アクセスするために匿名通信システム・Torなどの特殊なソフトウェアを必要とするダークウェブは、政府によるインターネット検閲が行われている国の人が検閲を回避するために使用するほか、薬物やマルウェアの違法な取引にも使われています。2021年1月12日、ヨーロッパの法執行機関が世界最大のダークウェブ市場「DarkMarket」を閉鎖し、運営者とみられるオーストラリア人の男を逮捕したと報じられました。

DarkMarket: world's largest illegal dark web marketplace taken down | Europol

https://www.europol.europa.eu/newsroom/news/darkmarket-worlds-largest-illegal-dark-web-marketplace-taken-down

German police arrest Australian man after dark net marketplace shutdown

https://www.news.com.au/technology/online/internet/australian-arrested-on-suspicion-of-operating-huge-illegal-dark-web-marketplace/news-story/8c797eba49bf05b2a784827877089de9

Australian man arrested in Germany over 'world's largest' darknet marketplace | Darknet | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2021/jan/13/australian-man-arrested-in-germany-over-worlds-largest-darknet-marketplace

近年はダークウェブの闇市場が急速に発達しており、違法薬物の取引は現実世界からダークウェブに移行しつつあると指摘されているほか、パスポートの写真や軍事ドローンの機密文書、盗み出された大量のアカウント情報など、ありとあらゆるものが違法に販売されています。

国際的な捜査当局もダークウェブにおける闇市場に目を光らせており、2020年9月には欧州刑事警察機構(ユーロポール)などが各国の法執行機関と協力して取り組んだ「DisrupTor」の成果として、不正な商品を販売していた179人の業者が逮捕されたことが発表されました。声明の中でユーロポールは、「ダークウェブ市場の黄金時代は終わりました」「ダークウェブはおとぎ話ではありません。売り手も買い手も、もはや影には隠れていません」と述べ、ダークウェブで犯罪者が完全に匿名で取引することは不可能だと警告しています。

ダークウェブの違法業者179人が逮捕され「ダークウェブの黄金時代は終わった」と当局が声明を発表 - GIGAZINE

そしてユーロポールは2021年1月12日、ダークウェブで最大の違法市場である「DarkMarket」が、ドイツ・オーストラリア・デンマーク・モルドバ・ウクライナ・イギリス・アメリカの国際的なチームによりシャットダウンされたことを発表しました。ユーロポールは専門家による分析で今回の作戦を支援し、国際的な共同作業の調整を行ったとのこと。

DarkMarketはあらゆる種類の麻薬や偽造紙幣、盗み出されたか偽造されたクレジットカード情報、匿名のSIMカード、マルウェアなどが取引される違法な闇市場であり、50万人ものユーザーと2400人もの販売業者を抱えていたとユーロポールは指摘。DarkMarketを介して行われた取引は少なくとも32万件以上であり、ビットコインやモネロといった仮想通貨を介した支払総額は記事作成時点のレートで1億4000万ユーロ(約180億円)を超えるそうです。

今回の捜査はドイツの法執行機関の主導のもと行われ、DarkMarketの運営に使用されたモルドバやウクライナのサーバーが20台以上特定されたとのこと。すでに捜査官はサーバーの電源を切ってDarkMarketを閉鎖しており、押収したサーバーに保存されていたデータはさらなる捜査のために使用されるとユーロポールは述べています。

また、ドイツ・オルデンブルク市の中央犯罪捜査局がドイツとデンマークの国境付近で、DarkMarketの運営者と見られる34歳のオーストラリア人の男を逮捕したことも報じられています。容疑者の男は検察官に情報を話すことを拒否しており、正式な告発が行われるまで拘留される予定だとのことです。