ダカールラリーが「世界一過酷なモータースポーツ競技」と呼ばれている理由とは

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 ダカールラリーは15日、サウジアラビアで最終ステージが行われ、2輪ではホンダが連覇を飾った。5回目の出場となるケビン・ベナビデス(32)=アルゼンチン=が総合優勝を果たし、2位にチームメートのリッキー・ブラベック(29)=米国=が続いた。ホンダのワンツーフィニッシュは1987年以来、34年ぶり。

砂丘を駆るホンダのベナビデス(ホンダ提供)

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 ダカールラリーは今年で43回目を迎え、前回大会からサウジアラビアを舞台に開催されている。当初はアフリカ大陸を中心とした大会で現地の治安悪化で09年から「ダカール」の名称を残したまま南米に移転した。

 ホンダは81年の第3回大会から出場。ワークスチームとして85〜89年まで4連覇を飾っていったんは活動を中止した。ダカールに復帰したのは13年から。南米開催ではライバルのKTMに圧倒されて優勝を奪えなかったものの、サウジアラビア開催となって連勝となった。

 ホンダレーシング(HRC)の野村欣滋社長は「ケビン・ベナビデス選手、優勝おめでとう。また、リッキー・ブラベック選手、過酷なラリーを完走し、優勝に相当する素晴らしい結果も残してくれた」と祝福のメッセージを寄せ、「素晴らしい結果を残せたのは、コロナ禍による厳しい環境の中で、すべてのチームスタッフ、すべての開発チームの皆さんが、知恵を絞り、厳しい環境を乗り越えてくれたおかげで、心から感謝をしています」とねぎらった。

 ただし、最終日には他チームの選手が事故で死亡するという悲報も届いた。フランス人のピエール・シェルパン選手が10日に行われた第7ステージで、時速178キロで走行中に転倒。サウジアラビア国内の病院で頭部の緊急手術を受け、容体は安定していたようだが、フランスへ医療航空機で移送中に死去した。52歳だった。

優勝を喜ぶベナビデス(右)と2位のブラベック(ホンダ提供)


 昨年の大会では元ホンダのライダーでポルトガル出身のパウロ・ゴンサルベス選手ら2人が事故死。今回で選手の死亡は31人目となる。ほとんどが二輪の選手で過去にはジル・ラレイ選手、ファブリツィオ・メオーニ選手ら二輪の優勝経験者も事故で命を落としている。「世界一過酷なモータースポーツ競技」と呼ばれている由縁はそこにある。

特に二輪はオフロードを猛スピードで駆け抜けるためバランスを失ったり、大きな岩にヒットしたら、大きな転倒に直結する。4輪やトラックは助手席にいるコドライバーがルートブックを頼りに口答で道案内をするが、二輪はハンドルバーに設置した巻き取り式のルートブックや距離計などを自ら見ながらライディングする。ルートブックには「コーション」と呼ばれる危険ゾーンも明示されているため、ライディングに専念して重要な表示を見落とすわけにもいけない。

ちなみに今年の4輪では、MINIを駆るX−レイドのステファン・ペテランセル(55)=フランス=が4年ぶりに制し、2輪を含めた総合優勝の回数を14に伸ばした。2年ぶりの制覇がかかっていたトヨタはナッサー・アルアティア(50)が2位で一歩及ばなかった。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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