「正しい避妊」を意外と知らない。“コンドーム妊娠”もありえる|医師解説

 子どもを産む? 産まない? 産むとしたらいつ? 考え方はそれぞれですが、予期しない妊娠はやはり避けたいもの。そのためには正しい避妊が必要なわけですが……「確実な避妊」の知識、自信がありますか?

「コーラで膣を洗えばOK」「騎乗位なら妊娠はしない」「うがい薬で膣洗浄」といった都市伝説を信じている方はさすがに少ないでしょう。しかし、「生理前後は妊娠しない」「中出ししなければ大丈夫」「排卵日ではないから安全」となんとなく信じていませんか。これらもまた間違い。そして意外にも「コンドームで完全な避妊」というのも、決して正解ではないようなのです。

◆完全な避妊はコンドームとピルの併用

「日本ではコンドームが避妊具として広く一般的に普及していますが、実はコンドームをしていても、100人の女性が1年間で妊娠する率は2〜18人(*1)と言われています。途中で外れたり、破れたりもしますし、結構な頻度で“コンドーム妊娠”は存在しているということです。

 もちろん、性感染症予防のためにもコンドームの着用は必須ですが、これだけで避妊ができている、と過信しては危険です」

 そう語るのは、産婦人科医で赤羽駅前女性クリニック院長の深沢瞳子先生。

 では、確実な避妊のためにはどうしたらいいのでしょうか?

「低容量ピルは飲み忘れがなければ、避妊失敗率は0.3%。ピルを飲んでコンドームをすればほぼ100%、避妊ができると言われています。ピルを飲んでいるからコンドームをしなくていい、ということでは決してありませんが、ピルは女性が主体となってでできる避妊。自分自身でコントロールできるというのが、いちばんのメリットです」(深沢先生、以下同)

◆ピルは不妊にかかわる病気の予防にもなる

 深沢先生自身、この19年間、妊娠と授乳期間中以外はピルを飲み続けていて、「産婦人科の女性医師や看護師でピルを服用している人は結構多い」のだそう。それは「ピルには避妊だけでなく、さまざまな効果効能がある」からだと言います。

「ピルを飲むと生理不順がなくなりますし、1日単位で生理のタイミングを調整することができます。生理の量が減るので生理痛の苦しみがなくなり、チョコレート嚢胞や子宮内膜症といった不妊にかかわる病気を予防することができます。
 子宮内膜症は不妊症の原因になるだけでなく、仮に妊娠できたとしても妊娠中の前置胎盤や常位胎盤早期剥離といった早産を引き起こすような産科合併症を増やしたり、卵巣癌などの悪性腫瘍や、脳梗塞(こうそく)や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など一見子宮内膜症とは関係ないような閉経後の病気のリスクまでも増やすことがわかっています。

 生理痛がある人は生理痛がない人に比べて2.6倍も子宮内膜症を発症するリスクが高くなると言われていますので、決して生理痛は我慢しないでください。鎮痛剤や漢方薬で対処するだけでなく、一度婦人科で相談しピルで治療することを検討してみるといいかもしれません」

◆排卵と生理に追われる現代女性

 毎月、当たり前にあると思っていた排卵や生理が、実はからだに大きな負担をかけている。とご存知ですか。「現在、初経の平均年齢は12歳ですが、昔は16歳位。年間に生理は14回ありますから、4年増えれば、それだけで約60回も排卵と生理が増えるわけです。しかも、近年は昔に比べ出産回数が激減しています。1人出産すると妊娠期間中と授乳期間中を合わせて2年間近くは排卵を休憩しているため、その間生理もありません。昔のように生涯のうちに7〜8人出産していると、合計15年くらい排卵と生理を休憩しているということになります。しかし、今は出産したとしても1人か2人が多く、ゼロも珍しくありません。つまり、現代女性はずっと排卵と生理がフル回転状態。現代女性は生涯のうちに450回以上も生理があって、これは6年間ずっと出血し続けているのと同じことになります」