高麗航空カレンダー2020の表紙

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◆北朝鮮外貨獲得手段の一つ、「カレンダー」にまつわる異常事態

 研究者や一部のマニアの間で冬の風物詩となっている北朝鮮カレンダー。その中でも北朝鮮美女が毎月を彩る「高麗航空」のカレンダーが人気ナンバー1だ。

 ところが、その人気カレンダーが2021年を迎えた現時点でもまったく入ってきていない。それどころが表紙デザインの写真すら確認されていない状況になっている。

 その理由は、新型コロナウイルス対策で中朝国境の封鎖が強化された影響で経由地である中国に1部も輸出されていないためだ。
 
 近年、北朝鮮カレンダーは年末になると日本でもメディアでも取り上げられて、“美女カレンダーで外貨稼ぎ”など刺激的な見出しで話題になっている。北朝鮮カレンダーは、掛け軸ような長方形のいわゆる壁掛けタイプのカレンダーが主体となる。

 2020年も過ぎ去ったので、購入者の楽しみを奪わないために記事等では公開しなかった昨年分の美女カレンダーも紹介していきたい。

◆北朝鮮カレンダーの需要があるのは日本!?

 中国北京の北朝鮮出先機関の関係者の話からすると、北朝鮮カレンダーの需要がもっともあるのは日本で、北朝鮮から海外向けに輸出される全北朝鮮カレンダーの半分以上の最終目的地は日本になっているようだ。

 日本は北朝鮮マニアが多いことに加えカレンダーを使う習慣があるので実用品と考えるからだろう。知る限りでは、中国には壁掛けカレンダーを使用する習慣は現在ない。中国最大のECサイト「淘宝網」で検索してもカレンダーは非常に少ない。需要がないということだ。

 そのため、中国では北朝鮮カレンダーは実用品よりも絵画のような鑑賞目的に位置づけで売られている。一方、日本では、以前ほど壁掛けカレンダーを使用する人は減っているものの、実用と観賞用を兼ねたような認識で購入ハードルが低いのだろう。
 
 ここ数年、高麗航空カレンダーを購入しているという三重県の男性は、「このチープさが一番の魅力だったのですが、今年は飾れなくて残念」と話す。

 確かにチープだが、これでも輸出向けは国内版と比べ上質な紙や吊り具が使われている。それでも実際の距離以上に長い旅を経て日本へ届くのでくたびれ感は否めない。

◆中朝国境閉鎖の煽りをうけて貿易量も激減

 昨年2月上旬に中朝国境は封鎖されて中朝貿易が大きく減っていると報じられている。

 北朝鮮からの『労働新聞』や『画報朝鮮』など定期刊行物を取り扱う北京の出先機関によると、4月までは数回、北朝鮮から輸出され丹東に入っていた。しかし、4月以降は8月までの5か月間で1回のみしか輸出できず多くの貨物が北朝鮮側の新義州税関に山積みになっているとのことだった。

 9月末に中朝国境封鎖がさらに厳しくなりまったく輸出できなくなり、11月上旬には各取引先へ年内の入荷、各国への発送はできない旨の通知を出している。

 それでもカレンダーは、通常の定期刊行物とは別ルートで輸出されるらしく、数は減るが中国へ入ってくる見通しだったようだ。
 しかし、彼らが指す別ルートが空路なのか船便なのか、密輸なのか不明だが、そのカレンダーも11月末に年内出荷できないとの通知が出された。現時点でも連絡はなく、いつ美女カレンダーが入ってくるのか分からない。

◆中朝貿易の現状

 「世界保健機関(WHO)」は、いまだに北朝鮮の新型コロナウイルス感染者は0人と発表している。陸の国で感染者ゼロは北朝鮮とトルクメニスタンの世界2か国しかない(あくまでその国の報告ベースでの発表のため不思議ではない)。 かたや輸出先である中国も新型コロナ感染抑制に成功したと表面的には振る舞っている。にもかかわらず、国境封鎖は秋以降、強化する一方となっている。