@AUTOCAR

写真拡大 (全8枚)

はじめに キャデラックCT5とは

photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

ゼネラルモーターズ日本法人(GMジャパン)が、アッパーミドル・セダンの新モデル「CT5」を日本発売した。

【画像】キャデラックCT5、Eクラス、アウディA6、新型アコード【アッパーミドル・セダン】 全187枚

世界初公開は2019年春のニューヨーク・モーターショーで、CTSの後継車ということになる。


1月16日に発売されたキャデラックの新型セダン「CT5」の実車を撮影することができた。    上野和秀

ひとつ上のクラスの「CT6」が、5.2mを超える全長を与えられた1000万円級のフラッグシップ・セダンであるのに対し、「CT5」は5m弱というサイズ。

このクラスの輸入車では戦略的な価格となる500万円台から選べる値付けで日本にやってきた。

ハンズフリーの半自動運転システムとして注目されている「スーパークルーズ」は、現時点で日本仕様には用意されていないが、標準的なADASは装備(後述)。

メルセデス・ベンツEクラス、BMW 5シリーズ、アウディA6という競合モデルに対し、キャデラックの個性はどのように評価されるだろう。

キャデラックCT5 外観

CT5の外観は、コンセプトモデル「エスカーラ」に着想を得たもの。

ファストバック・スタイルを採用したことで、パワーと性能を強くアピール。3m近いロング・ホイールベースと、引き伸ばされたサイドガラスによって、スタイリングは低く伸びやかだ。


「キャデラックの伝統と、真のドライバーズカーを作るためのノウハウを結集して開発した最新のラグジュアリーセダン」と日本法人が位置付けるキャデラックCT5(写真はCT5プラチナム)。    上野和秀

ボディ四隅を引き締める縦基調のLEDライトと、存在感のあるメッシュグリルによって、ひと目でキャデラックであることを印象づける。

ボディサイズは、全長×全幅×全高が4925×1895×1445mm。メルセデス・ベンツEクラスと比較して、全長は15mm短く、全幅は45mmワイド、全高は10mm低い。

なお「CT5」の日本仕様は2モデルを設定。内外装のデザインと装備が異なる。

ラグジュアリー系の「CT5プラチナム」は気品のあるクロームトリムのグリル。スポーティ系の「CT5スポーツ」は精悍なブラックメッシュのグリルとなっている。

キャデラックCT5 内装

CT5のインテリアは、キャデラックらしい「ハイテク&プレミアム」の言葉にふさわしい仕上がり。

プレミアムレザーと、本物のウッドパネルが乗員を迎える。


キャデラックCT5の前席内装。    上野和秀

前・後席のレッグルームは、同セグメントでトップクラスとされており、アメリカン・サルーンならではの優雅な時間を過ごせるだろう。

ドライバーの正面には、12インチのデジタル・メーターディスプレイと、カラー・ヘッドアップディスプレイを配置。

ダッシュボード中央のインフォテインメントは、視認性に優れる10インチ・タッチスクリーン、ロータリーコントローラー、スクロール機能、ハードボタンを組み合わせた直感的なインターフェイスで、スマートフォンのように操作できる。

また、ベンチレーション、シートヒーター、マッサージなどの快適装備も充実。

音源の制御とアクティブノイズ・キャンセレーション技術で実現した静粛性も上級セダンならではの拘りだ。

キャデラックCT5 パワートレイン&シャシー

CT5のエンジンは、新設計の2L直4ターボ。NAエンジンに匹敵するレスポンスを提供するツインスクロール・ターボ・ユニットを、10速オートマティックと組み合わせたことで、スピーディかつ正確な変速を実現。

また、快適な走りを追及する「ZF MVSパッシブダンパー」、滑りやすい路面でも安定性を高める「インテリジェントAWD(CT5スポーツのみ)」を搭載。


キャデラックCT5の後席内装。    上野和秀

現代のキャデラックは、走りでも欧州プレミアム勢に劣らぬポテンシャルを与えられている。

その走行性能を支えるプラットフォームは、複数の世界的な賞で表彰されている「アルファアーキテクチャー」。軽量化、高剛性の実現で、CT5のパフォーマンスに寄与する。

ドライブモードは、「ツアー」「スポーツ」「スノー/アイス」「Myモード」を用意。シフトスケジュール、ステアリング&ブレーキフィール、前後トルク配分、排気サウンドのカスタマイズが可能だ。

キャデラックCT5 装備/ADAS

先進運転支援機能については、車両の各部にレーダー、カメラ、超音波センサーを搭載。

緊急ブレーキシステム(フロント・オートマティックブレーキ/フロント歩行者対応ブレーキ)、ACC、サイド・ブラインドゾーン・アラート、リア歩行者検知など20以上の最新安全装備を採用した。


キャデラックCT5のトランク。    上野和秀

今どきのツールとも言えるのが、空気をきれいに保つイオン発生除菌機能付きエアコンディショナーを搭載したこと。

エアクオリティセンサーが大気汚染を感知するとインレットを閉じて、車内へのエア流入を遮断。

エアイオナイザーという装置が、負に帯電した水酸化物質(O2H)を発生させ、ACダクトを介して空気中に放出。これにより、特定の空気中の汚染物質を削減する。

他にも、GMジャパンとゼンリンデータコムが共同開発した完全通信車載ナビ「クラウドストリーミングナビ」を標準装備。トンネルなどGPSで測位できない環境でも自律航法が可能で、最新の地図を常にストリーミングし、データ更新の煩わしさから開放される。

キャデラックCT5 価格

日本仕様のキャデラックCT5は、前述のように2タイプを用意。

エンジンは共通だが、ラグジュアリー系の「プラチナム」は後輪駆動。スポーティ系の「スポーツ」が四輪駆動となる。


ラグジュアリー系の「プラチナム」は後輪駆動モデル。日本仕様の価格は560万円となった。    上野和秀

いずれもハンドル位置は左のみ。

日本法人によれば、デリバリー開始は2021年3月予定となっている。

CT5プラチナム:560万円
CT5スポーツ:620万円

キャデラックCT5 スペック

キャデラックCT5プラチナム

価格:560万円
全長×全幅×全高:4925×1895×1445mm
ホイールベース:2935mm
車両重量:1680kg
エンジン種類:1997cc直4ターボ
最高出力:240ps/5000rpm
最大トルク:35.6kg-m/1500-4000rpm
トランスミッション:10速オートマティック
駆動方式:後輪駆動
乗員:5名


キャデラックCT5プラチナム。    上野和秀