あえて俺は転生しないぜ! すごもり推奨の今こそ観たい「異世界に転生しないファンタジーアニメ」5選!【アキバ総研ライターが選ぶ、アニメ三昧セレクション 第8回】

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日本各地に緊急事態宣言が発令され、まさに正念場といった状況の今日この頃。再び外出を控えインドアで過ごし日が続きそうですね。

そんな日々を癒してくれるのは、やはりアニメ! その中でも、私たちの暮らす世界ではない、異世界を舞台にしたファンタジー作品は、一時でも現実を忘れさせてくれること間違いなし!

……あ、どうもこんにちは。アキバ総研編集部の有田俊と申します。今回はライターの皆さんに代わり、私が執筆させていただきました。

 

今回は、数ある異世界を舞台にしたアニメの中でも、主人公が異世界に転移したりしないファンタジーアニメより、特におすすめの新旧5タイトルをレコメンドしたいと思います!

 

ドラゴンクエスト ダイの大冒険

 

 

本作は国民的RPG「ドラゴンクエスト」を題材にしたアニメで、原作コミックは「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて、2本の読み切り掲載を経て1989年〜1996年にかけて連載された人気作品です。

モンスターが平和に暮らす島で育った自然児・ダイが、大魔王バーンの出現による世界の危機を救うべく大冒険に出る……というストーリーで、「ドラクエ」の世界観を下敷きにしつつもバトル系少年マンガとしても高い完成度を誇り、ジャンプ黄金期を支える看板マンガのひとつとして人気を博しました。

本作で登場した呪文や特技が、ゲームに逆輸入された例も多く、「ドラクエ」の歴史において非常に大きな影響力を持つ作品だったと言えます。

そんな本作が、再びアニメ化する! というニュースを初めて目にした時、「やった!」という喜びと「マジで!?」という驚きと不安を抱いたオールドファンも多かったことでしょう。自分もそのひとりでした。

こちらは1991年放送の「ダイの大冒険」

というのも、1991年に一度テレビアニメ化された「ダイの大冒険」ですが、テレビ局の編成上、とっても中途半端なところで放送は終了(ストーリー全体の3分の1くらいにあたる、ダイとバランのバトルまで)。アニメオリジナルエピソードを交えつつも原作にほぼ忠実にアニメ化された最初のアニメ版(本稿では旧版と呼びます)は、ファン的には美しい思い出と、大人の事情でぶった切られた最終回のトラウマという愛憎半ばする記憶を残したのです。旧版では存在を抹消されたラーハルトの玩具が発売されていたことを考えると、やはり放送終了はかなり急な決定だったことがうかがえます。

さて、そんな「ダイの大冒険」が再びアニメ化されたわけですが、今回のアニメ版(本稿では新版と呼びます)におけるポイントは3つあります。

まずは「令和の時代に最適化されたアニメ化」という点です。新版は放送前から、原作の最後まで映像化することを掲げており、全部で何クール放送されるのかは不明ですが、それでも最低4クールは必要なんじゃないでしょうか。しかし、原作のエピソードをそのまま映像化するとなると、とてもそれだけの尺では足りなくなるはず。

また、1991年と2020年ではコンテンツのスピード感も全く異なります。テンポよく、なるべく1話にエピソードを詰め込まないと視聴者が飽きてチャンネルを変えてしまう……。そんな時代の要請からか、新版は原作コミックを換骨奪胎。絶対に外せないエピソードを中心に、30分でしっかり起承転結が描かれるように。かつ、次回の展開が気になるようなクリフハンガー的なラストを設けることを心がけて、さまざまなアレンジが加えられているように見受けられます。

ここで熱心な原作ファンなら「原作改悪!」とクレームのひとつでもあげそうなもんですが、新版のアレンジはとにかく「わかってる感」がハンパないうえに、原作愛に満ちあふれているせいか、今のところ大きな不満はSNSなどでは見受けられません。

新版ならではの特徴として、ひとりのシナリオライターが各セクションをまとめて担当している点があります(1話から9話のロモス王国編までは千葉克彦さん、10話以降のパプニカ王国編を隈沢克之さんが担当)。大小さまざまなアレンジが加えられながらも、破綻なくまとまっているシナリオから察するに、この取り組みは今のところうまく機能しているのではないでしょうか。

次に出演声優の豪華さもあげておきたいところ。主人公・ダイに種崎敦美さん、ゴメちゃんに降幡愛さん、親友のポップに豊永利行さん、マァムに小松未可子さんと、初期パーティーメンバーに安定の若手〜中堅どころを配置。途中から合流するメンバーも、レオナ姫に早見沙織さん、クロコダインに前野智昭さん、ヒュンケルに梶裕貴さん、アバン先生に櫻井孝宏さん、マトリフに山路和弘さんと人気、実力ともに盤石の布陣。

敵の魔王軍を見ても、ハドラーを関智一さん、ミストバーンを子安武人さん、キルバーンを吉野裕行さん、ザボエラを岩田光央さんと、声だけで強そうなのがよくわかる面々がズラリ。

古参ファンとしては、ポップ役の豊永さんが、旧版でポップを演じた難波圭一さんをリスペクトしているとしか思えない演技を聞かせてくれるのが高ポイントです。

そして最後に、安定した作画もあげておきたいところ。どんなにシナリオや演技が素晴らしくても、記憶と異なる残念な作画でアニメ化されたら全部台なし! その点、新版はびっくりするほどハイクオリティな画面を維持しており、毎回安心して観ることができます。

というわけで、「異世界に転生しないファンタジーアニメ」1本目は、ファンタジーRPGの金字塔「ドラクエ」の世界を思い切り堪能できる「ダイの大冒険」にしたいと思います。

 

キングスレイド 意志を継ぐものたち

 

 

現在放送中のアニメより、もう1本おススメしたいのが「キングスレイド 意志を継ぐものたち」です。

本作は全世界1600万ダウンロードを突破したスマホ向けアプリゲーム「キングスレイド」を原作とする作品で、「ダイの大冒険」を王道のファンタジー少年マンガとするなら、本作は王道のRPG風ファンタジーといったところでしょうか。

さまざまな種族が共存するオルべリア王国を舞台に、かつて地上の支配をもくろんだ魔王アングムンド率いる魔族と人間の戦いを描く本作。かつてアングムンドを封印した英雄王・カイルの息子であることは判明した主人公・カーセルは、父が使用した聖剣を復活させ、オルべリアに平和を取り戻すべく仲間とともに旅立ちます。

これだけだと、よくあるRPG原作のファンタジーアニメなんですが、本作にはもうひとり、リヒトという、裏の主人公と言うべきキャラクターが存在します。かつての魔王アングムンドとの戦いの際、人間に味方したダークエルフの末裔である彼は、戦後、一族を迫害し追放したオルべリア王国に復讐を誓っているのです。オルべリア王国内での権力拡大を目論む貴族エル・モリハムと結託したリヒトは、ダークエルフの傭兵集団「ダークエッジ」を率いて英雄的活躍を繰り広げ、王国内での名声を高めていきます。しかし、その行動の裏には、迫害してきた人間をいつか支配してやる……という暗い情念が渦巻いているのです。

という具合に、魔王復活という危機的状況を利用し、野望の実現を企むリヒトの物語が、カーセルの活躍と同ボリュームで描かれているのです。

また、リヒトはアニメ版のオリジナルキャラクターということもあり、ゲームを遊んだことのある人も、新鮮な気持ちで彼の物語を楽しむことができます。

そんなわけで、冒険ファンタジーとファンタジー世界を舞台にした権謀術数の人間ドラマを同時進行で楽しめる本作は、ひと粒で二度おいしいアニメなのです。

「ファイナルファンタジー」「テイルズオブ」シリーズなどのファンタジーRPGや、「ロードス島戦記」のような骨太かつ壮大なファンタジーものが好きな方におススメしたい本作は、現在2クール目に突入し、ますます物語は盛り上がるいっぽうです。

果たしてカーセルは魔王アングムンドの野望を打ち破れるのか。リヒトは人間への復讐をいかにして果たすのか。そして、2人の主人公の物語は、どこで、どのような形で交差するのか。

これからの展開に注目です。

 

ロードス島戦記

 

 

というわけで、おそらく「キングスレイド」のイメージソースのひとつにあったであろう「ロードス島戦記」をプッシュします。

今回推させていただくのは、1990年〜1991年に展開したOVA版です。

本作は雑誌「コンプティーク」(KADOKAWA)に連載されていた、テーブルトークRPG(会話と想像力を駆使して楽しむ大人向けのごっこ遊びのことと思いねえ)のリプレイ記事がベースとなっており、そこで活躍したキャラクターやストーリーを小説形式でリビルドしたものが、原作小説「ロードス島戦記」となったのです。

まだライトノベルというものが定義されるはるか昔のこと。本作のようなハイティーン向けの漫画、アニメ、ゲームなどの影響を受けた小説が売れ始めたことで、「角川文庫」からのれん分けする形で「角川スニーカー文庫」が誕生したのです。まあ、この辺はあまり突っ込むとラノベ警察の皆さんが押し寄せてくるので、そこそこに。

とりあえずは、そういうライトノベル創世記に誕生したマイルストーンのような作品が「ロードス島戦記」だったということです。

本作は、まだ「ドラクエ」のような少年マンガライクなビジュアルイメージだったり、「ウィザードリィ」のようなハードな世界観のRPGしか存在しなかった日本のファンタジーシーンに、さっそうと登場。海外のファンタジー小説や映画、テーブルトークRPGに影響を受けた本格的な世界観、設定を、日本の若いアニメファンに刺さるヒロイックなキャラとストーリーでオブラートに包み、「異世界ファンタジーもの」のイメージを更新していきます。

とりわけドラゴン、剣、魔法、そしてエルフといった、後の和製ファンタジーに多大な影響を与える要素を多数携えており、特に、小説版のイラストレーター・出渕裕さんが描いたエルフの少女・ディードリットは、金髪碧眼でウサギのように長い耳と、エルフのイメージをがっちり固定するほどのインパクトがありました。

そんな永遠のヒロイン・ディードと、騎士を夢見る若き青年・パーンの大冒険は、当時、多くの少年少女を夢中にしたものです(筆者の中学校の図書館にも原作小説が入庫され、校内のオタクたちが文字通り奪い合っていました)。

そんな本作がアニメになるということで、期待しないわけにはいきません。OVA版は全13話と、現在の1クールアニメと同じボリューム。ということで、今の若いアニメファンも見やすいのではないでしょうか?

特筆すべきは、美しすぎる映像! 本作のキャラクターデザインを手がけたのは、結城信輝さん。後に「天空のエスカフローネ」「宇宙戦艦ヤマト2199」「坂道のアポロン」などのキャラクターデザインを手がけるアニメーターで、男性キャラは力強く、女性キャラはどこまでも美しい絵柄が特徴です。アニメ版はその結城さんの味を損なうことなく、完璧に映像化。全編、壮大な絵画を観ているかのような迫力と荘厳さをもって視聴者に迫ります。

日本のファンタジーを語るうえで、決して忘れることのできないマスターピースともいえる「ロードス島戦記」は、アニメファンの基礎教養として観ておいて損はないと思います!

ちなみに1998年には、原作小説の終盤までを忠実に映像化した「ロードス島戦記 英雄騎士伝」がTVアニメとして放送されました。こちらも、坂本真綾さんの歌う主題歌「奇跡の海」とあわせて見ごたえアリ!です。

 

神撃のバハムート GENESIS

 

 

本作は2012年にリリースされたソーシャルゲームを原作とするアニメで、第1期が2014年に、第2期が2017年に放送されました。

ゲームとしてはリリース直後から大人気を博していましたが、アニメ化と聞いても、そんなに期待しているアニメファンはいなかったと思います。というのも、(あえて言葉を選ばずに言いますと)ソーシャルゲーム、スマホゲーム原作アニメというと、ひたすらゲームのキャラが続々出てくるいっぽうで、原作ゲームのストーリーが未完なので、なんだか煮え切らないままストーリーが展開したあげく、ヌルっとフェードアウトしていく……という具合に、一部のファン向けのプロモーション以上でも以下でもないものが多いような印象があるから。

本作もそんなソシャゲアニメのひとつだろう……と誰もが思っていました。自分もそう思っていました。

しかし、そんな先入観にとらわれたアニメファンほど、本作を観てひっくり返ることになるのです。

恩田尚之さんによるスタイリッシュかつ実在感あるキャラクターが、壮大なファンタジー世界を舞台にアクションあり、お笑いありの大冒険を繰り広げる本作は、はっきり言って原作ゲームを知らなくても全然楽しめる。いやむしろ、この世界を舞台にしたゲームっていったいどんなものなんだと興味を抱かせるような仕上がり。

監督は「TIGER & BUNNY」のさとうけいいちさんです。虎鉄とバーナビーが、とんちんかんな行動をする悪魔っ娘と珍道中を繰り広げる話、といえばイメージは伝わるでしょうか。

そんな本作の最大のポイントは、フィルムスコアリングです。

一般的にテレビアニメの劇伴音楽は、最初に「こういうシーンのイメージで」というオーダーメニューを作曲者に発注し、上がってきた音楽を該当シーンにはめていくという風に作られます。そうすることで劇伴に関するコストや、楽曲制作の手間を圧縮しているわけですが、本作は毎回、映像が完成した後、その絵に合う音楽を都度制作してもらうという、非常に贅沢な作りをしているのです。

全話この作り方を貫くには、どれだけの予算、どれだけの制作進行管理が必要だったのでしょうか。想像するだけで頭がクラクラします。

しかし、その甲斐あって本作は毎回が劇場アニメクラスのクオリティという稀有な作品となりました。

圧倒的なビジュアル、サウンドで未知の異世界を構築し、魅力的なキャラクターたちの旅を追体験する幸福感と言ったら……!

ある意味、TVアニメにおける異世界ファンタジーの極致ともいえる本作は、今こそ改めてじっくり観直したい作品です。

 

アルスラーン戦記 THE HEROIC LEGEND OF ARSLAN

 

 

最後に紹介するのは、ファンタジー戦記ものの金字塔「アルスラーン戦記」です。

本作は「銀河英雄伝説」「創竜伝」「タイタニア」など、1980年代から現在に至るまで全国のちょっぴり背伸びしたい少年少女のハートをキャッチし続ける小説家・田中芳樹さんの代表作。1986年から刊行がスタートし、間に何度か長期の中断をはさんだのち2017年に堂々完結! 当時、ニュースにもなったことを覚えている方もいることでしょう。

本作は中東あたりに似た異世界を舞台に、ルシタニア王国に征服されたパルス王国の若き王子・アルスラーンが、仲間たちとともに王国を奪還するべく戦いを挑む架空戦記です。最初は頼りなかったアルスラーン王子が、数々の修羅場を潜り抜けて成長していく姿や、美男美女ぞろいの家臣たちとの熱いやりとり。強敵との丁々発止など、とにかく見どころが満載の本作。まず1991年から1995年にかけて、劇場用アニメやOVAとして展開(本稿ではこちらを旧版と呼称)。その後、2013年より「鋼の錬金術師」で知られる荒川弘先生によるコミカライズの連載が「別冊少年マガジン」(講談社)でスタート。荒川版を原作としたTVアニメシリーズが、2015年、2016年に2度放送されています(本稿ではこちらを新版と呼称)。

旧版は神村幸子さんによる耽美なキャラクターが印象的で、原作小説のイラストを手がけた天野喜孝さんのイメージをそのまま引き継いだようなイメージですね。これが銀幕でグリグリ動く劇場版は、今のアニメを比較しても全く見劣りすることはありません。むしろアナログなセル画だからこそ漂ってくる、妖艶な雰囲気は旧版ならでは。

いっぽうの新版は、荒川先生の少年マンガらしい力強さと繊細さが共存した絵柄が特徴で、旧版とはまた異なる味わいのアルスラーンが描かれています。それぞれ異なる解釈で描かれるキャラクターを比較しても面白いかもしれません。

 

なお、旧版は角川書店(現・KADOKAWA)のお家騒動もあり原作小説5巻あたりまでの映像化で中断。新版も、まだ荒川先生のコミカライズが連載中ということもあり、原作小説6巻あたりまでの映像化にとどまっています。次の映像展開が気になるところですが、何しろ原作小説からして完結までに30年かかった大作です。英雄たちの活躍に思いをはせつつ、ゆっくりと続編を待ちましょう!

 

というわけで、「異世界に転生しないファンタジーアニメ」5本を紹介させていただきました。

なかなか外出することがはばかられたり、海外旅行で異世界気分を体験することができない日がまだまだ続きそうですが、今回紹介したようなファンタジーアニメを観て、どっぷりバーチャル異邦体験してみてはいかがでしょうか!?
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