昨春の阪神キャンプでは多くのOBが矢野監督を表敬訪問したが…

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 球春に“コロナリストラ”の嵐が吹き荒れそうだ。政府は13日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、これまでの1都3県を対象地域としていた緊急事態宣言に関西、東海、福岡など7都府県を追加。期間は2月7日までで、同1日から宮崎、沖縄両県で始まるプロ野球12球団の春季キャンプに影響は必至だ。その一端として、これまで丁重に扱われてきたベテラン評論家たちが、感染リスクを大義名分に一掃される可能性が浮上している。(山戸英州)

 昨年から続くコロナ禍は、メディア界でも突出して資金力があった地上波テレビ局まで悲惨な状況に追い込んでいる。

 CM出稿の減少で番組制作予算が大幅に削られ、ギャラの高い大物司会者を売りにしてきた人気番組は相次いで打ち切りの憂き目に。先の見えない不況の波はもちろん、プロ野球中継やスポーツニュースなどを制作する部門にも押し寄せている。

 在京テレビ局関係者は「そもそも高い放映権を払ってプロ野球中継を流しても、視聴率は取れない、スポンサーが集まらないではどうしようもない。局によっては“カネがかかる部署”として、スポーツ担当の局員を営業など他部署に異動させ人減らしをしている」と厳しい内情を明かす。

 今春キャンプは球団側の要請で派遣できるスタッフが限られるため出張費は抑えられるものの、別の出費が重くのしかかりそうだ。

 民放局ディレクターは「キャンプ地に取材に入る前に、PCR検査を義務づける球団もあるが、いつの時点で受ければいいのか。沖縄経由で宮崎に行くなら、自宅と沖縄で計2回やる必要があるのか。ある球団からは『自己負担でお願いしたい』と連絡がきたが、全スタッフで複数回となれば費用もかさむ」と頭を悩ませている。

 経費と感染リスクを抑え少数精鋭で乗り込むとなれば、矛先は年配の解説者、コメンテーターに向かうことに。

 ある在阪メディアでは、超大物がリストラ候補に急浮上。関係者は「毎年キャンプ取材をお願いしてきたが旅費、飲食代も高級志向でバカにならない。なんとかこらえてきたが、今回のコロナがいいきっかけかも」と声を潜める。「感染防止で3密回避を訴えたところで単独行動できない人だし、危なくて連れていけない。キャンプだけでなく、そのままシーズン中の解説までお引き取り願いたい」というのが本音だ。

 別の放送関係者も「今回ばかりはどうしようもないこと。ご本人が納得する、しないに関わらずコロナを盾にキャンプ不参加を促すことはあるでしょう。最終的に解説者本人が『行きたい』と言えば止めにくいですが…」と話す。

 評論家側にも悲壮感が漂う。

 監督経験もあるベテランOBは「今年はキャンプ関連のテレビ、ラジオ局の仕事が間違いなく減る。無事シーズンに入っても、呼ばれる機会は激減するだろうね。こっちだって移動による感染リスクは怖いし…」。

 後期高齢者の重鎮は「感染してはまずい」と自らキャンプ取材辞退をメディア側に申し入れた。今後も体調を気遣われる形で、仕事の声がかかる頻度は確実に減るだろう。

 コロナ下で迎える球春。とっくに賞味期限切れで現場にもてあまされながら、長年の付き合いで切るに切れずにいた古株の評論家たちに対し、雪崩を打って“戦力外”が突きつけられそうだ。