2020年末から続く寒波の影響で、日本では全国的に電力の需給が急増していますが、イランでもエネルギーの供給が窮迫していると報じられています。相次ぐ大規模停電に対し、イラン政府は「電力不足はBitcoin(ビットコイン)のマイニングが原因の一部」との声明を発表しました。

Massive blackouts have hit Iran. The government is blaming bitcoin mining. - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/world/2021/01/16/massive-blackouts-have-hit-iran-government-is-blaming-bitcoin/

Bitcoin Mining Is to Blame, at least Partially, for Massive Blackouts in Iran, the Nation's Government Claims

https://www.crowdfundinsider.com/2021/01/171315-bitcoin-mining-is-to-blame-at-least-partially-for-massive-blackouts-in-iran-the-nations-government-claims/

ワシントン・ポストが2021年1月17日に、「大規模な停電と大気汚染がイランで深刻化している」と報じました。同紙の報道によると、アメリカからの経済制裁が続くイランでは、家庭の暖房向けに天然ガスの需要が急増しており、燃料不足のため一部の発電所が運転を見合わせているとのこと。これに伴う電力不足による停電が多発しているほか、運転中の発電所が劣悪な燃料を使用した結果、首都・テヘランの大気汚染は危険なレベルに達していると指摘されています。

by Ivan Mlinaric

ワシントン・ポストは、「以前からイランでは発電施設の老朽化や、政府系電力会社の腐敗により電力業界の効率が慢性的に低迷している」と指摘していますが、イラン政府は「電力不足はビットコインマイニングが原因の1つ」との見方を強めています。

イランの国営電力会社Tavanirは1月13日に、「エネルギーの消費量が多いため、ケルマーン州にある大規模な暗号資産センターを閉鎖した」と発表しました。伝えられるところによると、Tavanirは政府に許可を得ていないマイニング業者を閉鎖させる権限を有しており、2020年12月だけでも500近くの発掘拠点が特定されているとのこと。イランの電力会社は政府からの助成金で発電しているため、政府に無許可で暗号資産をマイニングした場合は、国のエネルギー網に損失を与えたものとみなされ罰金が科せられるそうです。

Tavanirの広報担当者であるMostafa Rajabi Mashhadi氏は、国営イラン通信(IRNA)に対して「停電は、違法なマイニング業者による過度のエネルギー使用が原因です」と話しています。また、ハッサン・ロウハニ大統領の広報官であるAli Vaezi氏は、「政府は無許可のマイニングファームの調査を実施しています」との声明を発表しました。

こうした政府側の主張に対し、暗号資産業界は反発しています。テヘランの暗号資産研究者であるZiya Sadr氏はワシントン・ポストに対し、「マイニングが消費している電力量は、国全体の消費量から見ればごくわずかで、停電とは何の関係もありません。イランの電力業界の管理ミスと古い発電施設が、イランのエネルギー網を支えられていないというのは公然の事実です」と話しました。一方で、「イランの電気料金が安価すぎることが事態に拍車をかけている」という政府の主張を認める声もあります。韓国のソウルに住むイラン人の暗号資産研究者であるAli Beikverdi氏は、取材に対し「国土が広く電気が安い国は、ビットコインのマイニングには最適な場所です。韓国では、電気代がかさむので採算が合いません」と述べました。