかく微笑みながら大丈夫、と歌いかける。とても物語性が強いステージだった。

「Snow*Love」は金子有希、嘉山未紗、高森奈津美、武田羅梨沙多胡、津田美波が歌唱し、オリジナルメンバーの金子がセンターに立った。キュートさと活発さを併せ持ったメンバーが多く、心浮き立つような恋の歌に仕上がった。圧巻だったのは落ちサビのソロを担当した金子の表現で、大きく瞳を見開いた後に「目を見るなんてできないよ」と眼差しを伏せ、「このドキドキ止めてよ」に切なさをあふれさせ、最後ははにかんだように微笑む。一つのパートに感情の起伏とストーリーを詰め込んだような見せ方には、TVアニメで役者としての可能性を見せた藍子の姿を思い出した。

「Sing the Prologue♪」は会沢紗弥、田澤茉純、千菅春香、長島光那、渕上舞、村中知、杜野まこが歌唱。晴れやかで明るい表情と笑顔の数々が印象的で、特に「命燃やして〜」では情念のこもった歌声と表情を見せていた会沢や杜野の曲によるギャップが面白い。1・2・3のカウントアップに合わせて杜野が見せたウィンクが鮮やか! 躍動する楽曲の中で、普段は激しめの曲調が多い村中や千菅がとても楽しそうな笑顔だったのが記憶に残った。

「ススメ☆オトメ 〜jewel parade〜」は藍原ことみ、嘉山未紗、田辺留依、原田彩楓、松井恵理子、三宅麻理恵、村中 知、森下来奈という顔ぶれ。フルで歌唱する機会が意外に限られていた初期曲なこともあり、新鮮に感じる。8人の立ち位置は固定だが、8人分のアップ、引き、ステージ前を流れていくレールカメラ、そしてサイドから演者たちの横顔を抜くカメラと、作りこんだカメラワークでバリエーション豊かに見せる。サイドから妙に寄るカメラがあると思ったら、どうやら狙っているのは村中の手元。大和亜季をイメージしたミリタリーカラーのネイルを曲中にワンポイントで見せていて、生配信とは思えない入念な準備を感じた。

「ステップ&スキップ」はユニット・ワンステップスの会沢紗弥、天野聡美、高橋花林が揃った。ゲーム内でのユニット結成から長い時間はかかったが、たしかな足取りでついに現実のステージへ。今回会場となった幕張メッセは、2019年に近日新曲実装ユニットとしてワンステップスのシルエットがスクリーンに映し出された思い出の場所でもある。それぞれに悩みながら、自分を変えようと努力してきたアイドルたちが、歩み、スキップしながら前向きになっていく歌詞を歌っている姿は感動的だ。そして、注目したいのが記事冒頭でも書いた高橋の表情だ。ここまで伏し目がちに歌ってきた彼女が、人と目線を合わせることが苦手な森久保が、ついに力強く目線を上げたのが「苦手なこともチャレンジして」のフレーズで、カメラのこちら側のプロデューサーとぴったり目が合った。これぞ高橋花林と言いたくなる見事な自己演出だ。楽し気にソロを歌う仲間の姿をお互いに覗きこむように見つめる仕草や、一歩ずつ悩みや迷いを乗り越えたからこその晴れやかな笑顔など、細部まで心に残るステージだった。

田澤茉純の「Shinobi 4.0 忍者のすゝめ」は待望のソロ初披露だ。歌い出しの口上から会場はあやめワールド。きびきびした振り付けの隅々に忍テイストが散りばめられているのが楽しい。非常にめまぐるしく、様々な要素が詰め込まれた楽曲で、「忍法・影分身の術!」や「忍法・空蝉の術! …おさらば♪」といったキメ台詞がとても鮮やかで心地よい余韻を残す。AR演出では無数の手裏剣やクナイが飛び交っていたが、MCでは影分身の術をステージ演出として実際にやってみたいといった内容でも盛り上がっていた。

田辺留依、長島光那のユニット・サイバーグラスによる「Needle Light」は2019年11月のナゴヤドーム以来の披露。普段は素顔でステージに立つことが多い田辺だが、この曲では眼鏡を着用しての登場だ。レーザー光線を多用したサイバーなイメージの曲は言うまでもなくAR演出と相性が良いのだが、この曲中に配信画面に映し出されたのは眼鏡越しにステージを見つめるような不思議な視界。まるでカメラに実物の眼鏡をかけさせたような視界はAR演出(物理)という感じだ。間奏の優雅なダンスで再びの眼鏡越し。サイバーユニットを限りなくアナログに見える手法で演出するのが面白い。長島の不敵ですらある笑顔や、田辺の圧倒的なロングトーンが強く印象に残った。田辺は眼鏡をかけてこの曲を歌う時に以前はあった肩の力が抜けたことや、前回曲中涙がこみあげてしまったぶん、かっこよく歌いたいと思ったことを語っていた。

「躍るFLAGSHIP」はオリジナルメンバーから津田美波と渕上舞が歌唱。シンメトリーの二人が「待っててね」とささやくと、まるで水の中のような不思議な空気の中ふたつの歌声が美しく響く。トリオ構成をデュオに振り直したことで、個性の対比がストレートに感じられる。後ろに流れる音数を限りなく減らした落ちサビで、歌声が空間に広がり染み入っていく感覚は無観客ライブならではかもしれない。ダンサブルで、それでいてたゆたうような不思議なステージで、アウトロで響いた深い吐息が余韻を残した。

前曲の余韻が残る中、「Joker」へのつなぎはどこまでもスタイリッシュ。ユニット「Ember last」の歌唱メンバー5人のうち、高森奈津美、千菅春香、村中 知、杜野まこの4人が大人のパフォーマンスを見せた。歌い出し、下地のパートにセンターの千菅が入り、“なすがまま”のうねるような浮遊感が印象的な千菅のパートが合唱になることで全体のイメージがかなり変わる。ゲーム(デレステ)のMVとほぼ同じタイミングで「EMBER LAST」のきらびやかなロゴが登場する演出が心憎い。トランプやダイスをモチーフにしたゴージャスなARライブ空間が、4人の重厚でクールなパフォーマンスにぴったりとフィットしていた。

スタイリッシュ3連のラストは「ダイアモンド・アテンション」。天野聡美、金子有希、嘉山未紗、高橋花林、武田羅梨沙多胡、原田彩楓、松井恵理子の歌唱で、嘉山と武田がオリジナルメンバーだ。それぞれが攻めの楽曲に寄り添った表現を見せているのが感じられるパフォーマンス。キメどころの「…共に」のフレーズは、原曲メンバーの嘉山と武田を2分割画面で抜いて映した。この演出はDAY1と同様で、メンバーは全員入れ替わっても演出としては来るぞ来るぞと待ち構えたところに来る気持ちよさがあるのが面白い。

MCを挟んでブロックの頭は「きゅん・きゅん・まっくす」から。今回のライブはアニメ『シンデレラガールズ劇場』発の楽曲を多めに披露している印象だ。歌唱メンバーは藍原ことみ、高森奈津美、津田美波、新田ひよりで、藍原と高森がオリジナルメンバー。志希としての歌唱は歌声の魔力に引きこまれるようなミステリアスなイメージが強いこともあり、藍原が直球ど真ん中にキュートでポップなナンバーを歌っている姿はなんだか新鮮だ。一方、津田のこの楽曲へのハマりっぷりは、美穂ってこの曲原曲では歌ってなかったっけ?と思ってしまうほどだ。ここまでかっこいいに寄っていたライブの雰囲気をガラリと変える1曲だった。

長島光那の「春恋フレーム」は待望のソロ楽曲初披露だ。さわやかで新しい何かがはじまる予感にあふれていて、もちろん上条春菜らしく眼鏡愛がぎっしりの楽曲だ。軽快でポップな曲調だが、そこで描かれる心情は乙女そのもの。冗談めかした「眼鏡、好きですか?」のリフレインで様々な表情を見せた長島は、ラストの「私を好きですか…?」に全身の想いと気迫を込めるような叫びを響かせる。全国の画面の前で「大好き!」の声が響いたのが聞こえてくるようだった。

続けてソロ初披露は武田羅梨沙多胡の「思い出じゃない今日を」。微笑みをたたえて、優しく、力強く語りかけるような表現だ。明るくて元気いっぱいな喜多見柚の内側にいる、等身大の普通の女の子の心情を想いを込めて、瑞々しく表現していく。輝く日々を一緒に作っていくワクワクと喜び、奇跡のような時間に対する限りない感謝。喜多見柚という少女を少し理解して、また少し好きになる、そんなステージだった。歌い終えた武田は、柚と深く向かい合う上での迷いを涙まじりに語りながら、「きっと柚になれたんだと思います。プロデューサーさんの目にも、私が喜多見柚に見えていたら幸せです!」と気丈に締めくくった。

そんな武田から「ソロのバトン繋ぐね」と託されたのが、森下来奈の「初夢をあなたと」だ。茄子という新春のめでたさが誰よりも似合うアイドルを体現するような楽曲で、今回の衣装ハピネス・エールがいちばんハマっているのは彼女かもしれない。幸運の女神のように扱われることが多い茄子だが、それだけに“富士の高嶺は運任せではたどりつけません”という歌詞にドキッとする。そのとき頭に浮かんだのが「幸せの法則〜ルール〜」のゲームイベントストーリーでほたるが茄子を表現した「幸運はきっと、努力を言い換えたことなんだ」という言葉だった。すべての物事をポジティブに捉えて、前向きに生きる茄子の誠実な姿勢。この曲とミス・フォーチュンの「幸せの法則〜ルール〜」は物語として繋がっているようで、同じ日に聞くことができて良かったと思う。

「印象」は天野聡美、田澤茉純、原田彩楓のオリジナルメンバーが揃った。3人の美しい歌声が溶けあって一枚の作品を描き出すようなイメージで、映像としても素のままの歌声と表情をストレートに届けてくる。ステージ上の3か所に別れて歌う3人が「あなた」に歌いかける姿と順番に“目が合う”のは配信ライブならではの体験で、特に天野のカメラの向こうにいる誰か、をイメージさせる力は素晴らしかった。

「オルゴールの小箱」は「シンデレラガールズ」の初期クール属性曲の一つ。クール枠として「Nation Blue」があまりにも強いこともあり目立ちはしないが、アイドルたちの強い思慕の念を感じさせるバラードの名曲だ。今回の歌唱は会沢紗弥、金子有希、高橋花林、武田羅梨沙多胡、千菅春香、渕上 舞、松井恵理子で、渕上と松井はオリジナルメンバー。二人にとっては初参加の大規模ライブで歌唱した楽曲でもある。今回の歌唱メンバーは(演じるアイドルが)なかなか素直に想いを伝えられないタイプが多いこともあり、それぞれのアイドルのことを歌った楽曲でもあるように響くのが面白い。しっとりとした時間がすぎ、オルゴールの音色のアウトロの余韻が長く深く残った。

「君のステージ衣装、本当は…」DAY2は藍原ことみ、高森奈津美、田辺留依、津田美波、新田ひより、三宅麻理恵、森下来奈が歌唱。アニメ『シンデレラガールズ劇場 Extra Stage』のEDサイズでも強い物語を予感させた楽曲だが、フルサイズで聴くとより感情と想像をかきたてられる。それは演者たちも同じようで、キャスト同士で「この曲エモくない?」と詞の解釈を語り合っていることを高森が明かしていた。田辺は唯一のオリジナルメンバーということもあり、フロントセンターの立ち位置で落ちサビ頭のソロを担当。至近距離から情感たっぷりな歌声を響かせた。この曲で荒木比奈がセンターを取ったというのもいろいろと思索の種になりそうだ。

ラストブロック頭は「One Life」で、千菅春香のソロ曲を長島光那、杜野まこと共に歌唱した。この曲では、3人で一緒に歌うことで千菅自身の表現も楽しげな、ソロとはまた違う雰囲気になっていたように感じた。歌い出しで彼女が「みんなでこの一瞬を感じようぜ、あたしたちのエール!」と叫んでいた通り、“あたしたち”から“みんな”へと届ける、複数形の歌になっていたのではないだろうか。松永 涼らしさを体現するようなロックテイストの強い楽曲に参加することで、どんな楽曲にも対応する長島の対応力と基礎力、幅広い色の楽曲の中で姫川友紀らしさを主張する杜野の存在力が際立って見えた。クライマックスでは天井から火花の滝が落ち閃光がスパークする花火風のAR演出があったが、本来屋外でしかできないタイプの演出をホールライブで見せられるのはARの強みだろう。歌い終えて高々とマイクを掲げる千菅の後ろ姿と、振り向いた笑顔の鮮烈さが印象的だった。

続いて独特の存在感を発揮したのが村中 知の「弾丸サバイバー」、こちらもソロ初披露だ。ステージに密林と金網が出現し、深紅のレーザー光が飛び交う。ものものしい空気の中繰り広げられるのは大和亜季がインストラクターを務めるフィットネスビデオ(かなりハード)のような独特の世界だ。表情と雰囲気、特徴的な歌声もあいまって、村中以外の誰にも表現できないステージだと思う。和の衣装とはあまりフィットしないのだが、その違和感をねじ伏せるだけのべらぼうなパワーがある。AR演出で2門のガトリングが火を噴き、村中の「標的、ロックオン!!」の目力マシマシのキメとともに、ステージからアパッチが離陸して客席を攻撃開始する。カラっとパワフルで突き抜けて楽しい、大和亜季らしいソロ初披露だった。

蜂の巣になった客席を続いて襲ったのは「オタク is LOVE!」の圧倒的エネルギーだった。歌唱は田辺留依、松井恵理子、三宅麻理恵のオリジナルメンバーが揃った。スタンスを広く取って腕を組み、「時は来た!」と開放の時を告げる田辺の声がりりしく力強い。観客の合いの手の声を可視化したようなAR文字が客席を飛び交うのだが、前日の「OTAHEN アンセム」の独特の表現のイメージが残っていると“きれいなオタク”“きれいなAR”という表現が浮かぶ。ステージ上に出現した仮想の秋葉原を舞台に、三者三様の好き、オタク心を表現していく。これほどはっちゃけた表現の田辺と比奈を見るのは初めてな気がして、見ているだけで楽しくなってしまう。大仰にエネルギー切れを起こす三宅、スクリーンの向こうのファンにエールを送るように呼び掛ける松井の姿はまさに千両役者。しんみりと想いを歌い上げるタメのパートも含め、とにかく全力でやり切る! という気迫とエネルギーを感じるステージだった。

DAY2の「絶対特権主張しますっ!」は、藍原ことみ、高橋花林、高森奈津美、長島光那、渕上 舞が披露。DAY1は新鮮さと意外性を感じる顔ぶれだったが、DAY2は志希、みく、春菜、加蓮と、絶対特権を渡すと非常に厄介そうなアイドルが並ぶ。その中に、主張とは完全に無縁の森久保(高橋)が入っているのがそれだけでもう面白い。一番では目を伏せすぎて目をつむっているようにすら見えた高橋だが、二番では弾けたような笑顔を見せる。いわゆるやけくぼだろうか。このあたりで客席に「のー!のー!」「NO! NO!」の文字が飛び交っているのを見て、そうか森久保“乃々”に「のー!のー!」のコールをやりたかったのかと思い至った。ライブ全体として、ラストブロックは明るく楽しく駆け抜ける強い意志を感じる構成だ。

パッションオブパッション楽曲、「情熱ファンファンファーレ」は金子有希、千菅春香、津田美波、三宅麻理恵、村中 知、杜野まこが歌唱。原曲ユニットポジティブパッションを代表して金子有希がセンターを取った。その周りをここまで誰よりも強いエネルギーを放っていたアイドルたちが固める最強の布陣だ。属性を超えてライブのクライマックスを盛り上げた6人は、「2021年!」「ポジティブに!」「パッションに!」「クールに!」「キュートに!」「いくよー!!」と言葉を連ねた。落ちサビのソロはもちろん、金子が担当。秘めた情熱とエールの気持ちを歌声と表情に込めた。この日、もっとも多くの表現の色を見てくれたアイドルのひとりが金子と藍子だったのは間違いないだろう。

DAY2の「GOIN’!!!」は会沢紗弥、天野聡美、嘉山未紗、武田羅梨沙多胡、田澤茉純、田辺留依、新田ひより、原田彩楓、森下来奈が歌唱。2015年のTVアニメ『シンデレラガールズ』以後が活躍のメインであるキャストたちが、アニメでもっとも輝いたシーンと楽曲の一つを追体験するような人選は前日と似通っている。楽曲とステージが持つエネルギーは顔ぶれが違っても変わることなく、これからもシンデレラの魔法が続いていく希望を感じさせる。一つだけ願えるならば、彼女たちがこの曲でオレンジ一色に燃える現実の客席に一日も早く出会える日が来てほしいと思う。

本編ラストは全員がステージに登場。仮想の祭り舞台が設営され、景気のいい和太鼓のリズムとともに登場した津田が「私たちのエール、届いてますか?」と、メンバーを代表してエールと幸せを届ける意志を示す。ラストナンバーは「Wish you Happiness!!」へ。ARセットには新年のデコレートとともに「Happy New Yell !!!」のロゴが踊り、このライブの一貫したコンセプトを伝えていた。

想いのこもった声なきアンコール(スクリーンコメント)に応えて、スクリーンには「シンデレラガールズ」アシスタントの千川ちひろがシルエットで登場。これからの展開についての発表を行なった。告知の詳細については公式サイトなどを確認してほしいが、もっとも大きな驚きで迎えられたのは「シンデレラガールズ」と「ゾンビランドサガR」のコラボだろう。コラボ時期は2021年春で、コラボ対象には「アイドルマスターシンデレラガールズ」と「シンデレラガールズ スターライトステージ」両方のロゴが確認できた。

そして、このコラボの発表により違った意味合いが生まれたのがアンコールの「青空エール」だ。DAY1の時点では、この曲は画面の向こうのプロデューサーにエールを届けるというライブコンセプトにぴったりの楽曲という位置づけだったと思う。それが佐賀県を舞台にしたご当地作品「ゾンビランドサガ」とのコラボを発表したことを受けて、DAY2ではこの曲が元々佐賀県のJリーグチーム・サガン鳥栖とのコラボソングとして生まれたことが一気にクロースアップされた。センターではね毛を揺らしながら「珠美たちの歌声とその成長、見届けてください! いざ、「青空エール」!」と力強く宣言したのは嘉山未紗。彼女が演じる脇山珠美は、佐賀県出身だ。同じ楽曲にサプライズ告知によってもう一つの意味を付加する、とてもウィットにとんだ構成だと思う。

最後の挨拶では、お正月らしい和のアイドルが代表して挨拶を行なった。田澤茉純はこうしてライブができた感謝を伝えると、「一年きっといい年になります!」と太鼓判を押した。新田ひよりは、元日生まれのアイドル道明寺歌鈴役として新年ライブに憧れていたこと、そしてユニット名の可惜夜月に掛けて「この時間が明けてほしくないです」と語っていた。嘉山未紗は「ライブで声が直接聴こえないのはさびしくて、会場に足を運んで声を出して盛り上げてくれたプロデューサーさんへの感謝を実感しました」と語ると、成長して迎えるであろう次のライブへの応援を頼んでいた。森下来奈は茄子にとっての新春ライブの特別さや大好きな和服衣装を着れた喜びを語ると、「一緒に幸せになりましょう!」と締めくくった。

最後の楽曲を前に、津田が「全国のプロデューサーさんもちゃんと一緒に歌ってくださいね?」と挨拶。2日間を締めくくるのは、もちろん「お願い!シンデレラ」だ。歌い出しに天野が「みなさんが今年一年、怪我なく事故なく、幸せになれますように、歌います!」と想いを込めて宣言すると、シンデレラたちと全国のプロデューサーたちが歌声と想いをひとつにして、初の配信ライブは幕を下ろした。

Text by 中里キリ

「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!」DAY2

2021.01.10.online セットリスト

M01:Happy New Yeah!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

M02:義勇忍侠花吹雪(嘉山未紗、田澤茉純、新田ひより)

M03:命燃やして恋せよ乙女(Long Intro Ver.)(会沢紗弥、高橋花林、原田彩楓、三宅麻理恵、杜野まこ)

M04:Never ends(藍原ことみ、渕上舞、松井恵理子)

M05:ほほえみDiary(金子有希、新田ひより)

M06:幸せの法則〜ルール〜(天野聡美、森下来奈)

M07:Snow*Love(金子有希、嘉山未紗、高森奈津美、武田羅梨沙多胡、津田美波)

M08:Sing the Prologue♪(Long Intro Ver.)(会沢紗弥、田澤茉純、千菅春香、長島光那、渕上舞、村中知、杜野まこ)

M09:ススメ☆オトメ 〜jewel parade〜(藍原ことみ、嘉山未紗、田辺留依、原田彩楓、松井恵理子、三宅麻理恵、村中知、森下来奈)

M10:ステップ&スキップ(会沢紗弥、天野聡美、高橋花林)

M11:Shinobi 4.0 忍者のすゝめ(田澤茉純)

M12:Needle Light(田辺留依、長島光那)

M13:躍るFLAGSHIP(津田美波、渕上舞)

M14:Joker(高森奈津美、千菅春香、村中知、杜野まこ)

M15:ダイアモンド・アテンション(天野聡美、金子有希、嘉山未紗、高橋花林、武田羅梨沙多胡、原田彩楓、松井恵理子)

M16:きゅん・きゅん・まっくす(藍原ことみ、高森奈津美、津田美波、新田ひより)

M17:春恋フレーム(長島光那)

M18:思い出じゃない今日を(武田羅梨沙多胡)

M19:初夢をあなたと(Long Intro Ver.)(森下来奈)

M20:印象(天野聡美、田澤茉純、原田彩楓)

M21:オルゴールの小箱(会沢紗弥、金子有希、高橋花林、武田羅梨沙多胡、千菅春香、渕上舞、松井恵理子)

M22:君のステージ衣装、本当は…(Long Intro Ver.)(藍原ことみ、高森奈津美、田辺留依、津田美波、新田ひより、三宅麻理恵、森下来奈)

M23:One Life(Long Intro Ver.)(千菅春香、長島光那、杜野まこ)

M24:弾丸サバイバー(Long Intro Ver.)(村中知)

M25:オタク is LOVE!(Long Intro Ver.)(田辺留依、松井恵理子、三宅麻理恵)

M26:絶対特権主張しますっ!(Long Intro Ver.)(藍原ことみ、高橋花林、高森奈津美、長島光那、渕上舞)

M27:情熱ファンファンファーレ(金子有希、千菅春香、津田美波、三宅麻理恵、村中知、杜野まこ)

M28:GOIN’!!!(Long Intro Ver.)(会沢紗弥、天野聡美、嘉山未紗、武田羅梨沙多胡、田澤茉純、田辺留依、新田ひより、原田彩楓、森下来奈)

M29:Wish you Happiness!!(Long Intro Ver.)(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

-encore-

EN1:青空エール(Long Intro Ver.)(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

EN2:お願い!シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク

「アイドルマスターシンデレラガールズ」日本コロムビア公式サイト「アイドルマスター」公式ポータルサイト