昨年、政府がAI婚活を後押しするというニュースが話題になりました。AI婚活に期待する声もあるのですが、AIが釣り合う人を紹介すれば結婚する人は増えるのでしょうか?

AI婚活なら、いい人に出会える?

AI婚活なんてもうとっくに始まっているのに

こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。

政府が後押しするというAI婚活。しかし、地方自治体の婚活支援はだいぶ前からやっていますし、AI婚活も以前からありました。婚活業界だと「データマッチング」という言い方をしていました。

注目が集まったのは個人的にはよいことだと思いますが、誤解も多いなと思います。

マッチングアプリもAIで相性がいい人を探すという技術は進んでいて、同じ条件で異性を検索しても、登録者ごとに上位に表示される人は異なります。その結果、ずらっと並ぶ相性がいい人の中から、さらに写真のいい人を選ぶので、モテ格差が広がるのです。

埼玉県では2018年からAI婚活を導入し「恋たま」という官製結婚相談所を運営しています。自分でも相手を探して申込めますし、定期的にAIから相手を紹介されます。みんな働きながら貴重な休日を使って婚活をしているのです。でも、紹介される人全員に会ってみようなんて人はほとんどいません。AIから紹介されても、男女双方が会う希望を出さなければ初デートは成立しません。

結婚できない人ほど釣り合う異性にダメ出しする

AI婚活導入のニュースが出たときに、「昔はお節介おばさんがいて紹介してくれたから」なんてことを言う人がいました。

昭和と比較したら、現代の方が私生活に介入してくる人は減ったでしょう。それでも今も友達の紹介で知り合った方と結婚している人はいます。紹介して相手から喜ばれるような素敵な人ならば、紹介の話は来ます。

周りに「婚活している。誰かいい人いたら紹介して」と宣言して、あなたに誰か紹介の話を持ってきた人はいました?いないなら……そういうことです。

紹介が減っているということもあるけれど、紹介を受ける側にもなんらかの問題はあると思います。

読者の方から、

「『紹介して』と言われたから、その人に釣り合いそうな知り合いを紹介しようと思ったのに、お礼より先に『その人はどういう人?』と品定めされた。もう二度とこういうお節介はしないと決めた」

「同級生がまだアラフォー独身で結婚したいと言っているから紹介しようと思ったら『自然に出会って恋愛結婚したいからいらない』と断られた」

なんて愚痴もいただくのです。

婚活サービスを使っても結局、自分と同じレベルの人にしか会えません。結婚できない人は、自分のことを棚に上げて異性のダメ出しばかりするのです。

行政の婚活支援サービスのメリットはこの3つ

では、行政のAI婚活は無駄なのかと言うとそうは思いません。大きなメリットが3つあります。

最大のメリットは行政がバックアップしているという安心感です。婚活業界というととにかく胡散臭く、イメージがよくないのです(私も含まれますが)。参入障壁も低いので悪質な結婚相談所やパーティー会社もあります。

結婚願望がある独身者の中で、婚活サービス利用経験者はまだ4人に1人程度で、いつか結婚したいと思いながら婚活すらしていない人がまだ過半数です。

これまで婚活は怪しいと思っていた方が、婚活をスタートさせるのにこうした行政サービスを利用するのはよいのではないでしょうか?

2つ目のメリットは近くに住んでいる人に会いやすいという点です。全国展開している結婚相談所に登録しても、東京・大阪・名古屋であれば選べますが地方に行くほど会員がぐっと減ります。北関東在住のご相談者で結婚相談所に登録したら同県の同年代男性が数十人しかいなかったという話を聞いたこともあります。

「別に同じ県の人限定で探すつもりはないし、東京の人でもいい」と思っている埼玉県在の女性もいるでしょう。でも全国展開している結婚相談所で、東京在住の男性と会えたとしても、2回3回とデートを重ねていきやすいのは圧倒的に近場に住んでいる人です。特にコロナで出かけにくい社会になっている今、「近くに住んでいる」のは魅力になるのです。

東京男子は、都会で暮らす洗練され垢抜けたキレイな女子と郊外在住女子を比較します。丸の内OLと同じ土俵に立って選ばれる女を目指すより、地域限定で「かわいい子」を目指す方が簡単です。地方在住者はまず県の婚活支援サービスがないか確認し、民間サービスと併用してはいかがでしょうか。

3つ目は料金が安いということです。全員が独身証明書を提出して登録する結婚相談所は毎月1万円前後料金がかかり、入会金も高額です。1年利用すれば結婚できなくても20万円以上の出費です。ところが行政が運営する婚活サービスは全員独身証明書を提出して登録しても、2年で1〜2万円程度とかなりリーズナブルです。

料金が高い分、サービスが手厚いのですが、人は「高いお金を払うのだからいい人に会いたい」と思うようになってしまうのです。大金出して登録しても魅力が上がるわけじゃないのですが、みんな自分のことは「普通」と思っています。そして自分目線で「普通のちょっと上の偏差値」の相手に申し込むのです。

出会いの機会があるだけでは結婚できないのに

「出会いがないから結婚できない」と思っている人の大半は、その人自身になんらかの魅力が備わっていないのです。

もちろん、婚活を通して成長し、ご結婚に至る人もいます。

でも、婚活しても結婚できない人は認知が歪んでいるかもしれないのです。

出会いの場に出ていっても選ばれないのならば、選ばれるように改善すればいいだけなのですが、自分を振り返って改善するというのは自分と向き合う勇気がある方だけができること。

例えば、結婚相談所でもマッチングアプリでも全く魅力的じゃない写真を使って婚活している方は多いもの。

しかし、写真の印象がよくないと言われると外見がよくないと受け取っていじけたり、外見で選ぶのではなく自分の中身を見てくれる人に会いたいのだと逆切れしたり。年齢や収入などほかの条件がよくないから会えないのかな、と変えられないことのせいにするのです。

出会えても結婚に至るためには、2回3回と会って信頼関係を築いていくために相手への気配りやコミュニケーション力も必要になってきます。コミュニケーション力を磨くためにも、練習と思って何人かと試しに会ってほしいのですが、結婚できない女性は「試しに会う」ということができません。

会う前に「この人と付き合ってもうまくいかないと思う」とか、告白もされていないのに妄想で不安になって断るのです。何も始まっていないし向こうから断られることもあるのに......。

まずは自分の認知のゆがみを自覚し、客観視して、AI婚活も練習として活用してみてはいかがでしょうか。

■プロフィール

恋愛・婚活の賢人 菊乃

恋愛コンサルタント・婚活セミナー講師。山形県出身、静岡大学卒。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活ブログが人気になり2011年に出版し、恋愛コンサルタントとして独立。
著書は『あなたの「そこ」がもったいない。』他4冊。服装、メイク、会話、LINE添削などのサポートは何からやったらいいか分からない男女に好評。ブログは今も毎日更新。https://ameblo.jp/koakuma-mt/